06/10/05 00:41:19 O/7t96xH0
「いや、嬉しいよ。そうやってヤキモチやいてくれるってのはさ、
そんだけ俺が愛されてるって証明なわけだし」
佐祐理さんは少し顔を赤らめた。
「あははーっ、そうですね。祐一さん、いつまでも一緒に居てくれますか?
嫉妬深くて少しエッチで頭の悪いこですけど、それでも側に居てくれますか?」
「勿論。いつまでも隣に居るよ。それはそうと佐祐理さん、少しエッチじゃなくて、
とってもエッチの間違いじゃない?」
「祐一さんっ」
「おっと、否定するならこの後お風呂入ってあげないけどいいの?
少ししかエッチじゃないんでしょ?」
「祐一さん、ずるいです」
「冗談だよ。特製ブラシとボディーソープ、今から楽しみだよ」
一瞬顔を紅に染めた佐祐理さんだったが、すぐに「任せて下さい」と微笑んだ。
これでいい。佐祐理さんは嫉妬深い方がいい。
嫉妬深さは独占欲から訪れる。独占欲は、己を己と捉えている人間にしかない
欲望だ。ニヒリストには無縁の感情。
佐祐理さんが自分を完全に取り戻し、一人称が『私』に変わり、俺に対しても
敬語を使わなくなる。その日の足音は確実に聞こえてきていた。
春はそこまで来ている。まだ寒い季節だけど、彼女の春はすぐそこまで。
<FIN>