15/12/18 08:23:18.14 CAP_USER.net
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ある人から、お札を刷って国の借金を帳消しにできないかと聞かれた。これは、後で詳しく述べるが、ある程度はできる。
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また、これと大いに関係があるが、かつて筆者が政府紙幣の発行を主張したこともあり、しばしばそのメリットとデメリットを聞かれる。
実は、政府紙幣の発行と日銀の量的緩和は、経済効果という観点から見れば、両者はほぼ同じである。
日本の経済学者は、財政学と金融論(金融政策)が縦割りになっており、政府紙幣はそれらの狭間に入るのでキワモノ扱いである。
このため、日銀の量的緩和でも理解不足の人が多いのは残念である。
まず政府紙幣はそれほど突飛なものではなく、ほぼ現行制度の中の話である。
かつて政府紙幣を生理的に嫌った与謝野馨氏は、経済財政相時代にとんでもない発言をした。
テレビ番組で与謝野氏は、政府紙幣について「『円』っていうのは使えないんですよ。だから、『両』とかにね、しないと
。信用あります? 流通しないですよ」と言った。
これは政府紙幣が現行制度で構成できることを知らずに言ったことで、ある意味法律違反の発言だ。
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(以下「通貨法」)第二条第一項には「通貨の額面価格の単位は円とし、
その額面価格は一円の整数倍とする」とある。政府紙幣は法定通貨であり、その通貨単位を「両」なんて勝手に言ってはいけない。
それも現職経済担当閣僚がテレビで公言するのだから困ったものだった。
● 政府紙幣の発行で得られる シニョレッジ(通貨発行益)とは
通貨法第四条では「貨幣の製造及び発行の権能は、政府に属する」とされ、政府に発行権限があることが明らかにされている。
また、同法第五条第一項は「貨幣の種類は、五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類とする」とし
、同条第二項で「国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣の種類は、前項に規定する貨幣の種類のほか、
一万円、五千円及び千円の三種類とする」、同条第三項で「前項に規定する国家的な記念事業として発行する
貨幣(以下この項及び第十条第一項において「記念貨幣」という)の発行枚数は、記念貨幣ごとに政令で定める」とされている。
同法第六条は「貨幣の素材、品位、量目及び形式は、政令で定める」としている。
これらの規定によれば、政令によって記念貨幣として1万円のプラスチックマネー(紙弊より耐用年数が長く経済的。しかも偽造しにくい)
を出すことに問題はない。
たとえば、天皇ご即位○○周年記念として1万円の記念通貨を10億枚発行できる。この場合、政府の損益計算書(P/L)
では政府収入は10兆円となる。政府バランスシート(B/S)では、資産側で現預金10兆円増、負債側でその他債務10兆円増となる。
ここで、政府収入10兆円をシニョレッジ(通貨発行益)という。
もし法律改正していいなら、頭の体操であるものの、臨時法で10兆円政府紙幣を1枚発行し、日銀に持ち込み、
政府預金を10兆円とすることもできる。これなら、新しいお札を印刷することなく、日銀券が自動的に増発できる。
発行コストは、実際に大量の貨幣を作らない(一枚作る)のでほぼゼロとなる。
政府紙幣を発行して得られた政府収入をどのように使うかは、政府次第である。冒頭の人のように、国債償還に使ってもいい
。すると、政府B/Sで、資産の現預金が減少し、それと同額の負債の国債が消える。また、政府収入を国民にばら撒くことも
立派な有効需要創出政策である。実際にばら撒く手間・コストを考えると、すべての人が払う社会保険料を減額することが最も効率的だ。
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