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福井県坂井市の景勝地・東尋坊(とうじんぼう)で、自殺志願者を助けているNPO法人が、
夜間の自殺防止のために導入しようとした赤外線カメラが、1年以上も設置できないでいる。
高額で市が二の足を踏んでいるのに加え、観光協会が「イメージが悪くなる」と反対している
からだ。今年も国内の自殺者は3万人を超え、東尋坊では既に昨年を15人上回る74人が
保護された。NPO側は「命を救うことを優先してほしい」と訴えている。
日本海に面し、目のくらむような断崖が続く東尋坊。日中は観光客でにぎわうが、人けの
なくなる夜間は一転、自殺の名所となる。住民のボランティアらによる見回りも夜間は足元が
危険なのでできず、ずっと頭を悩ませてきた。
昨年10月、地元のNPO「心に響く文集・編集局」は同県敦賀市の電気機器製造業「東電北陸」と
協力し、自動音声付き赤外線カメラを開発した。夜間、岩場付近を歩く人を感知すると、スピーカーから
「どうなさいましたか」「悩みがあるなら、手助けできるかもしれません」と自動音声が流れ、近くの
公衆電話へ行くよう促す。公衆電話には相談を受ける電話番号が書かれている。また、見回り
ボランティアの待機所に通知し、スピーカーで直接声を掛けることもできる。
NPOは有志や企業などから寄付を募り、今秋、東尋坊の入り口付近に試験的にカメラを設置
しようとした。しかし、東尋坊観光協会は「景観にふさわしくない」と中止を求めた。カメラは円筒形で
直径20センチ、長さ30センチ、スピーカーは縦横20センチ。協会の小針悟会長は「かえって自殺
志願者を呼び込むのでは」と心配する。
カメラは1セット800万円。NPO代表の茂幸雄さん(66)は、国の地域自殺対策緊急強化基金の
活用を坂井市へ要望中だ。本格的に導入するなら数台必要だが、基金は来年度限り。
市社会福祉課の担当者は「維持管理や故障による交換などを考えると難しい」と導入に消極的だ。
写真:岩場に近づいた人を夜間でも感知するカメラ=福井県坂井市三国町の東尋坊で
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記事
中日新聞社
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