クラナドSS専用スレッド その3at LEAF
クラナドSS専用スレッド その3 - 暇つぶし2ch731:それち3/1
07/09/23 16:37:28 5ucGNiEb0
「はあ。それはそーと朋也さ。廊下であんまバカな言い争いしないでよ。隣の
 クラスまで聞こえてるわよ」
「そうだぞ春原。気をつけろよ」
「華麗なスルーですねえ!」
 ますます呆れ顔を深めていく杏を見て、ふと冴えた考えが浮かぶ。
 よく考えりゃ春原なんかより遥かに頼りになる逸材がここに居るではないか。
 凶暴だが外面は良くて教師からも信頼されている魔性の女、藤林杏。
 こいつなら部の一つや二つ潰すも作るも自由自在だろう
「ところで杏。頼みがある」
「へ。なによ急に改まって」
「演劇部を作りたいんだ。今日の放課後までに」
「は?」
 杏は鳩が豆鉄砲食らったような顔をした。
 こいつの性格からすると鳩ってーかカラスの方だが。
「大丈夫? とうとうあんたにも春原が完全に移っちゃったの?」
 むしろお前の反応に春原が移っている。
「どういう意味ですかねえそれ!」
「どういう意味もなにも、ねぇ」
「なぁ」
「こういうときだけ息ぴったしですねあんたら!」
 つーか遊んでる場合じゃないんだってば。
「まあ待て杏、ただ演劇部を作るというだけでは説明不足だった。
 実はかくかくしかじかという訳でな」
「本当にかくかくしかじかだけでわかるわけないでしょーが」
 ちっ、第六感に欠けた女だ。だから苦手なんだこいつは。
「これだからユーモアを解さん女は。春原、翻訳してやれ」
「はあっ? 僕もわけわかんないんですけど」
「真の男なら俺の言葉がわかるはずだ。ヘタレ女な杏より、
お前の方が想像力と理解力に優れているはず!
 俺が演劇部を作ろうとしている真の理由、お前なら……と思ったんだがな」
 とんでもない屁理屈である。

732:それち3/4
07/09/23 16:39:36 5ucGNiEb0
「そっそうか! ちょっと待て岡崎今考えるから!」
 そして、屁理屈に騙されるのが春原という男である。
 春原は額に手を当てうなっていたが、数秒後、ぴーんと電球が点く
ジェスチャーをして(アホである)びっと俺を指差した。
「つまり演劇部を作って純真な女優志望の美少女をたくさん入れて
 創部者の僕たちはうはうはーのよりどりみどりーの酒池肉林!
 という作戦だね!」
「……だいたい正解だ」
 細部は異なるが概ね合ってるあたり、やはり春原は俺の相棒だと
いうことを認識させられる。アホだけど。
 と、待て。なんか嫌なオーラが横から漂って来るんだが。
「へえええー。でぇ、酒池肉林がどうしたってぇ?」
 振り向くと杏がいつもの杏になっていた。なんというか、黒い。
 顔が。あとオーラが。
 つまり死の危険がデンジャラスに間近で三途の川の向こう側に
俺たちまとめてホームランされそうな雰囲気ですよ?
「まあ待て落ち着けその手を下ろせ。
 これには深いわけがあるんだ実はそら、あれだ」
「へぇ。話してごらんなさい。話が長ければそれだけ、長く
 生き延びられるから」
 本気だ! この女本気だ!
 数字の人が言いそうな脅し文句を本気で吐く杏の恐怖オーラに、
内心がくがく震えながらも、なんとか長く生き延びるための話を考える。
「えー、あー、話は文治二年の頃まで遡るんだが、あるところに
 おじいさんと」
「はい時間切れー、それじゃ死ね」
 なんだとこら、話が違うじゃねーか!
 なんて言う暇も無く、俺の意識は痛みで遠のいていった。

