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1910年の大逆事件。明治天皇の暗殺を企てたとして社会主義者幸徳秋水ら12人が処刑された。
100年の節目となる今年、再検証の機運が高まり、関連書籍の出版も相次いでいる
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有罪の決め手とされた証拠や証言がでっち上げだったことは、各種の研究から定説となっている。
国家による犯罪、思想弾圧の暗い時代へと向かう転回点、現代の冤罪(えんざい)事件の原形…。
さまざまな角度から新たな光が当てられている
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10月に講談社から出たノンフィクション作家黒岩比佐子さんの「パンとペン」は、秋水の親友である
社会主義者の堺利彦の評伝だ。堺と大逆事件のかかわりに始まり事件後に編集業の「売文社」を興し、
言論統制の時代をペンで生き抜く姿が活写されている
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黒岩さんは丹念な取材で、明治、大正期の文人の評伝に際立った筆の冴(さ)えを見せた。
「パンとペン」執筆中に病を得て、先月、52歳で急逝した。どんなに苦しいときも堺のように
ユーモアを忘れず生きる-とのあとがきが胸に響く
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大逆事件のきっかけは、中川手村(現安曇野市)での男性の逮捕だった。「発覚の地」として
複雑な感情を抱えつつ事件を語り継ごうと動きだす地元の人々を、本紙が報じている。
時間がたって見える真実もある。近代の歴史は、なお掘り起こされる必要がある。
ソース:URLリンク(www.shinmai.co.jp)