16/05/14 11:42:35.12 CAP_USER.net
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特別色「ソウルレッドプレミアムメタリック」が印象的なマツダ「ロードスター」
2016年の「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したマツダのオープンスポーツカー「ロードスター」。真っ赤なシンボルカラーが印象的だが、実はエコな水性塗装技術が採用されているのをご存じだろうか。マツダが独自開発した、名づけて「アクアテック塗装」。環境や人体への影響が指摘される揮発性有機化合物(VOC)と二酸化炭素(CO2)の排出を同時に抑えながら、品質も向上させた。マツダは国内だけでなく、中国など海外工場への展開も強化する方針だ。
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自動車の塗装は従来、VOCを多く含む油性塗料が使用されており、工場から排出されるVOCの削減が急務になっていた。そこで、水性塗料への転換を進めたためVOCを削減できたが、その一方で希釈剤として使用されている水分を蒸発させる際のエネルギー消費が多く、結果的にCO2の排出量が増えてしまうという欠点があった。
マツダが開発したアクアテック塗装は水性塗装だが、塗装工程を改革することでVOC排出量とCO2排出量の同時削減を目指した。ロードスターなどを生産する広島県の宇品第1工場で12年に完了した。
具体的には、塗装ブースの空調システムを改良し、塗料の水分を効率的に蒸発させる仕組みを開発。さらに、これまで中塗り塗装が発色性などさまざまな機能を担っていたが、高機能塗料を開発することで中塗りを上塗り塗装に移管するなどして工程の集約を図った。
この結果、「中塗り」「着色ベース」「クリア」の3層を乾燥させないままウエットな状態で塗り重ねる従来の「スリーウェットオン塗装」(油性塗装)と同様、低いCO2排出量を維持しながらVOCを57%削減することができた。
また一般的な水性塗装は、塗装中の水の蒸発速度を制御するための空調設備などが必要になり、油性塗装に対してスペースの増加などが課題だった。マツダ幹部は「アクアテック塗装は徹底して省エネルギー・省スペース・省マテリアルを追求する工程開発を実施。量産中の(スリーウェットオン塗装の)レイアウトの中でシャットダウンすることなく既存設備を徹底活用し工程変更ができた」と自信を見せる。
第6回ものづくり日本大賞(15年度)の「製造・生産プロセス」部門で内閣総理大臣賞にも選ばれ、「自動車塗装工場にとどまらず、塗装業界全体へ広く普及することが期待される」と評価された。
アクアテック塗装は、「魂動(こどう)」デザインと呼ばれるロードスターなどの躍動感あふれる造形美を表現する特別色「ソウルレッドプレミアムメタリック」などの実現にも寄与。新たに開発された金属の質感と黒光りの両方を持つ特別色「マシングレー」は新型スポーツ用多目的車「CX-9」や「ロードスターRF」にも採用される。
マツダは宇品第1工場に続き、中国江蘇省南京市の車両生産拠点「長安マツダ汽車」にも海外で初めてアクアテック塗装を導入した。国内で培った技術を水平展開することで、現地での設備工事と塗料開発を必要最小限にとどめるなど効率化を実施。国内工場と同等の塗装品質を実現しているという。
菖蒲田(しょうぶだ)清孝専務執行役員は「高品質なクルマづくりと環境負荷軽減の両立は自動車メーカーとしての責務。世界中で高い評価を得ている『魂動デザイン』を支えるマツダの塗装技術は、その象徴でもある」とアピールしている。(田村龍彦)
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