733:それち3/4
07/09/23 16:43:57 5ucGNiEb0
 ちっ。とんだ無駄な時間を食ってしまった。
 結局杏は百烈拳→スピニングキック→ソニック砲(つーか辞書)の
コンボを俺と春原に決めた後、ぷりぷりして去っていってしまった。
 くそ、もう時間がないじゃないか。
 もう放課後になってしまった。間もなくあの美少女が部室に来るだろう。
 せめて演劇部員の一人でも連れて行かないと様にならん。
 春原は気絶したままで役に立たんし、こうなったら……手近な奴を
捕まえて演劇部員に仕立て上げるしかない。
「藤林」
「はい?」
 というわけで、こいつだ。藤林杏の妹、藤林椋。外見は似ているが性格は
姉と正反対。確か部活に入ってなかったし、一応知らない仲ではないことだし、
こいつに決めた。
「ちょっと来てくれ」
 帰り支度をしている藤林に顔をぐいっと近づける。
 すると藤林はぼっと顔を赤らめ、何度も首をきょろきょろさせた。
「え、え、え?」
「頼む、一生のお願いだ」
 抵抗されてはだめなのだ。俺は一生のお願いカードを使うことにした。
 俺の必殺技である一生のお願いカードは、気の弱い奴を説得する効果がある。
 便利なのでこれまで二十枚ぐらい使っている。
「え、ええと、え? えええっ?」
「騙されたと思って、何も言わず俺についてきてください」
 最後はつい敬語になってしまった。
 つーか怖いんだよこいつに強硬手段使うの。姉がアレだし。
「え、あの……」
 藤林は誰かの助けを求めるかのように視線をせわしなく動かした。
 が、助けは来ない。いつもなら占いを目当に近寄ってくる友達らも、
俺達のかもしだす妙な雰囲気のせいで近寄ってこないようだ。
 やがて、ぎゅっと唇をかみ締めて、彼女は言った。

734:それち3/1
07/09/23 16:45:36 5ucGNiEb0
「は…………はい……っ」
 藤林の声はなんだかうわずったものになっていた。
 よくわからないが騙されてくれた。では杏に見つからないうちに部室へGOだ。
「きゃ、あの、ま、え、きゃあっ」
 呆然とするクラスメイトらを置いて、俺達は教室を全速力で去っていった。
 その間中藤林の腕をずっと握っていたのは、まあ役得であると言えよう。

 藤林と共に演劇部室の前で待っていると(ちなみに藤林は真っ赤な顔で
終始無言だった)、背の低い美少女が走ってきた。
 例の中庭のあんぱん美少女だ。
「はあ、はあ、はあ……」
 なぜか息が切れてるし。
「だ、大丈夫ですか?」
 藤林が声をかけて背中に手をやる。
「え、あ、はいっ。ありがとうございます!」
 美少女はしゃきん、と背筋を伸ばした。大丈夫ですよーと全身で言って
いるかのようだが、心臓が服の上からでもわかるほどばくんばくんと音を
立てている。
 でも胸は揺れてないが。
「嬉しくてつい、走ってきてしまいました」
 美少女が息を整えつつ言った。
 なお解説すると、ここでいう美少女とは藤林ではなく俺が中庭で会った
童顔の美少女のことである。もちろん藤林が美少女ではないというわけでは
なく、あくまでこの美少女の名前がわからないために、暫定的にこの美少女
のことを代名詞の美少女で呼んでいるだけである。
 解説したつもりだったが、果てしなくややこしくなった。


735:それち3/7
07/09/23 16:48:01 5ucGNiEb0
「それで、あの、演劇部の方ですよねっ?」
「……はい? いえ、違いますけど?」
 ってちょっ待っTA! いきなりかよ!
 まだまったく口裏合わせてNEEE!
 藤林を連れてきただけで満足して、そのへんの工作を完璧に忘れてた。
「……え?」
 途端に、今まで幸せ一杯だった美少女の顔が曇る。
 そしてこちらを見る。見るな。
 澄んだ瞳でこっち見んなっつーんだこの美少女が。
「あの……」
「む」
「演劇部員の方を紹介していただける、と聞いたんです……けど……」
「え。でも、演劇部は……」
 美少女の疑惑の視線が藤林と俺を交互に襲っている。ど、どうするべー。
 急に言葉がなまる。いや俺ここが地元だけど何かが乗り移ってきた。
 うーむ真相を明かしては俺の威厳っていうか信頼が欠け「廃部になって
しまってますよ」ることになるしここは一つ今からでもっておい、藤林!
藤林椋! この美少女が!
「え……」
「たしか去年、部員が誰もいなくなって、廃部になったはずです」
 速攻でバラしてるし! さっきからおめー連れて来た意味わかってんのか
アホー!
 って教えてなかったんだった。俺のアホー!
「で、でも……部員さんが……知り合いにいると……」
「いる!」
 俺は反射的に叫んだ。

