【きゃんでぃ】タカヒロ・白猫SSAAスレ1【みなと】at EROG
【きゃんでぃ】タカヒロ・白猫SSAAスレ1【みなと】 - 暇つぶし2ch650:WBC修業編1
07/10/09 16:55:05 qH9Wvl8lO

WBC…正式名称『ワールド(W)・ボトルシップ(B)・クラシック(C)』。

世界一のボトルシップファイターを決める大会で、100年近い歴史を持つ大会である。

現在のチャンピオンは岩本帆眼、ボトルシップ帆眼流創始者にして初の日本人王者である。
またの名を松笠腐敗、ボトルシップ界では知らない者はいないと言われる、生きる伝説である。

そんな彼の弟子の一人、対馬レオ。
ボトルシップを愛しながら闘争とは無縁の道を歩んできた。

そんな彼の日常は、ある一通の招待状-WBC日本大会決勝トーナメントの誘い-により、劇的に変化していくのであった。

651:WBC修業編2
07/10/09 16:58:28 qH9Wvl8lO



対馬レオがWBC出場を決めたその日、同居人であり姉であり、そして恋人でもある鉄乙女と真の意味で心を通わせ、二人は夫婦となった。
その夜、白無垢姿でレオの寝所に現れ、三つ指をついて『不束者ですが、末長くよろしく』という乙女をレオは心行くまで愛した。
今までは恋人でありながらも、乙女の絶対的優位は変わらなかったが、その日の彼女はレオに全てを委ねてくれた。
翌朝、朝靄のたゆる頃、レオの腕枕で幸せそうに眠る彼女の姿があったという。

そして現在、鉄乙女は学校に行き、対馬レオは何故か自宅にいる。
レオはWBCで勝つ為にはまだまだ実力が足らず、修業が必要だと考えた。
既に、一般的な書物から得られる程度の内容から、遥か高みに到達しているレオには、試合まで1ヶ月という短い期間で劇的に実力を上げる方策が見当もつかなかったのである。


652:WBB修業編3
07/10/09 17:02:37 qH9Wvl8lO


そして現在、鉄乙女は学校に行き、対馬レオは何故か自宅にいる。
レオはWBCで勝つ為にはまだまだ実力が足らず、修業が必要だと考えた。
既に、一般的な書物から得られる程度の内容から、遥か高みに到達しているレオには、試合まで1ヶ月という短い期間で劇的に実力を上げる方策が見当もつかなかったのである。
武道の達人ではあるものの、ボトルシップに関しては素人である乙女は彼を気遣い、とりあえず竜鳴学園館長・橘平蔵に、大会出場の為、レオを休学扱いにできないかどうかを相談しに行ってくれた。
「細かなことは私に任せ、レオはボトルシップに集中してくれ。」
と言ってくれた乙女に、レオは心より感謝していた。しかし、レオの心配事は別にあった。


653:名無しさん@初回限定
07/10/09 17:03:39 80mVOAHA0
支援

654:WBC修業編4
07/10/09 18:10:08 qH9Wvl8lO
「(何かとんでもない過ちを犯している気がする・・・)。」
テンションに身を任せ、WBCへの参加を誓ったものの、冷静になってみると、急に不安になってきたのだ。
「(乙女さんは既に本気だし、今更やめるなんて言ったら・・・ブルッ!)」
背筋に嫌な汗が流れてきたので、レオは考えるのをやめた。
「はぁああ・・・。」
深い溜め息をつくと、頭を抱えた。
そこへ、
「どうやら悩んでいるようだな。」
「え?」
突然の声に振り向くと、そこには見知った面々が居並んでいた。
「私より先に世界を狙うなんて、対馬くんのくせに生意気ね・・・ま、本気なのは聞いたけどね。」
「私に出来ることがあれば何でも言ってね、対馬くん。」
「ひ、姫に佐藤さん!?どうして・・・?」
「鉄先輩に呼ばれて来たんですよ、センパイ。」
「べ、別に対馬の為に来たんじゃないんだからね!」「椰子に近衛まで・・・。」
対馬家の女人率が凄いことになった!!


655:WBC修業編5
07/10/09 18:12:39 qH9Wvl8lO
「それは私が呼んだからだ、レオ。」
「乙女さん!?それにお前ら・・・。」
そこには乙女、そしてスバル、カニ、フカヒレの面々もいた。
「一体どうしてみんなが!?そもそも学校は!?」
「それはワシが話そう。」
「か、橘館長!?」
対馬家の漢率・髭率が上がった!
「話は鉄から聞かせてもらった。まさかお前があの松笠腐敗の弟子とは知らなかったぞ。」
「館長は師匠をご存じなのですか!?」
「うむ、知ってるも何も松笠腐敗はワシの師匠でもあるからな。」
「えぇっ!?」
「と、言ってもワシが松笠腐敗のもとにいたのは一月ほどだからな。そう、あれはワシが若き日に世界中を旅していた時のことだ・・・」
「長くなりそうなら帰っていいですか?」
「しょぼ~ん。」
「「ナイス椰子!(一同)。」」


656:WBC修業編6
07/10/09 18:14:47 qH9Wvl8lO
「せっかくワシの武勇伝や恋バナから話そうと思ったのにのぅ。ならばワシが見た松笠腐敗の奥義について話すとしよう。」
「師匠の奥義っ!?」
その言葉にレオの瞳の色が変わる。
「うむ。実はワシはその松笠腐敗に勝負を挑んで敗けてのう、一月との条件で弟子入りをしていたのだ。」
「え!?ヘイゾー負けたの!?」
「そう驚くな蟹沢、当時のワシはまだお前らよりも年下の、一段階しか変身できない紅顔の美少年だったからのう。」
「謝れ!美少年に謝れ!!」
「え、エリー落ち着いて!」
「それはどうでも良いとして、松笠腐敗の奥義についてのお話を!!」
「鉄は対馬のこととなると容赦ないのう。だ が そ れ が い い。そう、あれは修業の最終日、ワシは松笠腐敗に洞窟の奥に呼ばれた。そこは真の闇、僅か1メートル程の距離にお互いがいながら、何も見ることが叶わぬ程。松笠腐敗はワシにただ待つような言った。」


