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・過去最大規模の日米共同統合演習が、九州、沖縄や日本海の周辺で行われている。
近年の中国海軍の活動をにらんで、手薄だった離島地域の防衛体制を大幅に見直す。
そんな議論が、「防衛計画の大綱」の年内改定に向け政府・与党内で進められている。
この地域の防衛力は沖縄本島の陸自約2100人や航空機部隊が中心で、それ以西は宮
古島のレーダーサイトだけだ。
04年にできた今の防衛大綱は、初めて中国の動向を意識して「島しょ部に対する
侵略への対応」を盛り込み、防衛省は冷戦時代の北方重視を改め、「南西シフト」と
呼ばれる部隊や訓練の見直しを進めてきた。
同省は現在、与那国島への陸自配備などを検討している。
漁船衝突事件もあり、尖閣への自衛隊配備や米海兵隊のような水陸両用部隊の
創設を求める意見が、民主党内からも出た。
とはいえ、日中両国の相互依存関係は深まる一方であり、近い将来、中国が武力侵攻を
起こすとは考えにくい。日米の緊密な防衛協力体制がそれを抑止している。米中が正面から
軍事的に衝突する展開も、ありそうにない。
そうした状況で、脅威対応型の発想に傾きすぎるのは得策ではあるまい。かえって、
日米中3カ国の安定した政治的枠組みを構築していく地道な作業を妨げることにならないか。
洋上の移動手段もない陸上部隊を島々においても、中国海軍の艦艇に対する抑止効果は望めない。
仮に海兵隊のような攻撃力の高い部隊をおけば、それこそ中国側に軍備拡張の格好の口実を
与えかねない。
この地域で起こりうる危険は、偶発的な海上衝突だろう。それを避けるには、まずは
対話を通じ両国間の連絡メカニズムや危険回避のルール作りを急ぐべきだ。
同時に、これからも続くと見られる中国の民間船や公船との摩擦に備え、海上保安庁の
警察機能を充実させ、領海警備をめぐる海自と海保の連携を深めることである。
万一の場合の備えが必要としても、機動性の高い艦艇や航空機を遠方からでも投入できるよう
即応性を高める方が賢明ではないか。「鎧」を見せつけるだけが抑止ではあるまい。(抜粋)
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