06/10/05 22:40:04 0PJwPh0K0
高校を卒業してから三年半の歳月が流れた。時の流れは速いものだと思う。
「卒業から四年半も経ちましたね~」
「そうだな。しっかしあの頃は、将来がここまで過酷なものになるとは思わなかったよ」
「過酷…ですか?祐一さん、悩みがあるなら佐祐理に相談して下さいね。
一人で悩むのは無しですよ~」
俺達は卒業後も度々会っていた。特に最近は佐祐理さんと会う事が多い。
ここのところ落ち込む事が多いから、佐祐理さんの笑顔で癒されたかった。
「はは、この時期だってのに、まだ内定取れてなくってさ。
良かったら佐祐理さんのコネでどっか入れてくれよ」
冗談半分に言う。状況自体は笑っていられない局面に突入してるけど、
せめて佐祐理さんと一緒に居る時は笑い飛ばしたかった。
しかし…あの頃はこんなリアルな悩みを抱えることになるとは思わなかった。
ファンタジックに危険だった高校の冬と、今のリアルな危機的状況を対比させてみると、
平和な日常ってのもそんなに楽なもんじゃないと思う。
「あははーっ。分かりましたー。お父様と親密な関係にある公益法人があるのですが、
そちらでよろしいですか?」
冗談半分で言ってみたけど、まさか本当に紹介してもらえるとは。
しかも公益法人かよ。難関の一つじゃねーか。