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《疑惑の城⑲》
平成3年(1991年)春のある日。資金繰りに一息ついたオーナーは銀座高級クラブホステスの桂子と
隅田川遊覧船に乗っていた。快晴に恵まれ、船は千住大橋~白髭橋、言問橋、桜橋の下をゆっくりと
東京湾に向けて南下していく。隅田川沿の桜は満開。絶景であった。苦境を脱したオーナーを桜が祝福している。
「これほどの開放感を味わえるのは久々のことだ。神様は俺を見捨ててはいなかった。これからまた新たな人生が
始まるんだ。」
数々の苦難や修羅場をくぐりぬけ、激戦地吉原でやっと自分の城をもてたオーナー。
借金ごときで簡単に倒れるほどヤワな男ではなかったのである・・・・・・・・。
「最近、石川二代目からはぱったりと連絡が来なくなった。大丈夫だろうか・・・昨年末に会長職を稲畑会初代の息子である
稲畑裕考氏に譲ったらしいが。心配だな。テレビでは佐川急便事件が騒がれ石川二代目の名が取りざた
されてるが、こんなのは大した問題じゃない。あの御方なら乗り切れるだろう。」
それからオーナーは東京お台場にある桂子のマンションに入り浸るようになり、お台場から吉原の店に通勤するのが
常態化していった。店の経営は相変わらず好調。風俗雑誌の取材が頻繁にあり、「稼げる店」ということで姫の応募も
絶えることは無かった。愛人桂子との甘い生活、そして順調に推移するビジネス。
「そろそろ第2、第3の愛人が欲しいもんだ。」
(つづく)