07/03/29 22:45:05 cb9PjLys0
ぼくがまだ小さかった頃。
お守りのセリオさんはぼくの手を引いて、おんもへつれていってくれた。
秘密の場所だから、といわれて、ぎゅっと目を閉じて、そうして、ぼくは手をひかれるままについていった。
どこにあるかはわからない。お気にいりの紫雲英の野原。
春の日差しがまぶしくて、雲雀が高く舞っていた。
真っ白な絨毯の上にすわって、セリオさんは、まわりに咲いた紫雲英を摘んでは、ぽつり、ぽつりと編んでいく。
ぼくは野原をぐるぐるまわって、すみれを摘み、あざみを摘み、雛罌粟を摘んでは、セリオさんに何度も手渡して。
セリオさんはいちいち微笑んで、それをひとつひとつ編み込んでくれた。
夕方になると、セリオさんは花冠をかならず二つ編み上げて、
「坊ちゃん」
「なぁに」
「坊ちゃん。私が好きですか」
「うん」
「ずっと一緒にいたいですか」
「うん」
「じゃあ、おまじないをしましょう」
「おまじない?」
「そう、こうやって」
花冠をかぶせあうと、ぼくの手を取って、
「いいですか。目を閉じて」
「うん」
「よろこびも、かなしみも、たのしみも、くるしみも、わかちあい、とこしえに、ともにあれ」
そういって、ぼくのひたいにそっと唇を寄せた。
それは幼き日の遠い思い出。
でも、おまじないは、まだとかれずにあるのです。
◆ 前スレ
To Serio ~セリオスレ Part22~
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