657:名無しさん@初回限定
07/10/09 18:22:25 WtvoC/te0
 

658:WBC修業編7
07/10/09 18:37:46 qH9Wvl8lO
「え?奥義は?」
「話は最後まで聞け、対馬。ワシはそのまま一晩待った。ようやく洞窟内に朝日が差し込み、目が見えてきたワシは驚愕した。なんと松笠腐敗の手には、精巧な『戦艦松笠』のボトルシップがあったのだ!」
「「!!??(一同)」」
「そうだ、松笠腐敗は明かり一つない空間で、音一つ立てずに完璧なボトルシップを作れる!!その名も、『無明無音の型』っっ!!!!」
「「・・・・・。」」
あまりの衝撃に言葉も出ないレオ達。ちなみにカニは熟睡中だ。
「そ、そんな事が本当に・・・?」
「佐藤の言うことも分かるが、館長のお話は本当の話だと思う。私もかつて爺様から『無明無音の型』を使う達人の話を聞いたことがある。てっきり武道家とばかり思っていたが・・・。」
「いや、松笠腐敗は武道家としても達人だ。何しろ若き日とはいえ、このワシに勝ったのだからな。」


659:WBC修業編8
07/10/09 19:25:23 qH9Wvl8lO
「おいおい、そんな化け物にどうやって勝つんだよ。て、言うかもうボトルシップ関係な・・・アッー!?」
「あれ、今フカヒレの声がしなかった?」
「いや。」
「しなかったわよ。」
「誰それ?」
「スバルの聞き間違いじゃねーの?」
「そうか・・・つか、よっぴー何げにヒデーな。」
「コホン。」
乙女が咳払いをし、騒つきを収める。
静まったのを見て、彼女はレオの肩に手を置き、話し始めた。
「今日館長をお連れしたのは、今の話をして頂くのと、お前に修業をつけてもらう為なんだ。」
「・・・乙女さん。」
「松笠腐敗に勝つには、この『無明無音の型』を身に付ける以外無いと思う。それには一度でもこの技を見た館長に修業をつけてもらうのが一番だと思う。ただ・・・。」
「?」


660:WBC修業編9
07/10/09 19:30:14 qH9Wvl8lO
珍しく言い淀む乙女に、不思議な顔を向けるレオ。
「私は恐ろしいんだ・・・館長の修業は地獄を見ることになると思う。でも今のレオなら、必ず乗り越えられると思う。たが、レオがもしそれを乗り越えたとき、レオがレオじゃなくなる気がして・・・。」
「乙女さん・・・。」
レオ優しく微笑むと、乙女の手を握った。
「大丈夫だよ、乙女さん。俺は何があろうと、変わらないよ。」
「レオぉ・・・。」
近付く二人の顔。
「はーい、ストップストップ!!」
「ひ、姫!?」
「なーに私らを忘れてストロベリってるのよ。せっかく来てあげたのに。」
「ご、ゴメンナサイ。って、みんなはどうしてここに?」
「それはね、修業の間、対馬くんのサポートをするためだよ。」
「えっ?」
「日本大会予選までの一月、館長はお前と烏賊島に籠もるそうだ。その間の炊事洗濯、その他モロモロあるだろ?お前が修業に集中できるよう、みんながサポートしてくれるんだよ。」
「え、いいの?学校はいいの?」
「もちろん授業には出てもらう。サポートはそれ以外の時間となる。とはいえ、鉄だけでは負担が大きいからな。」
「みんな・・・。」


661:名無しさん@初回限定
07/10/09 19:39:15 WBSLiPZC0
支援

662:名無しさん@初回限定
07/10/09 19:39:15 WtvoC/te0
 

663:WBC修業編10
07/10/09 20:05:26 qH9Wvl8lO
「その代わり、必ず優勝すること。私に世界を見せるのよ。世界といってもあのアニメは関係ないからね、ナイスボートっ。」
「対馬くんのお世話!対馬くんのお世話!(対馬くんが修業に集中できるよう頑張るね)。」
「まぁ最近は家に帰りたくありませんし・・・て、変な誤解はしないでくださいよ、キモいです。」
「く、鉄先輩に頼まれたから仕方なくだからね!アンタなんか別に・・・モニョモニョ。」
「ぐっー(熟睡)。」
「ちくしょおっ!ちくしょおっ!どうしてレオばかり女が集まるんだっ!!」
「頼りにしてくれよ、親友。」
「・・・ありがと(遠い目)。」
「よしっ!これで万全の態勢が整ったわけだ!!みんな!レオを絶対に優勝させるぞっ!!」
「「オーッ!!!(一同)」」


664:WBC修業編11
07/10/09 20:13:07 qH9Wvl8lO




威勢よく声を上げる生徒達を見つつ、橘平蔵は心中複雑な想いを抱いていた。
「(無明無音の型・・・か。かつて、この奥義を会得した者は少ない。あの神々しくも妖艶な完成度・・・かく言うワシもあれを見せられたとき、思わず一物をビンに突っ込みたくなる程であった・・・。対馬、修業は厳しいものになるぞ、覚悟せい)。」




「あれ、そういえば祈先生は?」
「途中まで一緒だったんだけど、急に『憩っ!?』とか言って、『私は急用です!!』てな感じでどっかいっちったんだ。」
「憩・・・エステのキャンペーンか何かかしら?」
「さぁ?」


謎と陰謀が立ちこめるWBC日本大会決勝トーナメント。
本当の試練はこれからだ!!
愛する妻、友の為、闘え対馬レオっ!!!