736:それち3/8
07/09/23 16:49:25 5ucGNiEb0
 このままだと俺が悪者になってしまう。それだけは絶対に避けねばならんのだ。
「確かに演劇部は廃部になっていた。だが今日ここで新しく再生、新生するのだ。
 今から部員を紹介してやる!」
 なんか呆然としてる藤林と美少女を置いて、一人で発奮する。
 心の勇気3810号よ、俺に力を!
「新生演劇部の部長はここのこいつ、人呼んで藤林椋!」
 もはやヤケクソ気味な気分で俺は言った。
「ええっ!」
 なんか当人の驚きの声が聞こえてきたがあえて無視する。
「そして副部長はなんとお前だ、えーと、美少女!」
「……え、え……え? えええー!」
 びっと指差すと、美少女は首を回してひとしきりあたりを見回した。
 そしてこちらも驚きの声を上げた。
「ま、まさか美少女ってわたしのことですかっ」
 くっ! やはりいきなり副部長というのは無理があるか!
「わたし、ぜんぜん可愛くないです!」
 そっちかよ!
「お前以外に美少女がいるか!」
「藤林さんのことかと」
「え、えええっ! そんなっとんでもないですっ、わたしなんかが、びっ美少女なんて」
「そんな、藤林さんでとんでもなかったら、わたしなんかもうどうしようも」
「いえ、そんな」
「そのっ」
「えーいうっとおしい、素直に認めろそこの美少女共!」
 つーかなんでこんなことで騒いでんだ俺達。
 でも上手くごまかせたようだ。よかった。

(了)

737:それち3/了
07/09/23 16:51:47 5ucGNiEb0
以上です。

レス番号完璧にずれてます。すいません……。
読んでいただいた方、とてもありがとうございます。

738:名無しさんだよもん
07/09/26 00:39:21 xnSferaR0
2点

739:名無しさんだよもん
07/10/16 21:34:46 HbORhkbm0
辛いな

740:名無しさんだよもん
07/10/26 19:23:12 557BHyb5O
age

741:名無しさんだよもん
07/11/12 01:22:17 Nx6PVdchO


742:名無しさんだよもん
07/11/12 02:49:17 CYtRoWDV0
1点

743:名無しさんだよもん
07/11/27 16:32:29 YN8tXfmkO


744:泉 こなた
07/11/28 03:26:50 ohTdgMyK0
黒崎恵。

745:名無しさんだよもん
07/11/30 07:57:36 Ikh8iNRT0
ほほーお


746:喧嘩の原因は? 1
07/12/04 02:38:12 FOFCy2zQ0
 昼休み。取り立てて用事のなかった俺は、演劇部の部室前までやって来ていた。
 その日はたまたま寝不足だったから、昼寝でもしようと思っていたんだ。
 だが、いざ部室の前に立つと、中から何やら話し声が聞こえてくる。

「……もう、最悪ですっ」

 この声は風子か。
 うーむ。昼寝をするには向かないシチュエーションになってしまった。だが、別に俺はあいつのことは嫌いじゃない。
 中で誰と話しているのか気にもなったから、扉を開けて部室に入った。
 と、そこにいたのは風子と渚だった。部屋の中央に置かれている机を挟んで立ち、何故か剣呑な雰囲気で睨み合っている。
 そして二人共、俺に気付くなり一様に険しい視線を向けてきた。何だ?

