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睡眠不足でも脳への刺激で記憶力がアップ | 理化学研究所
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睡眠不足でも脳への刺激で記憶力がアップ | 60秒でわかるプレスリリース | 理化学研究所
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私たちの睡眠には、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム催眠)があります。眠りにつくと、まずノンレム睡眠が現れ、次にレム睡眠へ移行します。約90分周期で1晩に4~5回、繰り返されます。
このような睡眠にはどのような機能があるのでしょうか? その1つとして、起きている間の知覚した体験を「記憶」として定着させる機能があります。この機能は、感覚情報などの外部からの入力が少ない睡眠時の脳内において、内因的な情報処理により行われると考えられています。しかし、具体的に脳のどの回路が関与しているかは明らかになっていませんでした。大脳新皮質内の第二運動野(M2)という高次な領域は、第一体性感覚野(S1)という低次な領域とつながっています。理研の研究者を中心とする共同研究グループは、知覚記憶の定着には、M2からS1へと情報が伝わるトップダウン入力が関与しているのではないかと考え、その可能性を探りました。
まず、共同研究グループはマウスに知覚学習をさせ、その直後のノンレム催眠時にトップダウン入力を抑制すると、知覚記憶の定着が妨げられることを見出しました。これにより、睡眠を利用した知覚学習には寝入り時が大切であることが分かりました。また、知覚学習直後のノンレム睡眠時にM2とS1を同時に活動させて光で刺激したところ、マウスは学習した知覚記憶を、より長く保持することを見出しました。これにより、睡眠時の知覚回路の活性化で記憶力が向上することが分かりました(図左参照)。
ヒトや実験動物において、長時間眠らせない「断眠」を行うと、記憶の定着が阻害されることが知られています。ところが、知覚学習後のマウスを断眠させながらM2とS1を同時に光で活動させて光で刺激した場合、通常の睡眠をとったマウスと比べても、より長い期間、知覚記憶を保持しました(図右参照)。これにより、睡眠不足の状態でも、適切なタイミングで大脳新皮質を刺激することで、知覚記憶を向上できることが分かりました。
今回、光刺激を行った感覚野を含む大脳新皮質は脳表面に位置します。近年臨床で用いられ始めている経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激や経頭蓋直流刺激によって、ヒトにおいても刺激を与えることが可能です。今後、マウスにおける大脳新皮質の刺激パターンをさらに臨床に適用できるように改良することで睡眠障害による記憶障害の治療方法の開発に応用できると期待できます。