16/09/03 16:30:43.02 CAP_USER.net
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2011年3月に福島第一原子力発電所事故が起きた後、日本では、今後も原子力発電を推進するのか、
それとも再生可能エネルギーなどに転換を図るのか大きな議論が起きた。その際、原子力発電推進派は、
再生可能エネルギーはコスト的に割高で、原子力発電を置換することはできないと主張した。
しかし、今月に入ってからチリ政府が行った電力確保のための入札では、もっとも安い金額を提示したのは、
スペインの太陽光発電業者で、この業者は、天然ガス火力発電の発電コストの47ドル/MWhを大幅に下回る29.1ドル/MWhという価格で入札を行った。
29.1ドル/MWhという発電コストは、米国における原子力発電の90~130ドル/MWhの3分の1の金額ともなる。
現在、欧米ではまだ、太陽光発電の発電コストは、天然ガス火力発電などと比べるとやや割高となっているが、
米国立研究所のシミュレーションによると、発電コストは米国においても早ければ2025年頃には、逆転するという試算もでている。
2011年に日本で起きた議論では、日本の原子力発電推進派は、再生可能エネルギーはコスト的に割高で、原子力発電に勝つことはできないと
主張していたのにも関わらず、一体、この変化は何が原因で起きることとなったのだろうか?
この答えとなるのか上のグラフとなる。このグラフは、MWhあたりの太陽光パネルの導入コストを時系列でプロットしたものとなる。
このグラフを見てわかる通り、2011年に日本で議論が起きた際のコストは、(グラフの枠の外にあるため正確な数字は判らないが)
少なくとも350/MWhはしたことが判る。この価格は、原子力発電のコストの4倍近いものであり、2
011年当時には、日本の原子力推進派のいう通りに太陽光発電はコスト的には到底、原子力発電には打ち勝つことはできないものだったことが判る。
しかし、その後生じた、欧米各国による再生エネルギーブーム(皮肉なことにその契機を作ったのは日本で起きた原発事故)により、
太陽光パネルの生産コストは急速に値下がりをし(あまりにに値下げりのペースが速すぎたため、多数のパネルメーカーは採算性を合せることができず、
撤退や倒産まで生じた)、現在では、太陽光発電に適した条件を持つ国では既に、原子力発電のコストを大幅に下回るにまで低下しているのである。
太陽光発電のコストは今後も低下傾向が続くことが予想されているため、緯度が高い太陽光発電には最適ではない条件の地域でも、
2020年代半ばには、太陽光発電のコストは、原子力発電を下回ることになるというのが、大方の読みとなる。
2011年に福島第一原子力発電所事故が起きた際には、日本だけでなく欧米諸国でも、原子力発電の是非が問われる結果となった。
しかし、またしても皮肉なことに、あれほど甚大な被害が生じたのにも関わらず、日本は結局、原発廃止は行わず、
原発全廃を決めたのは事故とは関係のないドイツとなっていた。
その後、生じた太陽光パネルの大幅な価格下落という状況を踏まえた上で、この両者の決定をもう一度振り返ると、
明らかに日本人は、政策決定上の大きな失敗をしてしまった可能性が強いと言えるかもしれない。
いうまでもなく電力は産業の根幹を成しており、高い電力コストを支払わなければならないことは、日本の企業が国内生産を行う上での大きな障害となるからとなる。
一方、米国では、工場の国内回帰が最近になってから生まれ始めてきている。これまでは不可能だった
製品生産の分野でもオートメーション化が可能となり、メキシコや中国の安い労働力を求めて、海外に工場を作る必要性がなくなってきたからとなる。
米国で生じている工場生産の国内回帰の動きは、欧州でも見られるところとなっているが、恐らくこの動きは、
電力などの基幹のインフラコストがネックとなり日本では進まないだろう。
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