16/06/07 10:23:30.23 CAP_USER.net
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(前略)
山口:日本から「成功するフィンテック企業」を輩出するためには、どうすれば良いのでしょうか。
竹中:雇用制度の改革に掛かっていると思います。たとえばこの20年間、銀行に勤めている人は、いうなれば不良債権を増やしてきた人たちです。
その人たちにフィンテックは出来ないでしょう。
だから、若い人に大きな権限を与えて、自由に取り組んでもらえば良いのです。昨年のダボス会議では大学改革について話し合ったのですが、
中国のビジネススクールでは、学長から教授、准教授に至るまで、すべて5年契約だそうです。5年も経つと、ビジネスの世界は様変わりするので、
ビジネススクールもそれに合わせて、新陳代謝を進めているわけです。
実際 、自動車ビジネスの世界でも、今やトヨタ自動車の最大のライバルはグーグルだったりするわけです。
そんな時代に、昭和のビジネス慣習に囚われた人が社内を闊歩しているようではダメなのです。
日本でフィンテックを盛り上げるには、雇用制度そのものを大きく変える必要があります。
山口:単なる金融業界の問題だけでとらえると、大きな間違いを犯す恐れがありますね。
冨田:日本との対比という意味でシンガポールの人たちの話をしますと、彼らは優秀なのですが、実は意外と起業家意識が低いのです。
そのなかでフィンテックを推し進めるため、他国から起業家意識の高い人を呼び寄せ、フィンテックビジネスを立ち上げさせています。
実際、アジア各国、欧州などから優秀な人材が集まっています。まさに国を挙げて、フィンテックに取り組んでいます。
もはや金融業界だけの問題ではないと認識しているのでしょう。
竹中:あとはサイバーセキュリティの問題も考えていく必要があります。アタックの入り口が無限に広がっていきますから、その対策をきちっと講じておかなければなりません。
山口:フィンテックの問題点がいろいろ整理されてきたと思うのですが、最後にフィンテックに対する「思い」のようなものをお話しいただけますか。
冨田:フィンテックは最先端テクノロジーの世界ではありますが、同時にユーザーと半歩先で寄り添えることが大事になってくるのだと思います。
たとえばライフネット生命が登場し、保険の世界でもいよいよインターネット化が進むと思われたのですが、実際に保険ビジネスで大きく伸びたのは、
街にある保険の相談窓口だったりしました。
これから銀行、証券会社はフィンテックを取り込もうとする時、AIなどのテクノロジーに突っ走る前に、「ほかにやるべきことがあるのではないか」
ということを、考えていく必要があるでしょう。ユーザーが何を求めているのか、それを把握するためにも、半歩先で寄り添う必要があるのだと思います。
竹中:エジソンは電球を発明しただけでなく、ニューヨークに会社を作り、電気を売るビジネスを形にしました。つまり発明しただけでなく、
それを広く社会に定着させたのが偉大なのです。
フィンテックも、技術の話ばかりが先行していて、まだ社会に定着するまでには至っていません。社会に定着させるためには、
ユーザーからニーズが沸き起こるのを待っていてはダメで、供給者側がもっとこういうことが出来るのですよと、世の中にプレゼンテーションしていくことが大事だと思います。
山口:私は一言、もっと皆さん、起業してくださいということです。今は起業するためのコストが大きく下がっていますから、絶好のチャンスです。
そういう人が一人でも出てくることに期待したいと思います