16/08/25 08:18:48.91 CAP_USER.net
大変なAIブームが巻き起こっている
最近、「シンギュラリティ」という言葉が注目されている。人工知能(AI)が人間の知能を超えることで起こる出来事、という意味だ。これと並んで、「2045年問題」という言葉がある。
2045年にAIが人間の知能を抜くと言われており、そこで様々な問題が起こると言われているのだ。
あらゆるものがAIでできてしまったら、人間はどうすればいいのだろうか。人間の仕事はなくなってしまうのだろうか。これらの問題は、AIの開発は、人類を幸福にするのか、不幸にするのかという疑問に直結する。
こうした未来を目前にして、今、空前のAIブームが起こっている。今年3月、米グーグルの研究部門であるが開発したGoogle DeepMindが開発した囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」が韓国のイ・セドル九段に勝利したことが話題になった。
AIを使って書いた小説が、文学賞の1次審査を通過したことも注目を集めた。近い将来、いよいよAIが人間の知能を上回る時代がやって来るのではないかと世界中が期待を寄せている。
以前、本コラム「3度目のAIブームは本物か?」でも述べたように、今回のAIブーム到来は3度目のことだ。
過去2度のAIブームでは実用化まで漕ぎ着けなかった
第1次ブームは1956~1960年代。1946年にアメリカで「エニアック(ENIAC)」と呼ばれる電子計算機(コンピュータ)が開発されたのがはじまりだった。「AI」という言葉が生まれたのもこの頃だ。
約1万7000本の真空管が使われ、重量は約70トン、設置面積は139万平方メートルという巨大なコンピュータだった。計算速度が速いと話題になり、今に人間の知能を上回るだろうと期待された。
AIはチェスや将棋でも人間のチャンピオンに勝利し、人々の期待はますます高まった。
ところが、そのブームは5年もしないうちに終わりを告げてしまった。当時のAIは、チェスや将棋などの決まった枠組みの中では力を発揮するのだが、業務に応用できるレベルではなかったからだ。
例えば、医療だと患部をどのように治療すれば良いか、経営であれば、どこで問題点があるのかというふうに、仕事の現場で使えるものではなかった。
第2次ブームは1980年代だった。当時のAIは「ものしりな人工知能」とも呼ばれているが、大量の情報をコンピュータに入力し、思考できるAIを目指した。
当時、通商産業省(現在の経済産業省)が570億円を投入して開発した第5世代コンピュータは、大いに期待された。
例えば、病気の知識をコンピュータにインプットしていけば、AIは医者と同じ役割ができるのではないか。法律の知識をインプットすれば、弁護士と同じ役割を果たせるのではないか。
実用可能なAIを目指し、IBMなどでも開発が進められたが、結局は失敗に終わってしまう。
知識をたくさん入れたところで、コンピュータには「判断」ができなかったのだ。例えば、AとB、どこが違うのか。これが分からない。結局、知識を入れても思考できないAIは失望され、ブームは去ってしまった。
ディープラーニングの開発で「考えるAI」が誕生した
そして、第3次ブームがやって来た。今回は、「ディープラーニング(深層学習)」という新たな技術が開発されたことで、今度こそ急速に発展するかもしれないと世界中が注目している。
ディープラーニングとは、システムがデータの特徴を学習して、そのモノや現象について「判断」、「分類」することだ。ついに「考えるAI」が誕生したというわけだ。
例えば、犬の顔、ネコの顔、ライオンの顔が目の前にあるとする。どれが犬、ネコ、ライオンなのか、現在のAIは当てることができる。今まで、これは非常に難しい技術だった。
ネコの顔と判断するためには、ネコらしさという特徴を定義しなければならない。そのためには、大量のデータから導いた何十万という要素が必要だ。
こうした「判断」が可能になったことは、AI技術にとって非常に大きな一歩だったと思う。「今回のAIはホンモノだ。ようやく実用化できる」と、世界中がブームで沸き立っている。
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