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□【正論】筑波大学大学院教授・古田博司 ある「地球市民権力者」の専横
◆「日本国民」と自己規定せず
わが日本国の驚くべき官房長官について語ろうと思う。この人物はホームページで
自らを日本国民ではなく、「地球市民」と規定している。では、この「地球市民」は
尖閣諸島沖の中国漁船事件で一体、何を守ろうとしたのか。少なくとも、われわれの
住む日本国という実体ではない。地球市民が住む「平和社会」という幻想を守ろうとした
のである。
9月7日、国防動員法が施行され国家総動員体制下にある中国から、一隻の「民兵船」
がやってきた。わが国の領海を侵す第一歩として、海上保安庁の巡視船に体当たり攻撃を
しかけ、船長以下は拘束された。正式に逮捕するには令状が必要になる。そこで令状を
請求してよいですかと、菅直人民主党官邸にお伺いを立てた。
海上保安部編集のビデオ映像を見た前原誠司国土交通相(当時、現外相)は、逮捕を
主張した。仙谷由人官房長官は内心では反対ながら、本気で反対しなかった。船長を
逮捕して裁判にかければ、公判維持のため、ビデオは非公開とせざるを得ない。ビデオを
隠匿し、「平和社会」を守れる。とにかく、映像を民衆に見せてはならない。それは民主主義
に優先する。
官邸からゴーサインが出て令状が請求され、翌日、船長は逮捕された。13日午後には
船長以外14人を釈放し、中国機で送還してあげた。仙谷氏はこれで別の状況が開けると
思った。しかし事態は氏の予期せぬ方向へと進む。同じ「平和社会」の隣人のはずの中国が、19日に船長の即時無条件釈放を要求し、報復措置として日中の閣僚級交流を停止した。
22日には、日本向けレアアース(希土類)の輸出全面差し止めに踏み切ったことが報じられ
た。23日には、建設会社フジタの社員4人が拘束されたことが判明する。平和主義者は
あわてた。ゆえに、「中国に分かってもらえるはずだと思っていた」と、後に語ったのである。
(続く)
URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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