06/10/09 21:02:00 AFar6jUT0
「ただいま・・・あれ?」
耕一が鶴来屋から帰って居間を覗くと、ちゃぶ台に置かれた花瓶にすすきと山白菊が
生けてあった。かたわらの三宝にはお団子と栗が積まれている。これは・・・
「おかえりなさい。あ、これですか? お月見ですよ。今夜は」
「でも確か先月・・・」
「十五夜でしょう? だからですよ耕一さん。十五夜を愛でたら
かならず後の月も愛でるものです。古いならわしですよ」
「へぇ、知らなかったよ」
「ふふっ」
夕食のあと、縁側に花瓶と三宝を出して、二人ならんで腰掛けた。
「これ。私がつくりました。どうぞ」
「えっ、それは・・・」
「うふふ、梓に味見をしてもらいました。大丈夫ですよ」
「・・・じゃ・・・うん。大丈夫、おいしい。おいしいよ千鶴さん」
「よかった・・・梓がね、千鶴姉もちょっとはマシになってきたじゃない、ですって。
・・・耕一さん。私、少しずつですけど、料理や家事もできるようになりたいの。
私の重荷を引き受けてくれたあなたのために、少しは奥さんらしいことを
してあげたいですから・・・いけませんか?」
耕一は答えるかわりに千鶴の肩をやさしく抱き寄せた。
今宵の月が満ちるように、二人、足りない所を助け合っていけたなら・・・
鈴虫繁く秋の宵。縁側に、肩寄せ合って見上げる月は十三夜。
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