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知的障害(ちてきしょうがい)または知能障害(ちのうしょうがい)とは、一般的には金銭管理・読み書き・計算など、
日常生活や学校生活の上で頭脳を使う知的行動に支障があることを指す。
精神遅滞(せいしんちたい、英:mental retardation)とほぼ同義語である。日本では1950年代から学校教育法では、
精神薄弱という表現が50年近くそのままに放置されていたため、1994年頃から数年間メディア一般では、精神薄弱を
「精神遅滞」という表現に一斉に変更して使用していた時期がある。1998年に法改正があり、「知的障害」に変わったため、
精神遅滞は一般には使われなくなった。「精神」の所在が明示できないため、「精神遅滞」ではすべての資質、能力が遅れているのか、
という印象を与えるためである。ただし、アメリカ合衆国などでは、こうした障害は「精神遅滞」と呼ばれているのが常で、
この分野の国際学会も、「mental retardation」という表現を用いている。この場合の「mental」は、かならずしも
「精神」という意味ではない。
法律上の定義 [編集]
法令上、一般的な知的障害の定義は存在しない。福祉施策の対象者としての知的障害者について定義する法令は存在するが、
個々の法令において、その目的に応じた定義がなされている。客観的な基準を示さず、支援の必要性の有無・程度をもって
知的障害者が定義されることもある。
客観的基準を示す法令にあっては、発達期(おおむね18歳未満)において遅滞が生じること、遅滞が明らかであること、
遅滞により適応行動が困難であることの3つを要件とするものが多い。遅滞が明らかか否かの判断に際して
「標準化された知能検査(田中ビネーやWISCやK-ABCなど)で知能指数が70ないし75未満(以下)のもの」
といった定義がなされることもある。
通常、事故の後遺症や痴呆といった発達期以後の知能の低下は知的障害としては扱われない。事故の後遺症については
通常の医療給付の問題であり、痴呆については老人福祉の問題と考えられるためである。したがって、法令上の用語としての
知的障害は、精神医学の領域における知的発達障害に照応することが多い。