05/09/19 05:02:41
序章4
ちひろが叫ぶと、ガサガサと木立が揺れた。確かに誰かいる!「逃がすか!」ちひろは家宝の竹刀を物音のする方へ投げつけた。
「いて!」思ったよりも幼い声が聞こえてきた。ちひろはその場に駆けつけた。
ちひろ「笠ピー!?」声の主はジョーキマホーンズの新人で、最年少メンバー、笠ピーだった。
ちひろ「そこで何をしてたの?笠ピー!!」笠ピー「や、やあ、ちひろさん・・・。散歩ですよ、散歩。いい天気ですね」
笠ピーは将来性のある魔法使いだが、箸も満足に扱えないくらい不器用な少年だ。そしてウソをつくのも不器用だ。
ちひろ「正直に言いなさい!笠ピー!!覗いてたんでしょ!!」笠ピー「そ、そんなこと・・・ないです・・・」
ちひろ「ウソおっしゃい!私の裸見たんでしょう!?」笠ピー「は・・・はい・・・見ました・・・」
ちひろは怒りながらも呆れた。笠ピーのような小さな男の子でも女の身体に興味があったのか・・・。それも、よりによって私の裸なんて・・・。
ちひろ「いけない子だね、笠ピー。女の子の裸を覗くなんて・・・」そう言いながらちひろはハッと気づいた。裸だけでなくアレも見られたのか、自分を慰めていた姿を・・・。
ちひろは恥ずかしさでカァッと耳まで赤くなった。「ごめんなさい・・・」笠ピーはシュンとなって頭を下げた。
そんな笠ピーの姿を見ると彼がいとおしくなるから不思議だ。考えてみれば自分の裸を他人に見られたのは初めてだ。変な話だがその初めての相手が笠ピーでよかった。
ちひろはションボリとうな垂れている笠ピーを見ていると、つい意地悪をしてみたくなる。
ちひろ「笠ピー、どうだった?」「え?」「私の裸、どうだった?」「どおって・・・」「何とか感想言いなさいよ!只で見せられるもんじゃないんだからね!」
笠ピー「あの・・・その・・・きれい・・・だったです・・・」ちひろ「きれい・・・か・・・」笠ピーにそう言われて悪い気持ちにならなかったちひろだが、同時にさみしさも感じた。やはり自分は女なんだ・・・。女として見られてるんだ・・・。
ちひろ「きれいって言ってくれてありがとう。でもね、笠ピーはとっても悪いことしたんだよ!わかってる?」笠ピー「・・・はい・・・」
ちひろ「お尻をだしなさい、笠ピー。今からお仕置きしてあげる!」「え~!?」「え~、じゃないの!はやくしなさい!」
ちひろは自分の竹刀を探した。「あれ、無い・・。さっきまでここになかったかな?」すると、後ろから軽薄そうな声が聞こえてきた。
「いや~、ちひろくん・・・・。その哀れな少年を許してやってくれたまえ。魅力的な美少女の裸体を見たいという心を抑えつけるのは酷というものだよ。そもそも君の美しさが罪なのさ!」
ちひろは声のする方を振り向いた。「望・・・!!」
声の主は、ジョーキマホーンズ第二の男、望だった。