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「ひきこもり」の原因は精神障害か、それとも社会風潮か-。
ひきこもり支援のあり方を検討するため、厚生労働省と内閣府がそれぞれ実施した調査で異なる
原因分析が提示された。「原因は精神障害」とする厚労省に対し、「原因は生きづらい社会風潮の進行」
とする内閣府。関係者の間には困惑が広がっている。
厚労省は5月「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」を発表した。策定責任者の
斉藤万比古(かずひこ)・国府台病院精神科部門診療部長によると、ひきこもりは全国推計で
約26万世帯にのぼり、専門機関で受診した場合、ほぼ全員に何らかの精神障害がみられたという。
原因が精神障害にあるとすれば、国が検討している「障がい者総合福祉法」(仮称)の適用対象となる
可能性もあり、NPO法人「全国引きこもりKHJ親の会」の幹部は「背景に精神障害があると
示された意味は大きい」とする。
斉藤氏は「従来は社会風潮を原因とする解釈が主流だったが、効果的な支援策が打ち出されて
きたとは言い難い。新しいガイドラインは、現実に苦しんでいる人々を支援する指針となることを目指した」と話す。
一方で厚労省のガイドラインについて「『ひきこもりは病気や障害である』との誤解と偏見を広げる」との
批判の声もある。NPO法人「ニュースタート事務局」の二神能基(ふたがみ・のうき)代表は
「厚労省の調査対象は専門機関で受診した若者だけで、しかも184人と非常に小人数。非科学的で
実態とはまったく異なる」と指摘する。
厚労省に対し内閣府は7月「ひきこもりに関する実態調査」を公表した。5千人を対象とした無作為アンケートを
実施したところ、「職場問題」「病気」「就職活動失敗」が3大要因だった。内閣府調査で企画・分析の座長を務めた
明星大人文学部の高塚雄介教授は「厚労省の調査方法が妥当かどうかは疑問がある。精神障害も一部にあるが、
われわれは、スムーズな人間関係を実践できない人を『欠陥品』として放逐するような社会風潮の
拡大がひきこもりの主な原因と分析した」と話す。
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ソース:URLリンク(sankei.jp.msn.com)