665:名無しさん@初回限定
07/10/09 20:17:07 qH9Wvl8lO
いかがだったでしょうか、先月のWBCの続きです。
修業編なのに対馬家で喋ってるだけでした。


666:名無しさん@初回限定
07/10/09 20:20:11 WtvoC/te0
>>665
いろいろ言いたいことはあるが
とりあえず携帯から乙とだけ言っておく

667:名無しさん@初回限定
07/10/09 20:30:30 aKJaioIn0
携帯だからわかりにくいのだろうけど
改行は適度な位置で頼む

668:名無しさん@初回限定
07/10/09 20:34:24 cPjMYeMg0
>>665
投下の間隔が開きすぎとか改行が足りないとか
同じようなことを2回書いてしまっているとか
基本的な部分は携帯からだから、ということで目をつぶる。

内容についてだが
パロネタを引っ張る場合、読み手が飽きてきてしまうので
追加要素を盛り込んだのだと思うが
無理やりなパロディを詰めこんだだけ、という感じで
タイミングも使いどころも外している。特に後半は寒い。

厳しいことを言ったが、「面白くしよう」と努力する姿勢は感じられた。
めげずに頑張って欲しい。乙。

669:名無しさん@初回限定
07/10/09 20:54:07 toGZ1uKg0
ちゃんと読んだ人にGJと言いたい

670:名無しさん@初回限定
07/10/09 22:47:43 EgEjctFo0
後半を読まないと評価できない
cjをやろう

671:名無しさん@初回限定
07/10/10 00:10:06 2pjPb7Tj0
完結編への中だるみだと思っておこう
続きに期待

672:名無しさん@初回限定
07/10/10 05:21:32 tAN6VY1c0
あ、まだ終わってねんだこれ。
全部読んだ人GJ。
続きも読む気の人がんばれ。

673:名無しさん@初回限定
07/10/13 02:12:44 3RGm5CCF0
>>665
出来ておる

674:名無しさん@初回限定
07/10/13 02:29:06 u0zB/Uj10
何が?

675:名無しさん@初回限定
07/10/13 02:58:34 vVFrfx5L0
無駄が多い

676:名無しさん@初回限定
07/10/13 16:16:01 3RGm5CCF0
元ネタの解せぬ者にはちときついか。

677:名無しさん@初回限定
07/10/13 17:58:25 kDNT3G8z0
>>676
自演

678:名無しさん@初回限定
07/10/13 19:00:17 4wEAEG3J0
喃まで入れとけばいいのに

679:名無しさん@初回限定
07/10/13 22:15:07 H44u8fVY0
そういうレベルじゃないが、確かにそうだな

680:名無しさん@初回限定
07/10/14 21:52:37 XlJwJHXsO
2レスで終わります


携帯小説と暗い電波な話が苦手な人はスルーしてくれ

681:幸せと宝物
07/10/14 21:58:02 XlJwJHXsO
「………ん。今何時かな」

うー気持ち悪い…
もう何日経ったんだろうねー
でもそんなのわたし達には関係ないか


……わたしは宝物を手に入れたから


もうみんなには渡さないよ!
あっでもみんなはここには入れないから、ずっと二人きりだね!

もう!心配しちゃったよー
大丈夫!わたしがずっと守ってあげる


ずっと…


クーヤはわたしがいないとなにも出来ないんだから!

喋ることも
動くことも


682:名無しさん@初回限定
07/10/14 21:59:15 5dX+qEKd0
姉しよか、支援

683:幸せと宝物
07/10/14 21:59:33 XlJwJHXsO
でもクーヤはどうして冷たいんだろ?

「クーヤ寒い?わたしが暖めてあげるにゃー」

やっぱり冷たい…

「なんで…起きてクーヤ!起きてってば!……うぅ」

あれ?なんでだろ…
すごい悲しいのに…出ないや涙

「やっぱりクーヤの寝顔はかわいいねー」

お仕置きされちゃったり釣り行ったり…楽しかったな

「覚えてるかな?小さい頃にクーヤに励ましてもらったことがあって…」

それからかな、わたしがクーヤのこと好きになったのは…

それで一緒に海外行こうって約束して…

約束…

そうだ…してないんだ…約束…



なんか頭使ったら眠くなっちゃったよクーヤ…

待っててね…

すぐクーヤのところに…

684:幸せと宝物
07/10/14 22:01:21 XlJwJHXsO



「もうせろりとくうやがいなくなって、大分経つな」

「そうですね。瀬芦里のことですから、心配はいらないと思いますが」

「で、あるか。あの二人は幸せにやっているかの…」

「姉さん…幸せだと…いいですね」


685:名無しさん@初回限定
07/10/14 22:03:21 XlJwJHXsO
終わり


支援サンクス


686:名無しさん@初回限定
07/10/14 22:12:42 3yCr14yR0
>>680

なんか…まあ乙

687:名無しさん@初回限定
07/10/14 22:19:31 G6QoqEyi0
まあ普通腐るわな

688:685
07/10/14 22:23:29 XlJwJHXsO
>>686


>>687
そうだな
出るもん出るしなw


689:名無しさん@初回限定
07/10/14 22:26:24 5dX+qEKd0
>>688
軽いノリだなw
乙、ねえねえはやっぱり怖い怖い

690:名無しさん@初回限定
07/10/15 00:26:20 v0Gd3Slj0


691:名無しさん@初回限定
07/10/16 02:27:47 lyrs0fRh0
>>681
テレビが消えた日(ぷちケロQより)やった?
元々も有るけど、こえーな・・・まあ、好きって言うのがこんなもんだが・・・
恐いがよくねぇねぇの感じを出ているからGJ

692:685
07/10/17 16:00:25 hCSXPU51O
>>691
自分Mなもんで凌辱はやらないんだw
でも暗いのとか少し鬱は大好物

姉しよのSSまだ書いてる人いんのか?

