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えーと、まー、どーでもいいことなんですけどー。
玄関はその家の顔、なーんて言うじゃないですか。んーじゃ、トイレは人体のどこに
当たりますかね。
俺に言わせれば……そう、母親の胎内ってとこすかね。
分かります? この俗世から隔離された、絶対的な安心感。
こうね、直方体の繭の中、ひとり白亜の安楽椅子に座しているだけで、俺は俺の原風景
へと還り、つかの間の安心立命を得ることが出来るわけですよ。
「な、なな、なんですか!? なんで千歳さんがそこにいるんですか!」
「いや! あの! 違うんですよ! こここ、これはですね、決して覗きとかじゃなくて!
些細な偶然の積み重ねが集束してひとつの大きな不運を招いた偶発的事象でありまして
ですね!」
「だだだ、だめっ! 開けないでくださいっ!」
「いや、そんな警戒しないでも……だからね、聞いてます? 些細な偶然が積み重ならない
かぎり、俺がこのドアをあらためて能動的に開けるようなことはないんです」
「あ、開けたらひとを呼びますよ!」
「だから、開けないって言ってるのに……」
「もしもし店長!? いま更衣室の外に変質者が!」
「って、えええ、開けなくても呼ぶんだ!?」
制服がカワイイと評判のレストラン「アレキサンダー」でバイトすることになった
主人公「千歳 鷲介」。勤務初日に支店長から説明を受け、スタッフルームに
向かった彼がそこで見たものは……着替え中の玉泉 日和子の姿だった……。
(PUSH 2006年11月号より)