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AFP=時事 8月31日(水)10時44分配信
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の飼育施設で撮影したタスマニアデビル(2012年4月27日撮影、資料写真)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】悪性の顔面腫瘍で個体数が大幅に減少したタスマニアデビルは、非常に急速な遺伝子進化を通して絶滅の危機から立ち直りつつあるとみられるとの驚くべき研究結果が30日、発表された。
オーストラリアのタスマニア(Tasmania)島にのみ生息する、イヌほどの大きさの夜行性の肉食有袋類で絶滅危惧種に指定されているタスマニアデビルについて、20年前に顔面腫瘍が発生した前後の294個体のゲノム(全遺伝情報)を
詳細に比較した結果、ほんの4~6世代の間に、7個の遺伝子に種全体に及ぶ適応進化が起きていることが明らかになった。7個のうちの5個は、哺乳類の免疫力とがんへの抵抗力に関連する遺伝子だ。
英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文の共同執筆者で、米ワシントン州立大学(Washington State University)の
アンドリュー・ストーファー(Andrew Storfer)氏はAFPの取材に「タスマニアデビルは進化している」と語る。「特筆すべきことに、この進化は極めて急速だった」
環境や病気などの要因に対応した有益で持続する遺伝形質の獲得による生物種内の進化のプロセスは、長い時間をかけてゆっくり進行すると一般に考えられている。
そのため研究チームは、種を救う可能性のある変化がまさに自分たちの目の前で起きているのを見て「うれしい驚き」を感じたという。
タスマニアデビルの顔面に増殖する奇妙な腫瘍に科学者らが最初に気づいたのは1996年のことだった。
■悪魔のような疾病
大半の悪性腫瘍とは異なり、この顔面腫瘍は伝染性で、互いのかみつき行為によって拡散していることが間もなく明らかになった。
このデビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)を発症した個体は多くの場合、腫瘍の増殖によって餌をとることができなくなり、餓死する。
ストーファー氏は電話会見で「この病気の致死率は100%に近い。タスマニア島全体の95%に広まり、既知の個体群のほぼすべてに感染し、タスマニアデビルの個体数を全体で約80%減少させた」と述べた。
個体数はかつて25万匹を超えるほどだったが、現在野生の状態で残っている個体はわずか数千匹にすぎないと考えられている。
種の絶滅も予測されたタスマニアデビルがいまだに現存しているのはなぜかを解明するため、ストーファー氏らの研究チームは研究に着手し、20年以上にわたって収集された数千に及ぶ組織サンプルの遺伝子データを分析した。
論文の共同執筆者で米アイダホ大学(University of Idaho)のポール・ホーエンローエ(Paul Hohenlohe)氏によると、タスマニアデビルが「著しく急速に進化している」ことをこのデータは示しているという。
「この疾患が最初に現れたのが1996年なので、わずか20年間というのは、特に哺乳類にとってはことのほか急速だ」
今回観察された遺伝子の変化が、実際にタスマニアデビルのDFTDに対する抵抗力を高めているかどうかについては、科学者らはまだ確証を得ていない。
今回の研究で得られた情報はタスマニアデビルの飼育者らが予防的に作用する遺伝子変異を持つ個体を生産するために利用できる可能性もある。
「全体的に見て、今回観察されたタスマニアデビルの進化応答は、この動物の持続的な生存が期待できることを示唆している」と、論文の執筆者らは結論付けた。【翻訳編集】 AFPBB News
最終更新:8月31日(水)10時49分AFP=時事
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