693:名無しさん@初回限定
07/10/18 17:44:50 bOVGoKyL0
地雷の予感しかしない新作発表のおかげで下火になりつつあるカニスキーを
大いに盛り上げるために(実力加味せず)バカップルものを投下します。

相当ひどいテンションになっとりますがこれは仕様です。
カニ菌にやられました。

694:カニのみそ汁(その1)
07/10/18 17:47:49 bOVGoKyL0
「なぁきぬ、最近思うんだが『神のみぞ知る』ってことば
 なかなかこれでいい響きだと思わないか?」

「うん、なんかボクもそう思うぜ…ってあぁ!わかったぜハニーっ!
 今日はみそ汁がのみてーんだなっ?」

「…な、なんでわかったんだダーリン!?」

「だってさぁ『カニのみそ汁』的ひびきがするじゃん?」

「すげぇ…!俺の何気ない一言からもうここまで…、頭の回転が速すぎるぜ!
 IQ2000オーバーいったんじゃねぇか!?ミレニアムだ!」

「えっへへー!
 それにぃ、ただ顔さえ見れば、愛しの彼の言いたいことなんて すぐにわかっちゃうんだぜ!」

「おぉ…きぬ…なんて愛しいやつ…!
 つくづく俺なんかにゃもったいねぇほどの女だぜ!」

「よせやい、ボクなんてもらってくれる器のでかい男、
 レオくらいしかいねぇよぜったい。」

695:カニのみそ汁(その2)
07/10/18 17:48:23 bOVGoKyL0
「ボク、今でも信じらんないくらいなんだぜ?
 あの憧れのレオとこーーーんなに心を通い合わせることができるなんてさっ!」

「きぬ…、決めた…俺は決めたぞきぬ…! 俺はこの生涯をかけてッ!
 世に蔓延る他の女の誰よりも! お前を幸せにしてやるぞきぬぅぅぅ!!」

「はぅ!うれしい、うれしいよレオぉぉぉ!」

「よぉし!じゃあちょっと待ってな!
 もうすぐ『カニ』じゃあなくなるけど、前進前例をかけた『カニのみそ汁』ふるまってやんよ!」

「あぁきぬ、エプロンかわいいぜきぬっ!
 おなかの子が産まれたらすぐ結婚しような!」

「うんっ!卒業まではなんとか隠し通せそうだもんね。
 えへへー、元気に生まれて、ママの晴れ舞台観戦してってくれよ!」

「なんとかできました退学はふせげそうでよかったぜ!結婚式は闘いだ!」

696:カニのみそ汁(その3)
07/10/18 17:50:57 bOVGoKyL0
「でもきぬ、子供のためにもこれからしばらくは大人しくしといてくれよな。」

「うん!ボク、レオと赤ちゃんのためならいくらでもおしとやかになるよっ!
 デット聴きながら踊るのもなるべく控えるっ!
 ココナッツにからまれても、母親の余裕でけちらし…じゃなかった。華麗にスルーしてやるぜ!」

「まったくおまえってやつはぁ…ふふふ…」

「えへへ…っ」

(小一時間見つめ合う)

「さて!これから忙しくなるぞっ!
 バリバリ働く覚悟はできてるぜっ!!」

「…つかれとかはぜんぶ、ボクにあずけて癒してね?」

「なぁにそれはこっちのセリフだぜ!!
 熱血レオはな、疲れ知らずなんだぞ?」

697:カニのみそ汁(その4)
07/10/18 17:56:20 bOVGoKyL0
「…!」

(…あぁ…、今レオが乙女さんとかぶって見えた…!
  もう一人前の男なんだね…レオ………)

「お、おいきぬ…なんで涙目になってんだ…?
 俺じゃ…その………不安か?」

「…へへ、泣いてないもんね。
 だから不安なんてあるわけないよ!
 頼りにしてるぜっ!ボクのだんなさまっ♪」


(夕食タイム)


「奮発してみそ汁にはカニ缶をまるごとふたつ入れてみた!!」

「…グレイトだぜきぬ。」

698:あとがき
07/10/18 18:06:00 bOVGoKyL0
涼宮ハルヒの詰合一曲目から
『God knows...』→『神のみぞ知る』→『カニのみそ汁』まで昇華させた俺のカニミソに乾杯。

投下するのは小ネタばかりでほとんどROM専の俺が初めて長めのを書きました。
でもたぶんこれが最初で最後になるだろうな…。せっかくだから最後に叫んでいこう。


カニの夫はレオ以外認めません!カニスキーよ永遠にフォーエバー!


作品履歴:宇宙戦艦トマト、海産物の憂鬱、SATSUGAI、グロテスク、
     ツンデレラ(ツンの中から)、つよきすキャラをプロ野球12球団に例えてみた

どうもありがとうございました。

699:名無しさん@初回限定
07/10/18 19:33:24 FqMIRQJ30
>>698
カニ缶の味噌汁ってうまそうなんじゃねえの?

700:あとがき
07/10/18 21:04:51 bOVGoKyL0
>>699
レオん家のな!

701:名無しさん@初回限定
07/10/18 22:41:30 LHVDJH0e0
>『神のみぞ知る』→『カニのみそ汁』

古典だろ

702:シンイチ
07/10/18 23:29:40 uCev2VPt0
今から投下します。
脳ミソをOFFにしてどうぞ。

703:3姉妹+3従者会議(1)
07/10/18 23:33:10 uCev2VPt0
~前回までのあらすぢ(?)~
オッス! アタシ朱子!
びっくりしたわよ、マジで。
ついこの前、下男とハルが風呂場で裸で抱き合ってるの見ちゃったんだもん!
その前は下男がベッドの上でハルにケツを向けてたし!
これからいったいどうなっちゃうんだろ?
アタシ、すっげぇワクワクしてきたぞ!

「ということなんですけど」
「うわわ、本当にそういうことになっちゃってたんだね」
「レン君とハル君、進んでるねぇ…」
「くるっくー…レンちゃんが…レンちゃんが……」
「あの美鳩ですらこの調子…なかなか二人ともあなどれないわね」
「ふむ…別に個人の性癖や趣向に異論を向ける必要はないが……」
「そうね、姉さんが言うと非常に説得力があるわ」
「別に私は異常ではないぞ?」
「姉さんはどうやら自分がどういう人間か理解できていないらしいわね」
「何だか刺々しいぞミューたん。 だがそれも愛しい…」
「今はそれよりも、あの二人をどうすればいいのかな?」
「私としては、レンちゃんが元のレンちゃんに戻って欲しいのですが…」
「そうね。 いくらなんでも、ホモと一緒に仕事なんてやってられないわ」
「そ、それは差別だよ、ベニ」
「まぁ、同性愛かどうかで仕事を無理矢理辞めさせるわけにもいかんしな。
 それに、本人は否定しているんだろう? ならば問題は無いさ」
「な、なんかハルはそれっぽいかもしれませんけど…」
「でも、これはこれで色々なシチュエーションを考えられるのではないかしら?」
「ほえ? 例えばどんな?」
「そうね…例えば……」

