08/04/26 12:40:05 svyRqa7Y0
俺の名前は中村詠二(なかむらえいじ)、カトリック系教団に属する神父をやっている。ただし…自分で言うのもナニだが、我ながらいい加減な神父だと思う。
まぁいわゆる不良神父ってヤツだけど、広い世界の中には俺みたいな軽い神父が居ても良いんじゃないの?って感じだよ(笑)
こんな俺が破門されないのはいわゆる人徳というヤツで…あ、信じてないね? はいはい…そうですよ、その通り。俺はズバリ女の子に妙に親切にされるんだよ。
まぁ顔の作りと砕けた立ち振る舞いが女の子に受けが良いらしいね。そういやよくベッドで「アナタって…イケナイ人♪」とか言われたっけ(笑)
ま、おかげでお布施も集まるし…ってのが実情かな?
…さて俺は今でこそ神父なんて商売をしてるが、学生時代は頭の固い両親と折り合いが悪く、家を飛び出してアパートに独り暮らしをしていた。
かなりやんちゃな遊びをしたり、喧嘩三昧の日々でよく卒業出来たモンだが…まぁ田舎の婆ちゃんのたっての頼みで高校だけは…てな感じだ。
卒業と同時に俺は欧州に渡り、バイトを続けながらあちこちを点々としたが、その結果行き着いたところはイタリアだった。
地中海を望むローマの小さな教会で下働きとして手伝ううちに、俺はすっかりソコの神父とうち解けあってしまい、洗礼を受け自らも神父としての修行を積んだのだ。
ローマは…良いところだった。魚貝類を喰う文化も大事だがなんといっても女の子が良い!!開放的で情熱的なイタリア娘達との逢瀬…
あ コホン、とまぁ…かなりイタリア暮らしを気に入っていた俺だったが、やはり俺も日本人なのだろう…ふと故郷のことを思い出し、居てもたっても居られなくなってしまう…
こうして俺は7年ほど暮らした欧州の地を離れ、懐かしい日本へと飛んだのだった。…決してローマで女関係のトラブルを起こしたからではないぞ!? うん
日本に来て真っ先に顔を出すところは決まっている。婆ちゃんは天寿を全うしているので後でゆっくり墓参りに行くとして…それは無論「真理亜(まりあ)」さんの所に他ならない!
そう…学生時代、アパートに独り暮らしをしていた俺に、誰よりも親切にしてくれたのは隣室の住人の「長崎真理亜」さんだった。彼女はシスターとして教会で奉仕活動を行いつつ、女手一つで一人娘の晶(あきら)を育ててきた未亡人で、まさに俺にとってのマリア様なのだ。
本当の親には手紙一つ書いたことのない俺だったが、彼女にだけは毎年クリスマスカードを送ったモノだっけ…
7年ぶりに逢った真理亜さんは相変わらず若く、俺の記憶にあるままの可愛らしさだった。俺はここ数年の出来事を彼女に話し、また彼女もそんな俺の話を楽しそうに聞いてくれる… 真理亜さんはふと気づいたように俺に今後はどうするかを訪ねてくる。
まぁその辺は適当に教団にでも問い合わせて、住み込みでいけるような田舎の教会でも紹介して貰おうと思って居たのだが…「詠二さんさえ良かったら…」と、彼女は話し始めた。
なんでも今現在、真理亜さんはカトリック系の総合病院に赴任しているらしい。それも付属の看護学校の専属の講師として教鞭をとっているというのだ。確かに博愛精神溢れる真理亜さんにはうってつけの仕事だろうと俺は納得していたのだが…
彼女は俺にその看護学校に神父として赴任してみないかと言い出したのだ。どうもこの間まで赴任していた老神父が引退してしまったらしい… しかし渡りに船とは正にこのこと、俺は彼女に微笑みながら承諾の意を伝えようとするが…話はここで終わらなかった。
その学校「聖ミカエル看護学校」の学生はすべて全寮制で、敷地内の女子寮に住んでいるのだが、どうも先日下着ドロが入ったらしく、ここ数日学生達の間に不安が高まっているらしい。…ローマでは泥棒なんて日常茶飯事だが、まぁ治安国家日本では十分に驚異なのだろう。
そこで…「詠二さんにはその女子寮へ住み込んで頂きたいんですの♪」…す、数百人の汚れを知らない看護婦の卵の娘達と一つ屋根の下で暮らせ…?
幾ら俺が神父だからって、それはマズいんじゃ… そうは思ったものの、気が付いたら俺は真理亜さんの手をしっかりと握りしめ「任せてください!」
…そう宣言していた(^-^;
これが俺と彼女達のとびきり素敵な関係の始まり…ってワケさ。
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