16/12/20 08:18:30.36 CAP_USER.net
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「ふらっと一人旅に出る機会を常に狙っている」という人が意外に多いのではないだろうか。
じゃらんリサーチセンターの「宿泊旅行調査」によると、一人旅は調査開始以来毎年増加し、
現在では旅行件数の17.5%を占めている。10年前と比べるとその増加は162%と、他の旅行形態に比べて圧倒的な増加率だ。
この背景には、一人世帯の増加に加え、「周りと休みが合わない」、「一人のほうが気楽」、
「趣味を追求できる」といった旅行者側の事情や嗜好の変化が推察できる。
一方、一人旅を受ける宿泊事業者側の変化もある。都市部でビジネス客向けのバジェットホテルや
バックパッカー向けのホステルが増加しているが、地方の温泉でも一人旅を歓迎する宿が増えているのだ
。その裏にはどういう背景があるのだろうか。
東京から上越新幹線に乗り、越後湯沢駅でローカル線に乗り換え、約2時間。コシヒカリで有名な「魚沼」地区の小さな駅「
小出(こいで)」駅に着く。駅前からバスに乗り、湯之谷温泉郷と呼ばれる谷沿いの温泉地を最奥部の終点までたどると、
そこが「栃尾又(とちおまた)温泉」。まるで映画に出てきそうな秘湯感あふれる風情の温泉だ。東京駅を10:40に発つと、
栃尾又温泉バス停に着くのが13:46。宿のチェックインが「13時頃」や「13:45」となっているのは、このバス到着時間のためだ。
今日の宿泊は「宝巌堂(ほうがんどう)」。ご夫婦が営む8室の小さな宿だ。宝巌堂は昔からの伝統的な湯治宿だったが
少し前に全面改装し、宿泊単価もかつての倍にあたる現在の価格(1万8000円+税)になった。
なぜ宝巌堂を選んだかといえば、湯治場の時代から一人旅を歓迎してくれるからだ。一人旅優先の客室も3室ある。
平日のみならず土曜日でも宿泊できる。そのため、一年を通して一人旅が多く、ご主人にうかがうと半数以上が一人旅とのこと。
この日、私以外も皆さん一人旅。食事は、夕朝食とも旬の自然食材を使い、手をかけて調理してくれたもので、
ふだんジャンキーな食事が多い身にとってはとてもうれしい。そして、米はさすがにうまい。食事場所も、
食堂でも、部屋でも気の向くまま。何とも気を張らずに滞在でき、かつ館内は現代風のなかにも田舎らしさが漂っていて、
とても居心地がいい。食事の時間のみ、18時と8時と決まっているが、すべての客がその時間に食堂に集まってくる。
なぜ、宝巌堂は一人旅を歓迎するのか。若女将の星智子さんが教えてくれた。
第一には、「一人旅のお客様はなじみになってくれやすい」ためだ。宝巌堂の利用客用には宿泊の度にスタンプがもらえるスタンプ帳があるが、
これもリピーターが多いゆえのこと。栃尾又温泉の秘湯感から「東京からのお客様が多い」というのもうなずける。
「改装して値段が倍になっても、古くからのお客様が通ってくる」というのも宝巌堂の魅力のなせる業だろう。
第二には、「平日を埋めてくれる」こと。それも「連泊してくれる方もいる」のは旅館にとってはうれしいことだ。
2人以上で旅をする場合、どうしても相手の都合があり、最大公約数的に旅行日を選ぶと「週末」になってしまうことが多い
。そのため、平日に泊まってくれる一人旅客は旅館にとってありがたいお客様なのだ。
そして、第三の理由が、実は家族経営の宿にとって最大の理由かもしれない。それは、「一人旅のお客様は文句が少ない」ことだ。
栃尾又温泉でも文句を言おうと思えば、いくらでも想像できる。例えば、「階段が多い」「虫がいる」
「部屋に風呂がない」「館外までいかなくては温泉がない」「温泉がぬるすぎる」「食事時間の融通が利かない」
「食べられない食材がある」等々。総じて「おもてなしがなってない」と帰結されてしまう。ブランドホテルならともかく、
小さな家族経営だ。現実問題、至れり尽くせりとはいかないのはちょっと考えればわかりそうであるにもかかわらずだ。
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