704:名無しさん@初回限定
07/10/18 23:34:30 68Kc5tza0
>>699
我輩がありがたーい話をしてやろう
みなとそふとに乱れ雪月花という若造がいてな
カニ缶の味噌汁も、きっとそのうち挑戦してくれると思うぞ

705:3姉妹+3従者会議(2)
07/10/18 23:36:22 uCev2VPt0
「レン兄…今日はこんなものを持ってきたんですけど……」
「ん…これは半ズボンか?」
「はい。 それも皮製のやつです。 履いてみてください」
「どれ、早速…おおっ!? こ、これは…!」
「うわぁ…レン兄、すごくかっこいいですぅ!」
「この尻がキュッと引き締まる感触…なかなかいいじゃないか! 気合も入るってもんだぜ!」
「そうでしょう? これを見つけるのに苦労したんです」
「フィット感がたまらねーぜ! ところでハル、お前のはないのか?」
「もちろんあります。 ここに…」
「なんだ、まだ袋から出してないじゃないか。 よし、俺が履かせてやる」
「レ、レン兄…は、恥ずかしいです……」
「何言ってるんだ。 もっと恥ずかしい事、やってるだろ?」
「はぁぁ…レン兄のいじわる…」
「そら…それにしても、ハルもいいケツしてるじゃないか」
「レン…兄……」
「うほっ、いい半ズボン。 その姿を見てると、もう我慢できねぇよ…今日は半ズボンを履いたままやってみるか」
「えーっ!? 履いたままするんですかぁ!?」
「男は度胸、何でもやってみるもんさ」

「ぬへへへへへへへへへへへへへへ」
「あのー…ミューお姉ちゃん?」
「ダメね。 もうあっちの世界にいっちゃったわ」
「ま、まぁまぁ…」
「しくしく。 レンちゃーん…」
「うむ…だが読みが甘いな」
「と、言いますと?」
「私ならばこうだな」

706:3姉妹+3従者会議(3)
07/10/18 23:39:22 uCev2VPt0
「いやだなぁ、レン兄は。 もうこんなにギンギンにしちゃって」
「ハ、ハル…もう俺、我慢できねぇよ」
「ダメですよ。 この前、レン兄ったら大佐に熱い視線を向けてたじゃないですか。
 『 や ら な い か 』とか言われたらホイホイついていったんじゃありませんか?」
「そ、それは誤解だ! 俺はハル一筋だって!」
「本当ですか? それじゃその証として…僕のを舐めてください」
「わ、わかった…」
「ゆっくり、丁寧に…絶対に歯を立てないでくださいね」
「ああ。 それじゃお前のを…」
「僕はその間、レン兄のを足でいじめてあげますね」
(グリグリ)
「うあぁぁ! ハ、ハル……」
「あれぇ? レン兄ってば、足でされて感じてるんですか?」
「ハル…しゅ、集中してできねェよ……」
「ほらほら、もう出ちゃいそうですよ?」
「う、くあぁぁ!」
「レン兄が出したら、次はレン兄のお尻に挿れてあげますからね…」

「…とかな」
「下男受けなんですか!?」
「そうだ。 普段は強気なレンだが、夜はハルのほうが…というパターンだな」
「めそめそ。 レンちゃーん…」
「た、大佐も出てくるんですか?」
「大佐はナルシストだから、そういうのはないんじゃ…」
「いや、大佐自身はあんまり関係ないだろ、今の話では。 なら夢はどう考えるんだ?」
「ゆ、夢!? うーんと、そうだなぁ…」

707:3姉妹+3従者会議(4)
07/10/18 23:43:32 uCev2VPt0
「なぁ、ハル。 俺達はこのままじゃダメだと思うんだ」
「ど、どうしたんですか、レン兄!? ま、まさか僕のこと、飽きたから…」
「そういうんじゃねぇよ。 俺達は男同士だ。 このままじゃ結婚もできねぇ」
「そ、それは同性でも結婚できる国に行けば…」
「いや、それじゃダメだ。 何より俺は…お前との子供がほしい」
「レン兄…その言葉だけでも妊娠してしまいそうです」
「お前、男を捨てる覚悟はあるか? お前、俺のために女になれるか?」
「僕はレン兄のためなら何だってできます! でも、どうすれば完全な女性になれるんでしょうか…」
「心配すんな、ちゃんと手は考えてある」
「それはどんな?」
「大魔法少女ユメドリームにお願いするんだ。 あの方ならきっと方法を知っているはず!」
「あのユメドリームですか!? なるほど、それなら完璧ですね!」
「さぁ行こう! 俺達の未来のために、ユメドリームを探す旅に出発だ!」
「はい!」

「こうして二人は自分達の愛のためにユメドリームを見つける旅に出ました、と……」
「それは夢っちの妄想じゃないの」
「でもユメドリームは二人の愛なんか知ったこっちゃなくて、二人を奴隷のように…」
「…夢?」
「えへへ…ほら、二人ともさっさと馬になってよ……」
「か、完全にトリップしてるね、夢……」
「うるうる。 レンちゃーん…」
「なかなかいい流れだな。 それじゃ次はナトセがいこうか」
「えっ、私ですか!? でも、そういうのはちょっと…」
「いいのよ、この際何でも。 ほら、ちゃっちゃといってみよー!」
「そ、そうだなぁ」
「全然速く走らないなぁ、この駄馬…」
「ま、まだいっちゃってるよ…」

708:名無しさん@初回限定
07/10/18 23:45:26 68Kc5tza0
 

709:3姉妹+3従者会議(5)
07/10/18 23:46:52 uCev2VPt0
「ナトセさん、いい食べっぷりだったなぁ。 また今度もあげようっと…」
「レン兄、ちょっといいですか?」
「何だよ、ハル。 そんな怖い顔して」
「最近、ナトセさんにべったりじゃないですか? 今日もお肉をあげてたし…」
「そ、そうか? 俺としてはそうは思ってないんだが」
「そうですよ! レン兄、ひょっとして僕のこと、もう飽きたんですか!?」
「な、何言ってるんだよ! そんなわけないだろ!」
「それなら証拠を見せてください」
「わ、わかったよ。 目、閉じてろ」
「こうですか?……んっ!?」
「んんっ…ん……ぷはっ。 どうだ、これでもまだ俺がハルのことを嫌いになったと思うか?」
「い、いえ…ご、強引ですよ、レン兄…」
「悪い悪い。 お詫びに今度の休みの日、どこか一緒に行こうぜ」
「レン兄…疑ったりしてごめんなさい…」
「いいよ。 俺も誤解を持たせるようなマネして悪かったな」

