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レアな繁殖法をもつヒキガエル3種を同時に発見 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
URLリンク(natgeo.nikkeibp.co.jp)
マルシオ・パイ氏は、あきらめかけていた。
パイ氏の研究チームは、夜明けとともにブラジルのパラナを出発した。長い悪路を4WDに揺られ、セラ・ド・キリリ山のふもとに車を停めた一行は、雲霧林に向けた急坂を上り始めた。
衣服はびしょぬれで、誰もが疲れ果てていた。
そのとき、氏は静かな鳴き声を聞いた。真っ暗闇に近い森を、そろりそろりと歩きながら声をたどると、アナナスの枝の間に、赤腹の小さなカエルを見つけた。(参考記事:「体長1センチの
新種カエル、7種を発見」)
彼らの根気は、報われたのだ。チームは、ブラジル南部の雲霧林に住むヒキガエルの新種3種を見つけた。Melanophryniscus biancae、M. milanoi、M. xanthostomusだ。
「これらのカエルは非常に神経質です。湿度が高すぎても低すぎても、捕まえることはできないでしょう」と、パラナ連邦大学の進化生物学者のパイ氏は述べている。
いぼいぼの森の住民
暫定的なDNA検査から、色が濃く腹に赤い模様があるこの3種は、非常に関連が強く、わずか数千年前に進化を遂げたことが示された。
この3種は体長わずか2.5cmと、ヒキガエルとしては小柄な部類に属する。クロヒキガエル属(Melanophryniscus)の多くは毒を持つが、3種が毒を持つかどうかはわかっていない。(参考記事:
「有毒カエルの皮膚は甘くて苦い?」)
クロヒキガエル属は池や小川に産卵するが、3種は植物にたまった水に産卵する(phytotelm breeding)。一般的に水溜まりは小さいため、産卵数は50未満と他のヒキガエルに比べて少ない。
(参考記事:「トゲ肌からツル肌に早変わりする新種カエルを発見」)
オタマジャクシは比較的大きく、泳ぎがあまり得意ではない。チームはこれらの研究結果を、12月2日付の科学誌「PLOS ONE」に発表した。
何よりも重要なこと
ブラジル東部の雲霧林では、1990年代以降数々の新種が発見されている。
山頂を取り囲むように茂る孤立した森は、「空の孤島のようなもの」とパイ氏。
つまり、ある山頂に住む種がほかのどこにも存在しないことが多く、結果的に驚くほどの多様性が保たれている。このプロジェクトだけでも、11種の新種が発見されている。
しかし、範囲が狭いことは危険でもある。1つの集団が姿を消せば、絶滅を意味するからだ。今回発見されたヒキガエル3種も、すでに気候変動と森林破壊による「脅威にさらされている」と
パイ氏は言う。 (参考記事:「半透明のかわいい新種カエル、コスタリカで発見」)
雲霧林は気候変動の影響を最初に受ける生息環境のひとつであり、研究チームは発見の発表を急いだ。
また、3種を正式に命名することが生存を確保するための第1歩でもある。
「名前がなければ、法的には存在しないのと同じこと。なので、保護できないのです」