16/03/17 09:34:14.71 CAP_USER.net
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環太平洋経済連携協定(TPP)が、各国の批准を前に、失速し始めた。「21世紀の経済ルールを描く」と主導してきた
アメリカで鮮明になっている。オバマ大統領は残る任期で批准を目指すというが、肝心のTPP実施法案の成立は絶望視されている。
大統領候補の指名レースで、「TPP賛成」だった共和党のルビオ候補が地元フロリダで負け、撤退を表明。TPPを担ぐ候補は1人もいなくなった。
トップを走るトランプ候補は「完全に破滅的な合意だ」と歯牙にもかけない。民主党ではオバマ政権でヒラリー・クリントン候補が「
反対」を表明。追撃するサンダース候補はTPP批判の急先鋒だ。
TPPは2月4日に各国が署名した。この日を起点に、2年以内に加盟国が国内手続きを終えれば、その60日後から発効する。
手続きが終わらない国があっても、6ヵ国以上が手続きを終え、それらの国のGDPを足し合わせ全体の85%を超えれば発効となる。
ということは経済規模が大きい米国と日本の手続き完了が不可欠なのだ。どちらかが批准にしくじればTPPは成立しない。
(中略)
大統領選で火がついた強者支配の象徴・TPPへの反発
アメリカの都合が優先されるTPPなのに、なぜアメリカで評判が悪いのか。ここにTPPの本質が滲み出ている。
「アメリカ」と一言で語られるところに盲点がある。アメリカの誰が利益を得るか。アメリカ内部でも利害は錯綜している。
オバマ政権で国務長官を務め「賛成」のはずだったヒラリーが「反対」に回った最大の理由は、労働組合がTPPに反対しているからだ。
自由貿易は外国製品の流入を招き労働者から職場を奪う。1980年代に日米摩擦が吹き荒れたころと同じ論理が持ち出された。
当時「雇用の敵」は日本製品だった。今は中国、韓国などアジアからの輸入が心配されている。
もう一つ異なる変化が起きている。米国資本のグローバル化である。
自動車ビッグ3の筆頭ゼネラルモーターズ(GM)が存亡の危機にさらされた80年代は、米国の企業と労働者には日本メーカーという
「共通の敵」がいた。今は違う。グローバル化した資本は、本国で勝てない、と見れば外国に投資して生産を行う
資本は逃げることができる。労働者は取り残され、雇用を失う。グローバル化は、資本には都合がいいが、ローカルで生きるしかない
労働者には迷惑である。民主党は労組を支持基盤にしている。不満を吸収し支持を広げたのがサンダースだ。「TPPは1%の強者が世界を支配する仕組み作りだ」と訴えた
アメリカは訴訟社会だ。高給を食むローファーム(企業弁護士事務所)の弁護士はアメリカのエスタブリッシュメントの象徴でもある。
彼らはクライアント企業の要請を受け「TPPのルール作り」の素案を書く。
アメリカ政府はグローバル資本の利益を推し進める舞台装置になっている。
商売はうまくても民間企業のできることには限界がある。グーグルやアマゾンが強くても自力で他国の法律や制度を変えることはできない。
外交や政府の出番だ。米国の政治力がなければ他国の市場をこじ開けることはできない。
アメリカの参加で、投資と金融サービスがTPPの主題となった。背景には、成長市場で儲けを狙うグローバル資本がいる。
この構造は、本連載バックナンバー「TPP幻想の崩壊が始まった。交渉停滞、困るのは誰か?」などで触れているので端折るが
、グローバル資本が先導するTPPという構造は、混戦模様の大統領選挙で炙り出されたのである。
政界で大きな顔をしている政治家が、社会の一握りでしかない強者と結びついていることに有権者は反発し、TPP論議に火がついた。
政治をカネで買える国・アメリカで
有権者の反乱が起きている
米国はカネで政策が買える国である。政治献金は政治家に直接手渡せないが、日本の政治資金団体のような組織を介せば、
「無制限」に政治家は献金を受けることができる。「スーパーPAC」と呼ばれる政治献金の自由化が2010年から始まった
。この制度で、業界団体は堂々と政治家の買収を行うようになった。オバマ大統領が菅直人首相(当時)にTPP参加を求めたのは2010年だった。