「こ、こんな感じかな」
「アンタ、肉食いたいだけでしょ?」
「なるほどな。 ナトセもなかなかやるじゃないか」
「そうですかぁ? アタシはグッときませんでしたけど」
「るるるるるー。 レンちゃーん…」
「まだちょっと工夫が足りないわね。 全体的にソフトすぎ」
「ほう。 それならベニはどうするんだ?」
「アタシならこうですよ」

710:3姉妹+3従者会議(6)
07/10/18 23:49:42 uCev2VPt0
「ごめんなさい、レン兄…僕はもう、こうするしかないんです……」
「う、動けない! 何をするつもりなんだ!」
「レン兄は僕だけを見ていますか?」
「あ、当たり前だろ!」
「だったらどうして、朱子さんやナトセさんとデレデレしてたんですか?」
「そ、それはだな…」
「美鳩さんはともかく、森羅様にもミューさんにも夢お嬢様にも!
「お、落ち着けって!」」
「僕はね、幸せになりたいんですよ…ようやく幸せを手に入れたと思ったのに!」
「ハル…と、とりあえず縄を解け!」
「レン兄、行きましょう…」
「行くってどこへ?」
「誰もいない、どこか遠いところへ…二人だけで……」
「ま、待て! その薬は何だ!」
「きっと天国でも、僕達は一緒です。 愛さえあれば、神様も手出しできませんよ…」
「やめろー!! やめてくれー!!」

「狂った愛の行く先、そして本当の最後を迎える、と…」
「真・昇鳩拳!!!」
(ドグワシャァァ!!)
「ふんぎゃぁぁぁぁぁ!」
「ほほう、見事な技だな。 ゲージ3本消費といったところか」
「な、なんでアタシだけ……ガクッ」
「みなさんはレンちゃんのことを何とも思わないんですか!? あんまりですー!」
「落ち着け、美鳩。 ただ、いいイジリの対象というだけだ。 本気じゃないさ」
「でも…」
「だったら、美鳩ならどうするんだ。 どうせもうお前で最後なんだから、何かやってみろ」
「そうですね…」

711:3姉妹+3従者会議(7)
07/10/18 23:53:14 uCev2VPt0
「レン兄…いきますから、力を抜いてくださいね」
「ハル……(俺はこれでいいのか…? 俺には、やっぱり…)」
「危ないレンちゃん! 疾風鳩翼脚! 昇鳩裂破! 神鳩拳!」
「ウワアアアアアアー!!(ガクッ)」
「フゥゥゥ…これぞ奥義・九頭鳩裂破ですー。 レンちゃん、大丈夫でしたか?」
「鳩ねぇ…俺…何て言ったらいいか…」
「いいんですよ、レンちゃん。 でも、これは非生産的でよくありませんねー」
「ごめんよ。 もうちょっとで俺、自分を捨てちまうところだった。 鳩ねぇがいなかったら…」
「レンちゃん…もういいんですよ。 ところで、私の胸を見てどう思いますか?」
「すごく…大きいです……」
「私の愛の証、受け取ってくださいますね?」

「そして私達は本当に結ばれる…愛は障害があってそれを乗り越えてこそ、美しく輝くものですー」
「普通だな。 お前にしては」
「それは森羅様だからこそ、そう思うのではないでしょうか?」
「まあな。 我々は血縁者を愛する者同士、これぐらいは普通だろう」
「それに振り回されるほうはいい迷惑だわ…」
「お、ようやく妄想から帰ってきたのかミュー」
「ミューちゃんは迷惑かもしれませんが、レンちゃんは少なくとも違いますよー?」
「はいはい…」
「ところで美鳩、今からミューたんを可愛がろうと思うのだが、お前もどうだ?」
「ちょっと、どうしてこの流れでそうなるのよ!?」
「それも斬新でいいかもしれませんねー。 ミューちゃん、可愛いですからー。
 それに今の私、ちょっとハートブレイクですし…森羅様はそれでもよろしいのですか?」
「美鳩!?」
「たまにはな。 時には従者を慰めてやるのも主として必要だぞ。 さぁ、やろうかミュー…」
「ちょ、まっ…ウアー!」

「…どう思いますか、レン兄」
「一言で言うと…すんげぇ迷惑だな」
「でも僕、レン兄なら…」
「うおぉぉぉーい!! だからその眼差しはやめろー!!」

712:シンイチ
07/10/18 23:57:27 uCev2VPt0
終わったー。
…僕は一体何を考えているんだろう。

書いてるときはテンション高いんですが、こうして投下した後になると…
すっげぇテンション下がるわー。
多分今後もハルネタはやっていくと思います。
ヘタしたらそれ一本?
さすがにそれはヤダなぁ。

713:名無しさん@初回限定
07/10/19 00:09:13 iQfPROWM0
 

714:名無しさん@初回限定
07/10/19 00:13:24 8bDhvOI80
>>712
うん、乙
さすがにテンション下がるかw

715:名無しさん@初回限定
07/10/19 00:13:29 iQfPROWM0
うむ、中くらいJOB!

716:名無しさん@初回限定
07/10/19 00:14:13 tF55vJQ90
なにさまだよw
シンイチ乙。

717:名無しさん@初回限定
07/10/19 00:18:59 SsVYMpJj0
カオスJOB!!!

718:名無しさん@初回限定
07/10/19 01:49:30 7/gG0Gje0
なんだかんだで、つい笑っちまう
さすがシンイチ

719:名無しさん@初回限定
07/10/19 17:37:48 CCv4A8hm0
中くらいジョブ!