「ど、どうしたんだ、お前ら」

 二人の視線を一度に受けて、さすがに俺も少々ビビった。
 普段のほほんとしている奴らが怒ると、ギャップのせいか妙に怖いよな。
 と、風子が俺に向けていた視線をついと斜め上方向にスライドさせて、腕を組み、不機嫌そうにキッパリと言う。

「見てわかりませんか? 風子、渚さんと喧嘩をしているんです」
 そうか喧嘩か。大人気ないな、お前ら。
「いえ、これはもう喧嘩なんて生易しいものではありません。むしろ抗争と言ってしまっていいくらいです。いえ、それどころか、これはもはや戦争です」

 へえ。で、原因は?
 風子が答える。 
「渚さんが、風子の好きなものを取ってしまおうとするからいけないんです。それは風子が自分のものにするって決めたんです。
 つまり、渚さんはいけない泥棒です」
「泥棒じゃないですっ」


747:喧嘩の原因は? 2
07/12/04 02:41:43 FOFCy2zQ0
 胸の前で握り締めた拳をブンブンと振り、渚がそれに口を挟んだ。「私だってずっと好きだったんです! だから、風ちゃんには渡せないです」
 つまり、好きなものを取り合っているわけだな。
「そこはかとなく最悪ですっ」
 と、また風子。「風子の方が、絶対それを強く好きだと思います。いえ、むしろ愛してしまっていると言っても過言ではないでしょう!」
「私の方が好きに決まってます!」 

 二人共、声高に強く主張する。何だ、一体何を取り合っているんだ? にしても、それだけ主張するなら、お互いかなり好きなものなんだろうな。
 気になって俺は訊いてみる。
「お前ら一体何を取り合っているんだ? 俺にも教えてくれよ」
 そう俺が尋ねると、渚は途端に目を泳がせた。
「そ……それ、は……」

 何だ、その反応は。
 まるで、今まで怒りで我を忘れていて、ふと我に返ってとんでもないミスを犯してしまったことに気付いたみたいじゃないか。
 風子の方はと見ると、同じように視線を空中にさまよわせて、ソワソワと落ち着かない素振り。
 ははーん。俺に言えないようなものなんだな。
 俺は試しに推理してみる。うーん。俺に言えないもの……。

「ヒントをくれ。それは食べられるものか?」
 そう言って風子を見た。風子は慌てたように首を振る。心なしか少し顔が赤くなったように見えるが、きっと俺の気のせいだろう。
 風子が質問に答えた。「食べられなくはないですが、きっと美味しくはありません」
「食べるなんてとんでもないですっ!」渚がまた口を挟んだ。「食べちゃったりしたら、私、許さないです!」

 食べ物ではない、と。
 じゃあ、もしかしてあれか…?
「そいつは、もしかして尖った部分があったりしないか?」そう俺は訊いてみる。
 風子がふるふると首を振って答える。「尖っているかどうかと訊かれれば、時と場合によると答えるのもありかもしれないです」
 すると、渚が慌てたようにピッと風子を指差して言う。
「嘘ついたらだめですっ! 時と場合で尖ったりしないです!」
「わからないです。時には尖ったりするかもしれないです!」
「そんなはずありません!」

748:喧嘩の原因は? 3
07/12/04 02:43:53 FOFCy2zQ0
 ああ、何だかもう訳がわからなくなってきた。とりあえずヒトデではない、と。
 事態が混乱するから、もう風子に質問するのは止そう。
 そう思い、俺は渚の方へと向き直った。
 何故か肩をびくんとさせる渚。そして、そっと目を伏せる。

「……な、なんですか、岡崎さん……」

 何故か耳まで真っ赤にさせて、俯きながら渚が呟く。
 いや、何って…。ちょっと質問しようと思っただけだが。

「いや、だから、二人が取り合っているものって一体何なのかって…」
 すると、渚はそろそろと視線を俺の顔に向け、そして再び足元に落とした。
「その……それはあの……岡ざ……何でもないです」

 ん? 今何か答えを言いかけたんだろうか? あいにく、良く聞き取れなかったぞ。


  つづく。

749:名無しさんだよもん
07/12/04 23:51:15 c56IqsofO
期待期待

750:名無しさんだよもん
07/12/14 09:22:01 KTo/jMqb0
×風ちゃん
○ふぅちゃん

751:名無しさんだよもん
07/12/18 14:43:02 JU63gk33O
アニメ化したから久しぶりに葉鍵板に戻ってきたんだが、まだこのスレあったんだな

ところで、朋也と杏がの喧嘩話のSSって途中で止まったままなんか?
あれ結構楽しみにしてたけど掠に諭されて以来の続きは結局投下されなかったのか…orz


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