08/06/06 21:21:55 yNLSFPEZ0
私にお父さんを責めることはできないの。なぜなら私だって、姉さん
を苦しめていたのだから。わかるでしょう。家を出て行った姉さんが爪
に火を灯すような毎日を過ごしていたのに、私はぬくぬくと、かわいい
ぬいぐるみばかり集めていたの。姉さんの深い悩みを知ろうともせずに、
自分ばかり助けてもらっていたのよ。あなたはとても目立った悪人だ
えど、私に言わせればか弱い少女に甘んじていたあたしのほうがよっぽ
どたちが悪いわ。あなたに罪があるのなら、私だって糾弾されるべき
なのよ。昔、まだ心を閉ざしていた彼の部屋にお邪魔したことがある。
彼が踏みとどまらなければ、私は犯されていたと思う。それぐらい足り
ない女の子だった。彼と姉さんの深い優しさに包まれていなければ生
きていけない。たいしたとりえもない私は、ただ、守られていたの。人
は独りでは生きていけないというけれど、一人で生きようともしなけれ
ば、そこには必ず甘えや媚という悪が芽生える。そんな当たり前のこ
とを、私はようやく学んだわ