720:名無しさん@初回限定
07/10/20 21:44:01 /rfL//b/0


721:名無しさん@初回限定
07/10/21 08:44:02 nFyNFgQh0
つよきすのHP更新してるな

722:名無しさん@初回限定
07/10/22 18:52:43 KYsqxNGO0
>>712
シンイチ乙。
なんとなく分かるよ、その気持ち。
>>721
遅いよ。

723:名無しさん@初回限定
07/10/22 18:58:33 rDi2P7uc0
>>722
おめえのほうが遅いよw(レス的に)

724:名無しさん@初回限定
07/10/22 21:47:37 AVRsyPj60
>>723
お前のツッコミは早漏すぎるよ(スレの勢い的に)

725:名無しさん@初回限定
07/10/23 01:04:42 RDgnE6Hs0
なんだと! 俺は被ってなどいない!

726:名無しさん@初回限定
07/10/23 05:17:03 2tMJuqAJ0
>>725
団長乙

727:名無しさん@初回限定
07/10/23 16:41:44 tjDo++VF0
お前ら少しモチツケ


728:名無しさん@初回限定
07/10/23 17:48:53 GrsDMpXbO
カラスの話でもしようぜ

729:名無しさん@初回限定
07/10/23 22:54:33 wlGbuHf10
カラスはなぜなくの?

730:名無しさん@初回限定
07/10/23 23:29:01 eU8+Ku050
シンイチさんww





731:名無しさん@初回限定
07/10/26 22:21:06 NZ1urBUq0


732:名無しさん@初回限定
07/10/26 23:55:23 cZichWD10
今日もつよきすのHP更新されてるな。

733:名無しさん@初回限定
07/10/27 00:20:15 oCNkAhKX0
>>731が保守してんだからわざわざ無駄レスすんなよ

734:名無しさん@初回限定
07/10/27 11:25:38 p7roIDZ40
つよきす世界にトリップもの誰か書かないかな?
あったらあったでやばいか

735:名無しさん@初回限定
07/10/27 19:29:51 4excWrto0
>>734
イミフ

736:名無しさん@初回限定
07/10/28 01:05:26 U8FoLMx20
つよきすを舞台に異世界召還物ってこと?
だとしたら作者の自己満足にしかならない

737:名無しさん@初回限定
07/10/28 22:56:56 Ew/LguXN0
>>736
どんなモノでも全部作者のオナニーだろ。他人が読んで面白いかどうかはまた別の話だ。

738:名無しさん@初回限定
07/10/29 01:30:50 WFlH+HcZ0
>>737は正しいが、さらに正確に言うと

読み手に配慮したセックスと読み手に配慮しないセックスがあって、
読み手に配慮しないセックスをオナニーと表現した場合(ry

739:名無しさん@初回限定
07/10/29 01:31:52 WFlH+HcZ0
というか、>>736の表現でも理解できない俺っておかしい?

740:名無しさん@初回限定
07/10/29 08:19:40 tqwHWo7p0
ここに居る皆がおかしいから安心なさい

741:名無しさん@初回限定
07/10/29 19:03:22 Zt1wqozz0
たしかどっかにそんなやつ書いてるやついたな

742:名無しさん@初回限定
07/10/30 05:28:36 s5MnNJWr0
つよきすキャラが別世界へ、だったらまだ許容範囲かな?
知らん奴(特に、他エロゲのキャラ)がつよきす世界に来てドタバタってのはうざいかも
・・・難しいな

743:名無しさん@初回限定
07/10/30 22:14:42 tEcDT+g30
憑依系トリップものをみつけた
意外に面白い
URLリンク(www.nicovideo.jp)

744:名無しさん@初回限定
07/10/30 22:57:11 Se9phDRY0
くだらないと思った設定でも読んでみると面白い話もあるし、もちろんその逆もある。
何でもいいからとりあえず思いついたのを書いてみるのが良いと思うのです。

745:名無しさん@初回限定
07/11/02 03:30:43 4amVqV1t0
フカヒレ自虐だから他人が見てもおもしろいが
レオになってマジメな恋愛をする妄想だと厳しいなあ

746:名無しさん@初回限定
07/11/02 20:54:18 QqXG0+gg0
フカヒレ見てるとたまに泣きたくなる(マジで

747:フカヒレ弾劾裁判1
07/11/03 15:16:17 8K0BSCF4O
ここは竜鳴館の地下深く、そこには一般の生徒は決して知りえない闇の生徒会がある。

会長「これより第50回、全童会(全日本童貞生徒会)竜鳴館支部連絡会議を始めるだべ。」
他の席より一段高い位置に座する坊主頭の男が厳かに宣言する。
会場の童志達はの万雷の拍手を持ってこれを迎えた。
獅子男「今回進行を務めさして頂く獅子男です。慣例に習い、童名にて名乗らせて頂きます。」
村田「同じく・・・って、俺本名出てるよっ!!」
獅子「?何を言ってるんだ、童志・村田?」
村田「こんな時だけ合ってるよっ!!」
獅子「何をさっきから言ってんだ?お前は本名が小比類巻で、童名が村田だろ?(小声で)」
村田「本名が村た・・・い、いや、童名が村田です。本名が小比類巻です。」
途中で何かを悟ったのか、村田は発言を止めた。


748:フカヒレ弾劾裁判2
07/11/03 15:22:42 8K0BSCF4O
獅子男「さて、今回は非常に深刻な議題があります。先般我らがつよきすの新作が発表されました。大ヒット作の続編ということもあり、様々な懸念はあります。が、何よりも看過できない重大な疑惑が、今世界中を飛び回っています。」
獅子男の言葉に会場はざわつく。
議長「静粛にするだべ!獅子男童志、続けてくんろ。」
獅子男「はい、その問題とは、我らが童志にして全童会最高評議会に名を連ねる、鮫永新一が全童会を脱退するというのです!!」
童志「「「えええええええっ!!??」」」
童志達は大混乱に陥った。大声で泣き喚く者、ブツブツと壁に囁く者、多くの童志がその衝撃に耐えられずにいたいた。
レッドキング「議長、発言をよろしいか?」
その中で数少ない冷静な男が発言の機会を求めた。大怪我でもしたのか、包帯が痛々しい姿であった。



