16/02/26 17:02:07.73 CAP_USER.net
URLリンク(www.newsweekjapan.jp)
前回のマイナス金利で梯子を外されたのが銀行なら、今回見事に梯子を外されたどころか、
卓袱台をひっくり返されたのがいわゆるリフレ派でしょう(懇意にしているメディア関係者の方からリフレ派は皆、泣いているとメールを頂戴したものですから)。
23日の衆院財務金融委員会で黒田総裁、岩田副総裁が揃ってこれまで自身が推進してきたはずの
マネタリーベース拡大政策について、その効果を否定。前回の寄稿でお伝えしました通り、
「異次元」とされた量的緩和のスタート時点から、良識ある有識者の間では実体経済への効果は
否定的というのが共通認識でした。この度の委員会での総裁、副総裁の発言は遅きに失すわけですが、
兎にも角にも効果がないという点をお認めになられたのですから180度の転換となります。
ここでのポイントは大きく2つ。
①結局のところ、自分たちが推す政策でどういった効果が出るのか、全くわからないまま進めてきたのだと吐露したようなものですが、
だとすれば金融政策を担う立場として鼎の軽重が問われるのは当然でしょう。
②「異次元」の量的緩和をスタートした時は自信満々でしたが、マネタリーベース(ベースマネー)を増やしても、
マネーストックを増やす効果は期待できない、つまり実体経済への波及効果はないと実は最初からわかっていたとするなら、
いったい何のための「異次元」の量的緩和策だったのか。
②の実体経済へのプラスの影響を考えていると公言しながら、実は期待していなかったのか? という部分については
①の鼎の軽重を問う部分と併せて世論にお任せするとして、ここでは②の中でも「異次元」の量的緩和の本当の目的は何であったのかについて
考察してみたいと思います。それを紐解くには少々古い議事録になりますが、こちらが参考になるでしょう。
<関税・外国為替等審議会 外国為替等分科会 「最近の国際金融の動向に関する専門部会 」
(第4回)議事録>
ノーベル賞受賞(2001年)後の2003年にスティグリッツ氏が審議会で講演をし、その後の質疑、自由討議に当時内閣官房参与だった
黒田氏も参加しているというもので、日銀総裁になって以降のインフレ目標と円安を目指す発想はこの当時からあったものと思われます。
ただし、スティグリッツ氏は「インフレ率やデフレ率は政府のコントロールが必ずしも及びません」
「市場経済においては為替レートは政府が決められるものではありません」と述べています。
日本は総需要、構造問題を抱えているとし、デフレについて考える=経済低迷期における物価下落の問題として考える場合には、
物価と同時に「賃金は大幅に下落して」いる点を鑑みる必要があることにも言及しています。
議事録内でポイントとなる黒田氏の発言としては、
「当然、金融緩和は他の事情が一定であれば為替の下落を導きやすい訳です。そうすると、教授が言われたように
デフレ資産を緩和するという意味で好ましいと思います。」
つまり、通貨価値の下落(円安)→デフレ解消を考えていること。ただし、為替市場で直接ドル買い・円売り介入するのは国際的な批判が大きいことが予想できるだけに、
「為替市場に直接介入して円安をもたらし、それでデフレーションを直そうというよりも、先生が強調しておられたような
さまざまな金融緩和の方が望ましいのではないかと思っています。」
というところでしょう。
ちなみにこの議事録の中で「賃金」という単語の登場回数は6回、いずれもスティグリッツ氏からとなっています。
「所得」は18回の登場で、うち13回がスティグリッツ氏、主に創出や増加といった単語とセットになっているのが確認できます。
対して、日本側のコメントで純粋な「所得」が出て来るのはスティグリッツ氏の発言を繰り返す形でのわずか1回、あと4回は「所得税」として
登場しています。たかだか1回の議事録の単語数で全てを推し量るつもりは全くありませんが、国民経済目線の政策を目指しているのか、
数字上のデフレ解消が先に立っているのかが、透けて見えるようではあります。
関連
【金融】日銀・黒田総裁「マネタリーベースの増加、インフレ期待上昇に直結せず」 [無断転載禁止]©2ch.net
スレリンク(bizplus板)