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ザトウクジラはシャチから他の動物を守る、研究報告 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
URLリンク(natgeo.nikkeibp.co.jp)
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2012年5月、米国カリフォルニア州のモントレー湾で、シャチの群れがコククジラとその子供を襲う様子を研究者たちが観察していた。この戦いの末、コククジラの子供は殺された。しかし、次に起きたことは簡単に説明がつかないことだった。(参考記事:「【動画】シャチの群れ、コククジラ母子を襲う」)
シャチの群れがコククジラを攻撃している最中も、2頭のザトウクジラがその場にいた。しかし、コククジラの子供が死んだ後、14頭以上のザトウクジラが集まってきた。まるでシャチに子クジラを食べさせまいとするように。
「1頭のザトウクジラが子クジラの死体のそばにやってきました。頭を子クジラの方に向け、身の丈以上に離れようとはしませんでした。そして大きな鳴き声をあげ、シャチが食事をしようと近づいてくるたびに尾を振って追い払おうとするのです」。カリフォルニア・シャチ・プロジェクトと行動をともにしていたクジラの研究者、アリサ・シュルマン=ジェニガー氏はそう話す。
6時間半もの間、ザトウクジラはヒレや尾を使ってシャチを追い払い続けた。ザトウクジラたちは、好物のオキアミの群れが近くにいるにもかかわらず、死んだ子クジラを守るのをやめようとしなかった。
なぜザトウクジラは、まったく違う種を守ってケガをする危険を犯したり、労力を使ったりするのだろうか。明らかなことは、これが唯一の事例ではないことだ。2016年7月に科学誌「Marine Mammal Science」で発表された研究によれば、このようなザトウクジラとシャチの戦いはここ62年間で115回も記録されている。
研究の共著者であるシュルマン=ジェニガー氏は、「このようなザトウクジラの行動は、世界中の複数の海域で発生しています」と言う。
「私も何回か目撃したことがありますが、あのとき(2012年5月)ほどドラマチックなものはありませんでした」。現在まで、ザトウクジラとシャチの戦いがここまで長時間にわたって繰り広げられたという報告はない。(参考記事:「【動画】ザトウクジラが桟橋前で大口開け食事」)