17/02/12 20:01:32.55 CAP_USER.net
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何歳からが老人か。江戸時代なら40歳で隠居が当たり前だったが、いまでは100歳でも現役という人もいる。
社会的にはこれまで「65歳」が一つの目安だったが、日本老年学会と日本老年医学会の提言により、
「75歳」に引き上げられる可能性が出始めた。「老後」はますます遠のいていく。「死ぬまで現役」は幸せなのか。
世間で最も懸念されているのは年金や医療、介護といった社会保障のカットだ。
いまは65歳を基準にしている社会保障の制度が多く、基礎年金の支給が始まり
、介護保険で原因に関わらずサービスを受けられるのは65歳以上だ。だが、社会保障費は歳出の3分の1を占めるまで膨らんでいる。
制度の恩恵が受けられる年齢を70歳や75歳まで引き上げる“口実”に、今回の提言が使われるかもしれない。
行政や政治として両学会の提言に関与はしていないというが、政府・与党の関係者には、
基礎年金の支給や介護保険のサービス開始年齢の引き上げは将来的に避けられないとする人も多い。
提言について「引き上げに向けた議論の後押しにはなる」(財務省幹部)といった声もささやかれ、正直、政府は大歓迎なのだ。
さざ波のように不安や疑念が広がっている「高齢者は75歳から」。それが浸透したら、人生設計で何が大事になり、われわれの生活はどのように変わっていくのだろうか。
認知症など高齢者の医療問題に詳しい医師(神経内科)で作家の米山公啓さんは、見直しには賛成しつつ、次のように指摘する。
「高齢になればなるほど個人の健康に関するデータのばらつきは大きくなります」
基準年齢の見直しは全体でみると正しくても、個々人にとっては当てはまらないことがあるのだ。
「同じ年齢でも喫煙や飲酒など生活習慣によって健康状態には差が出てきます。
一人ひとりのデータの推移を見なければいけない。高齢者になるのが遅くなる分、健康管理も長期戦になるので、早めの生活習慣の改善が求められます」(米山さん)
社会保険労務士でブレインコンサルティングオフィス代表の北村庄吾さんは、現在65歳の年金の支給開始年齢は70歳まで上がると予想する。
「今回の動きは年金の支給開始年齢の引き上げや医療費の負担増の布石となる。政府はこれまでも上げようとしてきたが、
世論の反発が強かった。年金の支給開始が70歳からでもやむを得ないという環境づくりを狙っている。高齢者の定義の変更は、その材料として使われる可能性が高い」
いまは2.2人の現役世代で1人の高齢者を支えているが、30年には1.8人に1人、50年には1.3人に1人まで高齢化が進む。年金の保険料を上げるには限界もあり、
制度を維持しようとすれば、受給者に痛みを強いるしかない。
ほかの先進国でも米国やドイツは67歳、イギリスは68歳まで受給開始の年齢を引き上げる方針。日本でも平均寿命が延びるに従って、
60歳から65歳まで引き上げられてきた。早ければ数年以内に、70歳まで引き上げの方針が決まると北村さんはみている。
そうなると、もらえる年金は大幅に減る。平均的な賃金で40年間厚生年金に加入した会社員と専業主婦の夫婦を想定した
「標準モデル世帯」では、合計の月額支給額は22万1279円(17年度見込み)。これをもとに単純計算すると、支給開始が70歳まで引き上げられると1327万円、
75歳になると2655万円がもらえなくなる。
年金がないなら働くしかないが、現役時代と同じ待遇を期待できる人は少ない。60歳で定年を迎えても希望すれば65歳まで働ける制度がいまもあるが、
定年を延長する企業は少数。給料を下げやすい再雇用などの仕組みを採用しているところがほとんどだ。
「特殊な能力がないと希望に合わない職場や待遇で働かないといけなくなる。みんな本音では年金をもらってゆっくりしたいが、
生活のためにやむを得ず働くことになる」(北村さん)
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