16/03/08 17:33:28.94 CAP_USER.net
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[東京 8日 ロイター] - 日銀が保有する国債の利回りが、実勢ベースでマイナス水準に転落したもようだ。
市場の試算で明らかになった。1年半ほど前から2年債など中期ゾーンの国債利回りがゼロ%以下に低下。
1月29日のマイナス金利導入の決定で金利低下に拍車がかかり、10年債は一時マイナス0.1%まで低下した。
イールドカーブの低下で、簿価ベースの利回りが当座預金残高の平均利回りを下回る「逆ざや現象」が発生するおそれも強まりつつある。
<7─8割をマイナス金利で買い入れ>
日銀は2月16日の準備預金積み期間から、当座預金の一部に対してマイナス0.1%のマイナス金利政策を導入。
これを受けて、国債利回りにも低下圧力が強まっている。
10年最長期国債利回り は、2月26日から3月1日にかけてマイナス0.075%まで低下し、8日の取引で一時マイナス0.1%を記録。
国債利回りは残存11年程度までマイナス水準に沈んだ。「日銀は月間買入額の約10兆円のうち、単純計算で7─8兆円程度を
マイナス金利で買い入れていることになる」(外資系証券)という。
日銀の保有国債残高(短期国債除く)は、2月末現在で約300兆円。全体からみれば、まだ少ないように見えるが、
2年債利回りがマイナスを付けたのは14年11月。さらに日銀の国債買い入れの年限長期化やマイナス金利政策導入によって、
月間ベースの国債買い入れ利回りが、昨年後半から急ピッチに低下しており、マイナス金利での購入分が急速に積み上がっている。
みずほ証券によると、日銀が単月で買い入れた国債利回りの平均は、15年12月がプラス0.292%、16年1月がプラス0.131%と
水準を切り下げてきたが、2月はマイナス0.020%と一気にマイナス圏に突入した。
<国庫納付金の減少も>
マイナス金利での国債買い入れが増加するとともに、日銀の保有国債利回りが低下している。みずほ証券の推計によると、
実勢レートから計算した日銀保有国債の加重平均利回りは2月末現在、マイナス0.079%と前月のプラス0.081%から低下し、初めてマイナスに転落した。
過去に安く買った国債も依然多いことから、簿価ベースの利回りはプラス0.3%台以上を維持していると推測されている。
しかし、イールドカーブ全体が低下する中で、日銀が、マイナス利回りの国債を買い進むほど、簿価ベースの保有国債利回り
(運用利回り)はじわりと低下する。現在の当座預金の平均利回り(金融機関に支払っている利息)はプラス0.1%程度。それを下回れば事実上の逆ざやとなる。
実勢(時価)と簿価の格差は、含み益ということになるが「日銀が資産を減らすことはマネタリーベース(量)を増やす政策と相反するため、
現在の政策を続けている限り、この益は実現化できない(日銀は国債を売れない)」(みずほ証券・シニアマーケットアナリストの松永哲也氏)といえる。
その結果、マイナス金利で日銀が買った国債は、償還時まで保有した場合、損失が発生することになる。
マイナス金利政策が長期化した場合、日銀の損失は膨張し、自己資本の毀損リスクが高まる。
したがって何としても2017年度中には物価目標2%を達成し、マイナス金利政策から脱却する必要性が、日銀の財務の健全性の点からも求められている。
大和証券・チーフエコノミストの永井靖敏氏は「日銀が国債をマイナス金利で購入すること自体、財政ファイナンスの領域に踏み込んだと言わざるを得ない」と指摘。
そのうえで、マイナス金利幅が拡大すればするほど、日銀が損失を抱えるリスクが高まり、国庫納付金減少を通じた
間接的な国民負担増だけでなく、将来の日銀への資本注入といった問題が徐々にクローズアップされてくるとみている。
保有国債の実勢利回りがマイナスになっているとの推計結果に関連し、日銀からのコメントは得られていない。 (星裕康 編集:田巻一彦)