16/07/11 09:43:20.86 CAP_USER.net
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参議院選挙で与党が圧勝した。この間、世界では英国のEU離脱による悪影響の広がりが懸念されるなか、
イタリアの銀行の経営不安再燃や英不動産ファンド解約停止などの混乱も見られたが、金融システム不安には至らず
金融市場全体としては落ち着きを取り戻し始めている。
日銀の追加金融緩和の可能性は高まった
為替市場では、引き続き英国ポンドが売られる一方、安全資産だとされる日本円や日米欧の国債へのマネー逃避が鮮明になり、
日本円は8日までの1週間で2.48%上昇し、世界の主要25通貨の中で最も上昇した通貨となった。
その一方で、混乱の震源地である英国株式市場がプラスを記録するなか、東京株式市場はマイナス3.67%と、
世界の主要25市場のなかで下落率トップとなった。金融市場では「世界で最も最も安全だと思われている通貨を持つ国の株式市場が
世界で一番安全ではない資産」だと見做されるという乖離現象がみられている。
ドル円相場が一時6月24日以来の1ドル99円台まで上昇し、日経平均株価が1万5000円近くまで下落してきたことで、
国内では日銀の追加緩和への期待が高まってきている。
10日に投開票された参議院選挙では自民党を中心とした与党が大勝した。安倍首相は「アベノミクスのエンジンを最大限にふかし、
デフレからの『脱出速度』をさらに上げる」と主張している。これによって、日銀が7月末に開催される金融政策決定会合
で追加緩和に踏み切る可能性は高まったといえる。
今年に入って、2人の日銀政策委員が任期切れに伴い黒田日銀総裁に近い人物に交代になっており、
黒田総裁が追加緩和に動く際の障害はなくなっている。
しかし、追加緩和は黒田日銀にとって危険な賭けでもある。
日銀が推し進めてきた「異次元の金融緩和」は、その目的である「2%の物価安定目標」達成に効果がないことは、
目標達成時期が何回も先送りされていることで、すでに証明されてしまっている。
こうした中、円安・株高をもたらして来た「黒田バズーカ」は、最近は、昨年12月に打ち出した「補完措置」、
年が明けてから今年1月に打ち出した「マイナス金利付き量的・質的緩和」と、2回連続で空砲に終わっている。
成果をあげられていない中で政策期待を繋ぎ止めるためには、金融市場が円安・株高に反応することが絶対条件になる。
仮に追加緩和に踏み切ったにも関わらず市場が円安・株高に反応しなかった場合「黒田バズーカ3連敗」となり、
「黒田バズーカ」は北朝鮮の中距離弾道ミサイルのように不確実な「黒田ムスダン」に格下げになりかねない。
金融市場を動かすことで権威を示そうとしてきた黒田日銀にとって、金融市場が思惑通りに動かないことが露呈することは致命的である。
これ以上、絶対に空振りすることが許されない黒田日銀にとって、マイナス金利深掘りを含む追加緩和に踏み込むことは危険な賭けでもある。