16/07/20 09:19:15.87 CAP_USER.net
[香港 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義社長は、投資家の忍耐の限界を試している。
社長が18日、英半導体設計ARMホールディングスを約240億ポンド(3兆3000億円)で買収すると発表したのを受け、19日午後に同社の株価は10%急落した。
後継者に指名していたニケシュ・アローラ副社長が6月21日、突然退任した後、孫社長はソフトバンクについて、あたかも個人で所有している実質無借金の企業であるかのように語った。
その論理は聞き手を当惑させ、社長のこれまでの華々しい投資履歴から輝きを失わせるものだった。
ソフトバンクが無秩序な事業ポートフォリオを改め、統制の取れたものにしていくという希望は、ARMの買収により冷水を浴びせられた。
ソフトバンクは5月以来、総額約180億ドルの事業売却を発表し、債務削減に充てる方針を示したが、ARMの買収額はこの約2倍の規模だ。
米シティのアナリストによると、買収後の純債務は利払い・税・償却前利益(EBITDA)の3.6倍前後になるという。
アナリストやメディア向けの会議では、孫社長と市場の見方の間に深い溝が存在することが浮き彫りとなった。
社長はARMについて、「プライベートカンパニー」の一部となることで、技術者や研究への投資をより自由に行うことができると主張。
一聴したところ、ソフトバンクがれっきとした上場企業で、株式の大半は独立した投資家が保有していることを忘れているようだった。
孫社長の、債務に対する型破りな持論も衝撃的だった。同社の時価総額は純借入額とほぼ同額であるため、同社は事実上「無借金」だというのだ。
さらに社長は、同社の借り入れコストには競争力があり、同社は本来、投資適格級だと主張。これには、主要な国際的格付会社が納得しないだろう。
孫社長が数年来、印象的な事業買収を行ってきたことは論をまたない。中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)への2000万ドルの出資は最大の成功例だ。
だが、米携帯電話大手スプリント(S.N)への高額なギャンブルは、期待したほどすんなりとは進んでいない。
ソフトバンク株主から承認を必要としないARMの買収が、高額な資金投入に見合うリターンをもたらすのかどうか、見通すのは難しい。どの大博打についても、孫社長は自制心を失っているようにみえる。
URLリンク(jp.reuters.com)