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毎日新聞2016年1月12日 東京夕刊
世界で発表された過去15年間の生物医学系の学術論文を抽出して調べたところ、同じ方法で実験すれば同じ結果が得られる「再現性」を
確認するための手法が十分に書かれていないなど、ほぼすべてに欠陥があったとする分析結果を、米スタンフォード大などの研究チームが
オンライン科学誌プロス・バイオロジーに発表した。資金の提供元などに関する情報がない論文も多く、論文のデータ改ざんや捏造
(ねつぞう)の背景になっているとの指摘もある。
研究チームは、2000~14年に発表された生物医学系論文から441本を無作為に抽出。そのうち実験データを伴う268本を
精査したところ、再現実験に必要な全ての手順や条件を公表している論文は1本だけだった。
論文の図表類の基になる実験の生データを紹介している論文もゼロで、生データの取り寄せ方法を示した論文も1本しかなかった。
また、論文441本のうち51・7%で研究資金の出所の記載がなく、69・2%は企業などとの利害関係を示す「利益相反」の有無を
明示していなかった。研究チームは、各論文の研究結果の真偽については検証していない。
論文の再現性をめぐっては、研究不正が発覚したSTAP問題などをきっかけに、透明性や説明責任が強く求められているが、詳細な
実験情報を公開すれば後追いする研究が増えるため、研究者は公開に積極的ではない背景がある。研究チームは「論文の透明性や再現性に
対する科学界の関心は増しており、それらの欠如は研究の価値を下げる」と指摘する。【須田桃子】
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