【動物行動学】発情期のエルクが放つ「悪魔の声」の謎が解けた 2種類の声を組み合わせ、近くと遠くへ同時にアピールat SCIENCEPLUS
【動物行動学】発情期のエルクが放つ「悪魔の声」の謎が解けた 2種類の声を組み合わせ、近くと遠くへ同時にアピール - 暇つぶし2ch1:もろ禿HINE! ★@\(^o^)/
16/04/25 07:52:40.57 CAP_USER.net
発情期のエルクが放つ「悪魔の声」の謎が解けた | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
URLリンク(natgeo.nikkeibp.co.jp)

 心配ご無用、声の主はおそらく発情したオスのエルクだ。北米に生息する大型のシカで、体重300キロを超すものもいる。
 体の大きな動物は、発声器官である喉頭も大きく、また声の通り道となる声道が長くなる傾向にある。その結果、大きな動物の鳴き声は、低いことが多い。ゾウが低い声でうなり、ネズミが甲高い声で鳴くのはこのためだ。(参考記事:「心拍数1200から重さ180kgまで、動物の驚異の心臓」)
 ところが、オスのエルクは発情すると、その大きな体に似合わず、甲高い金切り声を上げる。
 エルクはどうやってこの独特の声を出しているのだろう。しかも喉頭の大きさからみると、ありえないほど高い声を出すこともある。エルクの声は自然界の謎として、科学者たちを悩ませてきた。
「叫び声や悲鳴のように聞こえます。複数の動物が同時に鳴いているようでもあります」。英国サセックス大学のデビッド・レビー氏は、発情期のオスの声をこう形容する。レビー氏らはエルクの声について研究し、4月20日付けで学術誌『Journal of Experimental Biology』に論文を発表した。
「もし夜の森にいて、声の主がわからない状態でこの音を聞いたら、おそらく恐怖に襲われるでしょう」とレビー氏は言う。論文では、エルクが笛のような高い音と、声帯の振動による低いうなり声を同時に発生させていて、これによって独特の不気味な鳴き声が生まれると結論づけている。(参考記事:「イヌはなぜサイレンで鳴く? 遠吠えの様々な理由」)

高音と低音の“二重唱”
 レビー氏らはニュージーランドの農場でエルクの声を高音質で録音し、研究室に持ち帰った。
 分析の結果、発情期のエルクの声は2つの異なる要素で構成されていることがわかった。約150ヘルツの低いうなり声と、最大4000ヘルツに達する笛のような高音だ。人間だと、成人の声は通常85~250ヘルツの範囲に収まる。
 2種類の音は、個別に強さを変えられる。それどころか、片方の音を出し続けながら、もう片方の音を止めることもできる。
 メスのエルクも発情期に鳴き声を上げるが、笛のような高音は出さない。このため、研究の対象はオスに絞られた。
 レビー氏らの研究チームでは、一連の分析結果からみて、2種類の音はそれぞれ、エルクの体の別の部位から発生しているのではないかと推測した。
 研究チームは、自然死したオスのエルクの頭と首をCTスキャンで調べてみた。その結果、エルクの声帯は低いうなり声に最適な大きさであることがわかった。しかし、これだけでは笛のような高音の説明がつかない。
 その後、エルクの動画を見ていたレビー氏らは、あることに気づいた。笛のような高音を出しているとき、エルクたちは唇や鼻孔を動かしていたのだ。
「笛のような音は、空気力学の作用で発生していると、私たちは考えています。鼻孔の開閉か、あるいは空気によって軟口蓋を振動させる動きが関係しているのでしょう。楽器のフルートのような仕組みです」と、レビー氏は説明する。
 オーストリアにあるウィーン大学の生物学者テクムセ・フィッチ氏によれば、このような発声方法は、哺乳類ではあまり知られていないという。フィッチ氏は今回の研究に参加していない。
 笛のような音と普通の鳴き声を組み合わせるというのは「かなりユニークなやり方です」というのが、フィッチ氏の感想だ。
「野生の(エルクの)鳴き声を聞いたことはありますが、笛の原理が働いているとは想像すらしませんでした。これは革新的な洞察であり、個人的には、信頼に足る重要な発見だと思います」(参考記事:「恐竜と似た声の動物が人類と共存、5万年前に絶滅」)


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