15/12/21 23:35:26.07 *.net
労働者全体の4割を占めるまでに増えた非正規雇用が、若い世代の結婚や子育ての壁となっている。
派遣社員として長年働く中部地方の独身男性(43)の収入を例に、結婚して子どもができたと仮定して家計をシミュレーションしたところ、生活保護世帯並みの生活苦に陥ることが分かった。
男性は高校卒業後、三年ほど正社員として勤めたが、その後は非正規雇用。一~数カ月ごとに派遣先が変わる。食品工場で働いた十一月の給与明細を見ると、
時給千円で、所得税の源泉徴収や交通費を引いた月収は約十七万二千円だった。このペースで働ければ、年間の手取り収入は約二百六万円になる。
国民健康保険(国保)や住民税は自分で役場に払いに行っているが、国民年金はほぼ払わずじまい。「貯金もほとんどなく、結婚なんて考えようがないのが現実です」
女性の非正規雇用は六割近くに達し、男性よりも割合が高い。相手の女性がパート労働で毎年約百万円の収入を得ると仮定して、名古屋市のファイナンシャルプランナー(FP)早川元子さん(66)に家計をシミュレーションしてもらった。
一家の年間収入は、二人の合計年収に児童手当を加えて約三百二十万円。支出は▽国民年金約三十七万円▽その他の社会保険料と税金(国保や住民税など)約四十三万円-で合計約八十万円。
家賃や保育・教育費を含めた生活費として残るのは約二百四十万円にすぎない。
早川さんによると、高校までの教育費は、ずっと公立で学んだとしても平均五百万円ぐらいかかる。「大学の学費分をためるのは無理。大学に進む場合は奨学金を利用するしかないですね」。
二人が働き続けられれば、高校までの教育費は出せそうだが、習い事や塾通いは抑え気味にせざるをえない。大学は、子どもの自己責任で行ってもらうしかないという。
男性の家計を生活保護世帯と比べてみた。国が示す標準三人世帯(子ども四歳、名古屋市の場合)の年間支給額は約二百五十万円。
男性は、共働きでも非正規雇用なら生活保護世帯と同程度の生活費しかないことに、「親子三人でも苦しい生活に変わりはないんですね」と驚く。
早川さんは「子どもが成長するにつれ、収入を増やそうと妻がフルタイムで働く手もあるが、保育・教育費用も増えて生活が大変なのは変わらない」「少子化対策では非正規雇用の待遇改善も重要」と強調する。
◆半数超が年収200万円未満
2015年の厚生労働白書によると、男性に配偶者がいるかどうかを年代・雇用形態別に調査したところ、「25~29歳」で配偶者がいる割合は、正規雇用33.4%で、非正規雇用14.5%。
「35~39歳」では正規雇用71.7%で、非正規雇用33.5%となり、非正規雇用の男性が結婚しにくい現実が浮き彫りになっている=表参照。
雇用形態別の年収分布では、正規雇用の300万円未満は21.7%にとどまるが、非正規雇用では200万円未満が56.5%と半数を超す。非正規雇用の結婚しにくさは、低収入であることが要因になっている。
白書は、若者を結婚しやすくする施策として、「とりわけ重要なのが、若者の安定した雇用による経済的基盤の確保」としている。
URLリンク(www.chunichi.co.jp)
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