06/10/05 14:08:47 is9KkUsw0
「特製ジャムサンドぉ?」
「ああ、鍵屈指の料理人・秋子さんが作った、究極至高のジャムなんだ」
生徒の喧噪も聞こえない秘密の踊り場。
優しい微笑みを浮かべる佐祐理さんと、無言でタコさんウインナーをつまみ続ける
舞の横で、志保は思わず訝しげな声を上げた。
第二回最萌が終わってはや10日、投票スレの片隅で、アニメKanon放送記念の
エキシビジョンが開かれるという情報を聞きつけた彼女。
というわけで早速、あの夏の日、(票では見るも無惨だったけど)ものすごい支援を
出し合った縁がある倉田佐祐理さんに(半ば詐欺まがいの話術で)許可を貰い、
こうして取材に来たついでに、佐祐理さん特製重箱弁当も頂いていたのだが……。
「けど、そっちの重箱弁当はマジでバカうまだったけど、こっちはなんか不安よねー。
なんか未知の匂いもするし、某早○パンみたいな超地雷じゃないでしょーね?」
「ぜ、ぜんぜんそんなことはないぞ」
「……口調からして怪しい」
祐一が差し出した弁当箱の中に敷き詰められた、どう見ても生物化学兵器です
本当にありがとうございました的な臭いがぷんぷん漂う『ソレ』。
その異様なオレンジ色や摩訶不思議な芳香に、志保の脳は全力で警鐘を鳴らす。
だが……
「ふぇ?志保さんは食べないんですか?それじゃあ佐祐理が味見しますね」
「佐祐……」
「ちょ、命は大……」
「え、えっと、ちょっと用事を思い出したそれじゃたわばっ!」
撤退する祐一を舞が反射的に轟沈させたり、志保が一瞬躊躇する間に、佐祐理
さんは『ソレ』を口に運んでしまっていた。三角形の先端を、はむっ、とかじり……
「ふぇ?別にそんな変な味では……むしろすごく美味しいですよ」
「嘘でしょ!?これはきっと孔明の罠よ!……でも倉田さんが嘘つくとは思えないし、
試しに一口……って、何この一口で全身に拡がるフルーツの香り!それに芳醇な
パンそのものの風味が口いっぱいに広がって奇跡のような二重奏を……」