16/06/21 11:30:31.38 CAP_USER.net
2016.6.17
PHOTO: LUCAS JACKSON / REUTERS / AFLO
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「赤ちゃんの肌にも安心して使える」として日本でも知られるジョンソン・エンド・ジョンソンのベビーパウダー。
しかし米国やカナダでは、この商品に含まれる原料のタルクの発癌性について警告を怠ったとして、1400件あまりの訴訟が起きている。原告は主に卵巣癌で死亡した女性の遺族たちだ。
タルクは、マグネシウムとシリコンが主成分の天然鉱物。水分を吸収しダマやヨレを防ぐことから、頬紅をはじめとする化粧品に多く使用されている。
また、米国では数十年前からデリケートな部分や下着、生理用品にはたくと股擦れやムレを防げる
「タルカムパウダー」として使う女性が多い。さらに、錠剤やチューインガム、米などの食品添加物としても利用されている。
しかし、1971年には、すでにウェールズの科学者たちが卵巣と子宮頸部の癌組織からタルクの粒子を検出した。
以来、タルカムパウダーによる陰部ケアと卵巣癌とを関係づける論文は続々と発表されている。
発癌性の高いアスベストと採鉱場所が近接している場合も多く、メーカーは混入防止に細心の注意を払う必要があるというわけだ。
訴訟記録によれば、タルク納入業者は2006年から警告ラベルを付けているが、ジョンソン・エンド・ジョンソン側は自社製品に同様の警告を記さなかった。
一方、コンドームや手術用手袋のメーカーは、すでにタルクの使用をやめている。
タルカムパウダーと卵巣癌との因果関係については、公的機関の間でも対応に温度差がある。
国際癌研究機関は2006年に因果関係を認めた。一方、非営利の癌予防連合会が何回も請願書を出したのに、米国食品医薬品局(FDA)は認めようとしない。
しかし2006年5月上旬には、アフリカ系米国人女性が使用した場合、卵巣癌のリスクが44%も増加するという報告も出されている。
米国のジョンソン・エンド・ジョンソンは、タルカムパウダーに発癌性はないとする論文を引いて、真っ向から反論。
2016年2月と5月の判決では、合計1億2700万ドル(約140億円)の賠償金支払いを求められているが、これに不服として上訴する予定だ。
また「トロント・スター」によると、この波はカナダにも広がっている。5月にはオンタリオ州などに住む遺族らが、ジョンソン・エンド・ジョンソン・カナダを訴えた。
米国の原告の1人であるディアン・バーグ(59)は、この裁判でタルクの危険性を知ってもらえるよう願っている。
彼女は卵巣癌が見つかった10年前まで、30年間毎日ベビーパウダーを使用していたという。米「ニューヨーク・タイムズ」の取材に、彼女はこう嘆く。
「以前は何も知りませんでした。ベビーパウダーは赤ちゃん向けだから、安全なものと思いこんでいたのです」