16/06/09 22:16:29.42 CAP_USER.net
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安倍政権が、消費税増税の2年半延期を決めるなか、今後の税収の伸びを懸念する声が出ている。
安倍晋三首相は増税を先送りしつつも、社会保障政策の充実や財政健全化を目指す方針。
首相就任後、加速した税収増を前提にしているとみられる。だが、ここ数年の税収は一時的な要因で押し上げられた側面があるほか、
今後は円高などで企業業績の伸び悩みも見込まれており、思惑通り税収が増えるかは見通せない。
「我々が進めてきた経済政策によって、この3年半、税収は国・地方合わせて21兆円増えた」。安倍首相は、
8日の全国市長会でのあいさつでそう胸を張った。安倍政権発足時の2012年度(予算ベース)に78.7兆円だった国・地方の税収は、
16年度(同)に99.5兆円となる見込み。そのうち、14年4月の消費税率5%から8%への引き上げによる増収分約8兆円を除くと、増収分は約13兆円となる。
約13兆円の主な内訳を国の税収分だけでみると、所得税は4.5兆円、法人税は3.4兆円。所得税の増加は、
3年連続の賃上げや、14年1月から株の配当など金融取引にかかる税率が10%から20%に引き上げられたことなどが背景にある。
法人税の増加は企業収益の拡大を反映しているが、メガバンクなどの納税再開も後押ししたとみられる。
バブル崩壊で巨額赤字を計上したメガバンクなどは、過去の赤字と課税対象年度の黒字を相殺して法人税の納付額を減らす
「繰越欠損金制度」を利用し10年以上、納税してこなかった。だが、欠損解消で10年度以降、相次いで納税を再開。
08年のリーマン・ショックによる赤字で5年間、国内で法人税を納めていなかったトヨタ自動車も13年度分から納税を再開するなど、
ここ数年は大企業の納税再開が相次いだ。
国税庁の統計によると、法人税増加の足かせとなっていた繰越欠損金は、安倍政権発足時の12年度から2年間で約9兆円減少。
トヨタが納税再開した13年度の法人税収は前年度比約7000億円増の10.5兆円と、それまでの増加幅(約4000億円)を上回った。
現在集計中の15年度の税収は前年度を上回る見込みだが、16年度以降は「大企業の納税再開が一段落し、
法人税の増加ペースは鈍る可能性がある」(財務省幹部)との指摘もある。
首相は「アベノミクスをもう一段加速し、更なる税収アップを確保する」とのシナリオを描くが、
SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは、「円高で17年3月期の企業業績は伸び悩む見込みで、
法人税収に影響しかねない」と指摘。「企業業績が落ち込めば賃上げ幅も縮小し、所得税にも影響する。
今後の税収は頭打ちになる可能性がある」と話している。【横山三加子】