16/08/28 10:22:58.68 CAP_USER.net
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<内閣府が公表するGDP統計から29兆円も多いGDP数値を日銀が公表し、論争が起こっている。
なぜ数値が異なるのか、そして実際の景気はどうなのか。差分が生じる原因のひとつは副業の存在ともされるが......> (写真は日本銀行の黒田東彦総裁)
内閣府が公表しているGDP(国内総生産)統計をめぐって日銀と内閣府の間で論争が起こっている。日銀が独自に算出し、
7月20日に公表したGDPの数値が内閣府の公表値よりも29兆円も多かったからだ。日銀の試算を受けて
「日本の景気はもっとよいはず」との声も出ているようだが、本当のところはどうなのだろうか。
支出面よりも分配面に着目した日銀
経済学の教科書を読むと必ず書いてあることだが、GDPには三面等価という原則がある。GDPの統計には、支出面から見たものと、
生産面から見たものと、分配から見たものの3種類があり、これらは同じデータを異なる側面から見たものなので、
理論的にはすべての数値が一致することになっている。だが現実には、統計上の誤差があり、3者の数値が完全に一致することはない。
実際にGDPを算出する作業は、1次統計が整備され、比較的精度が高いとされる支出側を中心に行われる。
私たちが日頃よく目にするGDP統計も支出側である。
内閣府は8月15日、2016年4~6月期のGDPを発表したが、新聞などでは「個人消費は0.2%増、設備投資は0.4%減」などと報道された。
これは、家計が支出した金額が前四半期と比較して実質で0.2%増加し、企業が設備投資として支出した金額が0.4%減ったことを示している。
こうした支出面の数字は、生産動態統計調査などを使って求められているので、継続性や信頼性の面においてそれなりの精度が期待できると考えてよい。
一方、分配面は雇用者報酬に代表されるように、経済活動の結果、国民が給料としていくら稼いだのかという部分に着目したものである。
ただ分配面については、全項目を独自に算出しているわけではなく、部分的に数値を確定し、それ以外の部分については支出面の差分として処理している。
これまで支出面に従属した形になっていた分配面に着目し、税務データを使ってゼロから算出したらどうなるだろうかというのが、
今回の日銀レポートの主旨というわけだ。
税務データから算出された驚くべき結果
日銀は分配側の基礎データとして、総務省がまとめている地方税の統計データと、国税庁がまとめている所得税の統計データを活用した
。日本では多くの労働者が源泉徴収によって所得税を徴収されているので、事業者は労働者の人数分だけ給与総額や控除額などを記した
源泉徴収票を作成しているはずである。これをもとに各税務署や地方自治体は徴税業務を行っており、自治体を担当する総務省や、
税務署を統括する国税庁は関連の統計を作成している。
税の徴収業務は網羅性が高いと考えられるので、分配面の基礎データとして最適と日銀は考えたようである。
税務データを用いて算出したGDPの結果は驚くべきものであった。2014年におけるGDPの数字が、
内閣府が公表したものより29兆円も大きかったのである。営業剰余の金額については年ごとの誤差が大きく、
この分を除くと約15兆円の乖離ということになる。
500兆円のGDPに対して毎年15兆円のズレがあるのだとすると、率にして3%になる。安倍政権は名目3%の成長によって
GDP 600兆円を目指しているが、現実はほど遠く、こうした状況を考えると15兆円という数字は強烈だ。内閣府やエコノミストなど
GDP統計の関係者の間では大騒ぎとなっている。
このレポートが公表された時期と前後して日銀の黒田総裁がGDP統計について「違和感がある」と発言したこともあり、
一部からは政治的な意図を指摘する声も聞かれる。