16/08/06 09:39:39.70 CAP_USER.net
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今年度(2016年度)の最低賃金が、平均時給に換算して24円引き上げられる見込みになった。全国平均にすると
2015年度は時給798円だったところ822円が目安になる。最低賃金が時給で示されるようになった2002年度以降では、最大の引き上げ額という。
最低賃金制度とは最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその額以上の賃金を支払わなければならない。
産業や職種にかかわりなく都道府県別に適用されている「地域別最低賃金」と特定の産業に設定されている「特定最低賃金」の2種類があり、
両方が同時に適用される場合、使用者は高いほうの賃金を払わなければならない。
2015年度の地域別最低賃金を見ると最低は時給693円(鳥取、高知、宮崎、沖縄の4県)、最高は東京都の907円。各地の引き上げ額は以下のとおり。
・東京、大阪、愛知などAランク……25円
・埼玉や京都などのBランク……24円
・福岡や宮城などのCランク……22円
・高知や沖縄などDランク……21円
たとえば東京都の場合、見直し後の最低賃金は時給932円となる見通しだ。
最低賃金がニュースになると、パートやアルバイトで働く人が主にインタビューを受けて、「最低賃金をもっと上げてほしい」「まだまだ生活が苦しい」
などとコメントすることが多いものの、社会保険労務士を務める私の肌感覚としては、少なくとも首都圏においては人手不足の観点から昨今
は時給1000円前後の求人が目立ち、市場原理によってすでに今年度引き上げ後の最低賃金をクリアしている求人が少なくないと思われる。
月給制の人は最低賃金を意識していない人も少なくない
一方、正社員や契約社員といった月給制で働く労働者の中には、この最低賃金を意識していない人も少なくないかもしれない。もちろん時給で考えると
月給者にも最低賃金法は適用される。もし、月給を月平均の所定労働時間で時給に換算した金額が、最低賃金を下回っていたら最低賃金法違反となる。
具体的には、以下の計算式に当てはめることとなる。
「月給÷((年間総労働日数÷12)×1日の所定労働時間)」
近年は、基本給の一部を残業代に組み込む「固定残業代」の制度を取り入れる企業が増えている。比較的多いのはサービス業だ。固定残業代を採り入れている
企業では、支給される給与の額面が、表面上はある程度高く見えても、残業代に充当される部分を除いた純粋な基本給の部分が最低賃金の対象となるのは
意外と盲点だ。しかも、有名企業であっても全国で最も高い東京都においては最低賃金ギリギリというケースがある。
たとえば、激安の殿堂で有名なドン・キホーテがリクナビ2017で公開している初任給等の条件を抜粋すると、以下の通りである。
■ドン・キホーテ
・大学、大学院卒?月給23万円
<内訳>基本給:15万4400円、残業40時間分として固定残業手当7万4600円、ライフプラン手当:1000円
・シフト制(実働8時間)
・月公休9日、シフトによる交替制
このデータをもとに時給を計算してみよう。
年間休日数は9日×12カ月=108日。固定残業手当を除いて計算すると
15万5400円÷((365-108日)÷12カ月)×8時間=907.02円
地方都市ならまったく問題ないが、2015年度の東京都の最低賃金である時給907円で考えるとギリギリ上回っているという計算になる。
この給与条件は昨年度の実績に基づく参考情報ということであるが、東京都の最低賃金が予定通り25円アップした場合、最低賃金は932円になるので、
前年度と同じ条件では来年4月の入社時点において、新卒者の賃金が最低賃金を下回ってしまうおそれがある。
また、前年度に入社した社員も、すでに昇給などがあり、今年度の最低賃金をクリアできる水準になっていればよいが、昇給していない人に関しては、
最低賃金が改定された日から無条件に昇給させなければ違法状態ということになってしまう。ドン・キホーテにとってはこの点の対応が必要になるとみられる。