15/12/24 14:56:22.85 CAP_USER.net
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資金繰りにも窮し始めたシャープの経営が瀬戸際に立たされている。
官民ファンドの産業革新機構主導で救済する方向が固まりつつあるが、一民間企業のシャープを、
公的資金を使って救済する「大義名分」はあるのだろうか。
シャープが苦境に陥った原因を振り返ると、液晶への過剰投資が直接の原因だ。2012年3月期に3760億円、
2013年3月期に5453億円の当期赤字を2年連続で計上。これにより、元々財務体質が強くなかったシャープは
自己資本比率が低下し、資金繰りなど生き残り策をメーンバンクの三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行の2行
に依存しなければ存続できない企業に転落した。
2012年4月に「ミスター液晶」と呼ばれ、シャープでは珍しい東大卒の片山幹夫雄社長が引責辞任し、
後任に末席に近い奥田隆司常務が就いたものの、わずか1年で退任。会社の業績が急降下している最中にも、
相談役に退いていた町田勝彦元社長・会長や片山氏らが再建を巡って主導権争いをして社内に「内紛」が起こった。
この頃、台湾のホンハイ精密工業と資本提携交渉が進み、不良在庫を抱えてネックとなっていた
テレビ向けなどの大型液晶の堺工場を分社化し、ホンハイに売却、シャープのフル連結から外した。
そこまでは良かったが、シャープ本体にも出資を目論むホンハイと株価などの条件面で折り合わず、
ホンハイとの資本提携交渉は流れた。この時点では、シャープの経営陣は、銀行から支援を受ければ
何とかなると考えており、ブランド的には格下のホンハイを見下していた。
13年6月に高橋興三氏が副社長から昇格した。しかし、高橋社長は、製造業の再建のことが分からない
銀行の操り人形と化し、しかも自分の同期や仲良しで周囲を固める役員人事をした結果、
危機の最中にもかかわらず再び「内紛」が起こった。液晶事業担当の役員と管理部門の役員が
赤字の責任を押し付け合うという醜い争いだった。
管理部門担当の役員は高橋氏と近かったことから、「内紛」には勝ち、そのまま役員として会社に残っている。
また、メーンバンク2行から役員が派遣されているが、なす術もないのが現状だ。債務と資本を入れ替える
デッドエクイティスワップ(DES)を実施して、帳簿上は自己資本比率を上げたものの、
再建や将来の技術開発に必要なニューマネーが入ってきたわけではなく、抜本的な改革には繋がらなかった。
本質的でかつ大胆なリストラを行うにも、キャッシュが必要なのだ。
かつての日本軍を彷彿させる
逐次的に小手先だけの改革を繰り返すシャープのこうした姿は、仏ルノーと提携する前の日産自動車と重なった。
当時、筆者は朝日新聞経済部記者で日産の担当だったので、「デジャブ」だった。
かつての日産もコストが高いうえに売れない商品を作って、その責任を開発や営業、購買が常に擦り付け合っており、
当期赤字を何年も垂れ流して自己資本比率が下がり、日本興業銀行(現みずほ銀行)や
富士銀行(同)からの手助けなしでは資金繰りに窮する状態だった。
シャープのここ数年の動きは、戦力を逐次的に投入して結局は全滅してしまうかつての日本軍をも彷彿させた。
シャープの現状はこうなっている。10月30日に発表した2016年3月期決算の通期見通しは、
売上比率の最も高い液晶事業の営業損益が450億円の黒字から一転して300億円の赤字に転落。
全体の営業利益も期初予想から700億円減の100億になる見通し。
4四半期連続で下方修正を繰り返し、株価は100円台だ。冬のボーナスは前年比で半減の1カ月、
おまけに社員には自社製品購入のノルマまで課せられている。
30代、40代の有能な人材は、退職金が割り増しされる希望退職の対象ではないのに、
残っていても将来展望はないとして、会社に見切りをつけて転職に走っている。液晶開発のキーマン
も辞表を叩きつけて会社を去ったそうだ。このままでは、「買い手」の付く優秀な社員ほど辞める動きが益々加速するだろう。