06/09/22 01:56:20 gjyX6X1K0
>冬弥妹「ふーっ」
>舞 「……私はウサミミを駆るものだから」
この直後、0.1秒の間の出来事を誰も知ることはない。それは人の認識を越えた、nowhereでの事象だった。
冬弥妹「よくここまで付いて来られたわね」
舞 「私はネコミミを刈るものだから」
冬弥妹「これを見ても果たしてそう言えるのかしら」
47人の妹は、姿を消しまた姿を見せた。舞もまた、6人の自分を走らせた。ある妹は、プサイにファイ、プサイにファイと謎の踊りを始め、またある妹は石炭袋に顔を突っ込んで、
河を泳いで渡ったりした。また、ある妹はあんぱーんはあんぱん、あんぱーんはあんぱん、と行進を始め、ある妹はまた来世と言って笑顔のみを虚空に残して消えた。
舞は、妹の影を追った。妹と妹とが連なってどこまでも妹ばかりだった。姥捨て山ならぬ妹捨て山があったらどんなに大変だろうと思った。肩に大きな荷がのし掛かったようだった。
やがて妹と妹の区別がなくなり妹と世界の区別がなくなった。自分は何を探しているのだろうと思った。自分が何かに探されているように思えた。
祐一。
自分は祐一の妹になりたかったのではないかと思った。舞は舞を探した。5人のまいは見つかったが、あと一人がどうしても見つからなかった。
そして舞は、あの場所に戻っていた。
「ここが貴女のほんとうの居場所なのね」
舞は振り返った。ネコ耳の妹が、黄金の麦畑に立っていた。
「ごめんなさい。どうしても本当の貴女を知りたくなって」
「そう、私はここに還ってくる。いつも、いつも」
「それはとてもいいことよ。何処にでも行ける者は、何処にも居場所がない。お兄ちゃんと一緒にいる私も、お兄ちゃんと一緒にいない私も等しく真実なの」
「あなたもここに居ればいい」
「―ありがとうね」
…
佐祐理「あははー、頑張れ、舞ー」
冬弥妹「ふーっ」
舞 「私はウサミミ」
そして、舞と冬弥妹は二人にしかわからない笑みを交わした―
詠美「と、まあ、こんな話よ」
和樹「もうやりたい放題だな」
詠美「シタボクのくせに口応えするなんて、このシタシタボク!」