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1986年6月にN.Y.に渡り、
1年の間ミッドタウンからダウンタウン、
そしてアップタウンのあちこちを住み歩いた。
196st.に住むスパニッシュの暮らしは、
なわとびをする子供達のように、もの静かな激しさがあった。
何度かため息をつくと、よいどれた娼婦がおいでおいでと手まねきをする。
ポンコツの車の上で、ボリュームをめいいっぱいに上げたラジカセを片手に、
ブラックの少年達は互いの顔を見合わせ、大声で笑う。
N.Y.のビルはひしめきあい、
そして東京の空よりはるかに高い。
東京の風は、僕を戸惑わせていた。
誰もがそうであるかの様に貪欲で、
スマートになろうとすればするほど滑稽(こっけい)だ。
君に会うまでに、つまりこのレコードを作り上げるまでに、
かなりの時間がかかった。
それは、ビジネスと体制とのギャップかもしれない。
そして僕の理想との・・・。
東京はとても広い街だ。歩くたびに何かにぶつかる。
その時々にわずかな情熱を感じることができたなら・・・胸をはってみたらいい。
空はとても高く、街並はとても平坦だ。
歩く時、立ち止まる時、走り出す時、夢見る時、いつでも、
そしてどこの場所にいても、僕は捜し続けてきた。
--------------------------1988年7月/尾崎豊