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【プレスリリース】福島県中山間地に生息する節足動物体内の放射性セシウム量の推移を解明 ―農業復興にむけて、除染効果を判定するあらたな指標となる可能性― - 日本の研究.com
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東京農業大学総合研究所では、おもに被災地の農業復興を目的として東日本支援プロジェクトを推進しており、その一環として福島県内の中山間地に生息する節足動物における放射能汚染状況について調査をおこなってきました。その調査結果から、節足動物に蓄積する放射性セシウム量が中山間地生態系における放射能汚染レベルを反映していることが示唆されました。今後、除染効果を判定するあらたな指標として節足動物の活用が期待されます。
発表論文の詳細
掲載誌:
Journal of Environmental Radioactivity (ジャーナル・オブ・エイバイロンメンタル・ラジオアクティビティー=エルゼビア(オランダ)発行、国際放射線生態学連合提携誌)電子版
発表日:
2016 年 7 月 20 日
論文タイトル:
Radioactive contamination of arthropods from different trophic levels in hilly and mountainous areas after the Fukushima Daiichi nuclear power plant accident
(福島第一原子力発電所事故後の中山間地域に生息する栄養段階のことなる節足動物における放射能汚染)
著者:
Sota Tanaka, Kaho Hatakeyama, Sentaro Takahashi, Tarô Adati
URL:
URLリンク(www.sciencedirect.com)
DOI(デジタルオブジェクト識別子):
10.1016/j.jenvrad.2016.07.017
<本研究の要点>
1.福島県の中山間地で採集した節足動物から、福島第一原発事故に由来するものとみられる放射性セシウムを検出した。
2.2012 年から 2014 年にかけて、植食性のバッタ類と雑食性のコオロギ類に蓄積された放射線セシウムの量は一貫して減少する傾向にあった(図 A および B)。こうした傾向は、おもにこれらの節足動物の餌が存在する農耕地および住宅地周辺の除染作業と放射性セシウムの自然減衰によるものと推測される。
3.いっぽう、造網性クモ類に蓄積された放射性セシウム量には減少傾向はみられず、2014 年 9月の時点で、調査した節足動物のなかでもっとも高い 204Bq/kg(新鮮重、134Cs+137Cs)が検出された(図 C)。造網性クモ類が餌とするハエ類などの飛翔性昆虫は、除染作業がおこなわれない山林や池などで放射性物質を多くふくむ腐植などを餌とするため、このような高濃度の放射性セシウムが検出されたものとかんがえられる。
4.節足動物に蓄積された放射性セシウム量と生息地の空間放射線量率とのあいだには、有意な正の相関がみられた。このことは、食性のことなる節足動物に蓄積する放射性セシウム量が中山間地生態系における放射能汚染状況を反映していることを示唆するものである。これらの知見をもとに、今後の農業復興にむけて、除染効果を判定するあらたな指標としての節足動物の活用が期待される。