16/07/06 08:49:03.15 CAP_USER.net
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想定外の事態が最大の被害を及ぼすとは、まさにこのことだ。
かつて無風だった日本国債市場で利回りが大幅なマイナスに沈み、値動きも非常に不安定になっている。
これらはいずれも、無リスクとみなされ動きが鈍いはずの市場での出来事だ。
日本の国債利回りは今月初め、満期が20年近くのものまでマイナスに転落した。つまり、現在は日本国債の約87%がマイナス利回りということになる。
こうした副作用は、日本銀行が2%の物価上昇率達成を目指して大規模な金融緩和策を導入した時点で念頭にあったものではない。
日銀の緩和策は、資産買い入れをどんどん増やしていく(現在は年間約80兆円)という形で行われ、最近ではマイナス金利も導入した。
資産買い入れの狙いは、国債利回りを押し下げることで、株式や海外証券、社債といったより高いリターン(投資収益)が
見込める資産への投資を促すことにあった。ところが、日本国債は利回りが急低下し、トータルリターン(インカムゲインと
キャピタルゲインの合計)ベースでの価格が上昇していることから、世界中の投資商品の中でトップクラスの上昇率を記録している。
年初来の騰落率はプラス8.06%で、海外投資家が持ち高を膨らませていることが背景にある。
日本銀行は他の主要中銀と異なり、ほぼどんな価格でも資産を買い入れる。買い入れ対象は国債が中心だ。
日本国債は利回りがマイナス化した世界中の国債の約3分の2を占める。例えば、欧州中央銀行(ECB)はABS(資産担保証券)
やカバード債なども買い入れることができる。また、最低名目金利を定め、利回りがこれを下回る債券は購入対象外としている。価格に上限があるということだ。
機能不全に陥った日本国債市場を詳しく見てみると、日銀の政策の限界が垣間見える。利回り低下が大幅に進んだことを受け、
日銀は先週、長期国債の買い入れを減額する一方、中期国債の買い入れを増額すると発表した。全体の買い入れ目標額は据え置く。
買い入れを増額しても利回りをさらに押し下げるだけだろう。買い入れ減額は短・中期的には有益であっても、
日銀としては他の国内証券を探さなければならないことになる。だが、欧州や米国と違い、ABSと社債は市場規模が比較的小さいため、いずれも選択肢として考えにくい。
日銀は現在、日本国債の約30%を保有している。国債市場の流動性は逼迫(ひっぱく)しており、さらなる悪化が見込まれる。
国債買い入れが限界に近づく一方、2%の物価上昇率目標は達成がまだ視野に入っていないことから、
日銀は買い入れ対象資産の利回りに下限を設定する可能性がある。そうなれば、日銀が国債をいつでも買ってくれるという
前提が崩れることになる。元日銀副総裁が代表を務めるシンクタンクのリポートによると、日銀が資産買い入れ規模
を年間45兆円に減額すれば、2019年1月まで買い入れを続けることができる。
いまの段階では日銀にとって、現行の緩和策の延長や微調整ではなく柔軟かつ自己制御的な戦略を検討した方が役に立つかもしれない。