16/05/05 10:20:58.27 CAP_USER.net
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共著で関わらせていただいた『下流中年』(SB新書)が好調で、発売から3週間も経たないうちに3刷りが決まったという。
講演会場へ持って行くために20冊購入を希望したら、著者に売る在庫さえないと言われた。
やはり、働き盛りの世代には「他人事ではない」と実感している人が潜在的に数多くいることを改めて実感させられる。
非正規になって貧困化した
中年層が直面する厳し過ぎる現実
同書は、1970年以降に生まれた「就職氷河期」世代を中心に、新卒時に思うような就職ができないなどの理由で、
契約社員や派遣社員として「不本意な非正規労働」を余儀なくされてきた中年層に光をあてている。
こういう話を紹介すると、会社を辞めたのも、非正規になったのも、貧困化したのも「自己責任なのだから、社会のせいにするな」という趣旨の批判がよく寄せられる。?
しかし、ネット上の書評には、<48歳の正規で働いていた人が、老親に介護が必要になり、いったん会社を辞めるというのは自己責任でしょうか>などと擁護する声も少なくない。
一旦、非正規雇用の身になると、そこから正社員に這い上がることが社会構造的にもなかなか難しい「非正規スパイラル」に陥る。
非正規労働者は、賃金が低いだけでなく、雇用保険や健康保険などに未加入の場合が多く、ボーナスや退職金に至っては、ほとんど支払われることもない。
雇用も期限で区切られていることが多く、将来のライフプランが見通せないのだ。
「雇い止め」などで仕事を失えば、たちまち「貧困中年」に陥り、生活保護での生活や、引きこもるきっかけにもなっている。
第1章の雨宮処凛さんと萱野稔人さんの「生きづらさはどう変わったのか」についての対談では、2008年に廃業した人材派遣会社「グッドウィル」の日雇い派遣で当時、
1日2回転する働き方をして月約30万円稼いでいたという男性が、今も禁止になったはずの日雇い派遣で引っ越し作業などをしていて驚いたという話が紹介され、
派遣法改正後も何も変わっていない現実が語られている。
第2章の赤木智弘さんは『我々はいかにして「下流中年」にさせられているのか?』の中で、バブル崩壊の余波を全身でかぶり、学生時代のバイト代と変わらない
賃金を得ながら何とか生き延びてきた「下流中年」とは、“企業という「神」に選ばれなかった存在である”と説明する。
そして、東日本大震災が起きたとき、避難所でホームレスが追い出されたという話を受け、家がないという状況は、家を失った人も、そもそも家を持たない人も同じであるはずなのに、
“結局「持っていた人が失う」ことに対する同情は強くとも、「そもそも持っていない人」に対する同情が足りないのが、今の日本の現実”なのだと指摘する。
第3章に登場する阿部彩さんは、『それでも、「下流転落」に脅えることなかれ』の中で、高齢者の貧困率は改善されてきているものの、女性や20~24歳をピークとする若者層、
中年層の貧困率は増えていると、データに基づき紹介する。
阿部さんは厚労省の研究者だった当時、孤立について、中年層の調査がないことに着目。「会話の頻度」や「社会的サービスを受けられるかどうか」などを統計的に調べたものの、
その後の政権交代で関心が薄れてしまい、注目されなかったと話す。しかし、社会的に孤立した人々の過去で圧倒的に多かったのは、不登校や学校・職場でのいじめ、
うつや引きこもり経験がある人たちで、「過去の社会的排除の経験を、挽回できる場がなく、ここまできたという状態」だったという。