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【モスクワ=遠藤良介】ロシアのメドベージェフ大統領は24日、政府系テレビ3局のインタビュー
生番組に出演し、日本の北方四島を指す南クリール諸島は「全てロシア領だ」と述べた。また、
日本は「ロシアとクリール諸島(千島列島と北方四島)に関する理解を変えるべきだ」とし、北方
領土に日本との「自由経済圏」や「自由貿易圏」を創設することを提案した。
ロシアが日本との領土交渉には応じず、四島での共同経済活動を持ちかけて主権問題を棚上
げする思惑であることが鮮明になった。
メドベージェフ大統領は11月1日、旧ソ連・ロシアの国家指導者として初めて国後島を訪問した。
この際、日ソ共同宣言(1956年)が平和条約締結後に引き渡すとした色丹島や歯舞群島は訪れ
なかったため、一部には大統領が同宣言に基づく「2島引き渡し」での決着を意識しているとの
観測も出ていた。
しかし、24日に一斉放映された番組では、クリール諸島の中でも初めて北方四島(南クリール
諸島)を特定し、「全ての島はロシア領だ」と言明。「われわれは必要な決定をし、クリールを開発
せねばならない」と述べ、自身や閣僚の北方領土訪問を正当化した。
一方、メドベージェフ大統領が北方領土の共同経済活動に直接言及したのも初めて。日本
外交筋によると、具体的内容は不明ながら、北方四島について「自由経済圏」や「自由貿易圏」
との表現を使った露大統領は過去にいないとみられる。
メドベージェフ大統領は「(北方領土に)特別なミクロ環境ができ、人々が働きに来る。日本国民も
やって来て、歴史的な場所を訪れたり働いたりする」と構想を語る一方、日本との経済協力は「われ
われがクリール諸島を放棄しなければならないということを意味しない」と述べた。
共同経済活動をめぐっては1998年、当時のエリツィン大統領と小渕恵三首相の合意により、
両国間の国境画定委員会と並んで共同経済活動委員会が設けられたことがある。ただ、
共同経済活動には常に四島の主権をめぐる問題がつきまとい、「法的立場を侵害しない形での
共同活動」を見いだせないまま委員会の活動は頓挫した。
URLリンク(sankei.jp.msn.com)