10/12/09 03:41:22 0
(>>1のつづき)
精神の自立の時期として重要な10代で、「阪神・淡路大震災」「地下鉄サリン事件」
「いじめ自殺」「金融ビッグバン」などを経験。とりわけ「いじめ問題」は彼らに深刻な影を落とし、
「目立たず、空気を読んで、できるだけ深く関わらず」暮らしていくことを余儀なくされた。
彼らは、何より仲間からバカにされることを恐れ、周囲から「スマート」と思われたい
願望が強いという。
そんな意識が「上昇志向」や「競争志向」「劣等感」を醸成し、「他人の顔色を見て行動する」
「無理をしても他人からよく思われたい」という意識に繋がる。こういった時代体験から、
共通の世代心理が生まれ、未来や将来への漠然とした不安が広がり、消費マインドが
抑制されるというのだ。
この嫌消費世代の消費性向は、企業や社会にも大きな課題を提示し、日本経済全般に
マイナスの影響を及ぼすことが懸念されている。たとえば、自動車産業の生産額の
縮小に比例する雇用喪失分は、約1万3000人に相当するという。ただの節約とは違い、
消費そのものが嫌いな彼らは、産業界の脅威にさえなり得る存在だ。
その一方で、これまでの世代の過剰消費とは対極にある無駄のない「コンパクト」な
消費スタイルが、海外の人たちの目には「クール」に映っているという著者の持論も、
目を引くものだ。
周囲の空気を読みながら上昇することを目指し、ネットワークを広げながら、競争社会で
サバイバルして生きていく。そんな「嫌消費」世代が、日本の市場をどのように変えていくのか?
ただのケチではない、「クールな消費者」としての新しい日本人像が生まれたように
感じるのは、享楽主義のバブル世代である筆者だけであろうか?(以上)