17/03/06 16:22:07.57 CAP_USER.net
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「VR(仮想現実)を悪用すれば、相手の視覚をジャックできる」―PlayStation VR用ゲーム
「サマーレッスン」を開発した、バンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘チーフプロデューサーが3月4日、
政府のサイバーセキュリティ啓発イベント「サイバー攻撃を目撃せよ!2017」(ベルサール秋葉原)で、
VR技術に潜むリスクについて話した。VRを悪用すると、端末を装着したユーザーを嘔吐(おうと)させたり、洗脳したりできる可能性があるという。
「数千人を一斉に車酔いさせ、嘔吐させることも可能」―原田さんは、そんな悪用方法を紹介する。VR端末がネットに接続し、
リアルタイムで映像をストリーミング再生できるようになると、装着しているユーザーを一斉に“3D酔い”させ、行動不能にできる可能性があるという。
「これは非常に簡単。10分見続ければ、ほとんどの人が『もうだめだ』と言ってしまう映像コンテンツを作れる」と原田さん。人
によっては6時間ほど影響が残り、食欲を失うケースも考えられ、経済損失は計り知れないという。
「VR端末が広く普及し、誰でも使うようなれば、こうした嫌がらせを仕掛ける人も出てくるだろう」。
この嫌がらせへの対抗手段は「両目もしくは片目をつぶること」。しかし「VRは没入感が高いので、
すごく怖い映像が流れていても、なかなか目をつぶらないユーザーもいる」という。
「嘔吐させる」以上に、原田さんが警戒するのが「洗脳」だ。テレビのようなモニター画面に比べると、
VR端末は現実世界が見えなくなり、ヘッドフォンを装着すると外の音も聞こえなくなるため「外界遮断効果が高く、瞑想(めいそう)の効果が高まる」という。
「オカルトな話ではなく、科学的根拠がある。洗脳したり、詐欺をしたりに使われる可能性は否定できない」
一方、ポジティブな見方をすれば、トラウマを緩和したり、洗脳を解いたり、通販番組の購入率を向上させたり
―などの活用方法も考えられるという。「ただでさえ、テレビの通販番組を見ていてもミシンやアイロンが買いたくなってしまうのに、
VR端末越しに巧みなトークをされると、目の前で即売会が開かれているかのように感じるかもしれない」。
さらに原田さんは「研究段階なので断言はできないが」と前置きしつつ、人間の危険察知能力を悪用されるリスクもあると指摘する。
危険察知能力とは、例えば、高速で何かに衝突しそうになったとき、光景がスローモーションに見えるといったものだ。原田さんによれば、
この現象は、脳が衝突時の衝撃と出血に備える処理に集中し、視覚処理を一時的に怠ることで起きるという。
「フレームレートが、秒間200コマから秒間15コマくらいに落ちているようなもの」。
危険な状況をVR世界で再現すれば、リアルな生理反応を誘発できる可能性があるという。「VRのゲームで、クルマにぶつかりそうになると、
思わず体が仰け反る。あくまで仮説にすぎないが、VRで生理反応を引き起こし、健康被害を与えられる可能性もある」。
原田さんによれば、テレビのようなモニターかVRかを問わず、映像には
(1)学習効果を高める、(2)イメージトレーニングしやすい、(3)めまいや酔いを誘発させる―などの効果があることが確認されているという。
VR映像では「モニターの比にならないレベルで、視覚を司る脳が錯覚を起こす」と原田さんは強調する。
「サマーレッスンでも、目の前に女の子がいるVR映像を見せると、本当は出していないのに『吐息が当たった』と触覚を感じてしまうユーザーもいた」
そうした危険性はあるものの「最新のテクノロジーは悪用手段になり得るが、忘れてはいけないのは、それ以上に恩恵が大きいこと」と原田さんは言う。
ポリゴンやGPSなど、もともと軍事目的で研究されたものが社会に広く普及したケースも少なくないという。
原田さんの開発チームは2012年からVR技術の研究を始め、14年に「サマーレッスン」を発表。同年には1000人を対象に、
サマーレッスンのVR映像が与える影響などを調べる臨床実験も行っている。「1000人規模となると十分に有意差が出る実験。
こうしたデータを、サイバーセキュリティなどに生かしていきたい」という。
「VRの高い効果は、善悪どちらにも有効な諸刃の剣と言える」(原田さん)