749:名無しさん@初回限定
07/11/03 15:36:42 naTuhXb50
ゆね

750:フカヒレ弾劾裁判3
07/11/03 16:08:20 8K0BSCF4O
議長「許可するべ。」
レッドキング「鮫永新一・・・童志の妄言という可能性はないのでしょうか?」
その言葉に周囲から感嘆の声が上がる。
獅子男「普段なら誰もがそう考えるでしょう。しかし・・・しかし今回は、噂の出所が本人ではないのですっ!!!」
レッドキング「なっ・・・!?」
あまりの衝撃発言に、レッドキングを含めた議会全体の空気が凍り付いていた。
???「うろたえるなっ!!」
獅子男「あっ、あなたはっ!?」
村田「確かに・・・全童会沖縄支部の・・・。」
議長「そうだべ、今議会のオブザーバーてして参加頂いた皮神さんだ。」
レッドキング「では君がかの有名な・・・。」
皮神「ふっ、沖縄からわざわざ来たというのに、だらしがない連中ばかりだな。」
レッドキング「な、なにぃ!?」
突然の訪問者、そしてその発言に、場に緊張が走る。

751:フカヒレ弾劾裁判4
07/11/03 17:28:39 8K0BSCF4O
皮神「コホン。実は去年、我々の支部にも似たような状況があったんだ。」
レッドキング「・・・。」
皮神「問題となった男は、わずか二年の間に、同級生、義姉1~8、義姉の部下、女教師と次々に喰っちまったんだ。しかもその中には、俺の初恋の人も含まれた。それに比べれば童志の一人、脱会したことなど・・・。」
獅子男「意義ありっ!!!」
皮神「なっ!?」
獅子男「議長っ!!この皮被り氏はフカヒレのことを何も分かっちゃいないっ!!!」
村田「そうだっ!童貞じゃないフカヒレなんて、具の無いカレーや多弁な西崎みたいなもんだっ!!」
議長「童志・皮被り君、君はもう一度『つよきす』をオープニングからやり直したまえ。」
皮被「むぅ・・・、そこまで言われるフカヒレなる人物とは一体?」
レッドキング「議長!ここはフカヒレに対する弾劾裁判を提起しますっ!!」
議長「それでは皆の意見は・・・聞くまでもないべ。よし、これよりフカヒレ弾劾裁判を開始するっ!!!」
一堂「「パチパチパチパチパチパチパチパチパチ・・・」」


752:フカヒレ弾劾裁判5
07/11/03 17:39:02 8K0BSCF4O

------------
書記「かくして議会は弾劾裁判の開催を決め、閉会した。個人的な意見だがあの鮫永新一が簡単に童貞を捨てるなど想像もできないことだ。奴にはワシと同じ魔法使いの才能があるからだ・・・。」
そこまで書いて書記の髭面の男は筆を置いた。
真実が明らかになるのは、そう遠くない未来であることを感じながら・・・。

753:名無しさん@初回限定
07/11/03 18:37:27 SlCVOnhY0
君は何度言ったら改行を覚えるのだ

754:名無しさん@初回限定
07/11/03 20:55:51 cNWIYKSw0
ケータイでも改行ってあるよね。

755:名無しさん@初回限定
07/11/03 23:51:26 d0/64vyS0
携帯厨にムリな注文をするなって。
普通の携帯使いには余裕でできることも、携帯厨には不可能なんだから。

756:名無しさん@初回限定
07/11/04 00:38:52 ptYJQHqc0
まあそういじめるな
次回から気をつけるさ

>>752

757:名無しさん@初回限定
07/11/04 01:54:20 QXwxHern0
普通ジョブですらないのなww

758:名無しさん@初回限定
07/11/04 13:50:59 9zHdUCAD0
でも、携帯でアレだけ文字を打てるのも凄いよね。
俺なら途中で腕が痛くなっちゃう。

759:名無しさん@初回限定
07/11/04 17:23:38 /VwO8Ua30
>>758
褒められるのはそこだけかいw

760:名無しさん@初回限定
07/11/04 17:57:56 MKs4UZlc0
もしかしたら、コツコツと書き溜めたものかも知れないぜ?
普通なら途中で消去したくなるものを、最後まで書き上げたのはたいしたもんだ。
>>752J。
なごみんナンバーを取らなかった謙虚さもJ。

761:名無しさん@初回限定
07/11/07 12:23:04 fQhdTYSH0


762:名無しさん@初回限定
07/11/07 12:33:37 vOnBgc5N0
AAスレ覗いてみたがSSばっかじゃねーか

763:名無しさん@初回限定
07/11/07 12:43:30 apZ5Jz2f0
>>762
ここは行数制限が厳しくてAAには向いてないんですよ

764:名無しさん@初回限定
07/11/07 12:59:41 vOnBgc5N0
>>763
なるほど


765:名無しさん@初回限定
07/11/07 13:06:13 apZ5Jz2f0
>>764
AAお探しなら>>1の保管庫にたくさんありますよー

766:名無しさん@初回限定
07/11/07 13:16:22 vOnBgc5N0
>>765
ご親切にどうも
メーカースレ荒れてるんで癒されてくるw

767:名無しさん@初回限定
07/11/07 13:23:56 +KXUxz/E0
なんか変な人が仕切り始めてるからな
そのうち飽きていなくなるでしょ

768:名無しさん@初回限定
07/11/09 01:21:41 YekDgjOO0
ネタは面白い。
でも裁判ネタは動きと時間の経過がないときびしいのでは。
あえてしゃべらないという選択肢もあったと思う。
面食いの秋山さんがいればおもしろかったのに。

769:名無しさん@初回限定
07/11/09 09:53:45 AxpinCUU0
参考ページ!
URLリンク(ap.a-power.biz)

770:名無しさん@初回限定
07/11/10 02:03:20 uMsXvayW0
メンクイの秋山さんってのはわからんがハンサム大野は必須だろ

771:名無しさん@初回限定
07/11/12 07:59:56 0/oh8qyi0
 

772:名無しさん@初回限定
07/11/14 18:29:27 oryjeSQ70
 

773:名無しさん@初回限定
07/11/16 04:13:14 nsgxfIn20
 

774:名無しさん@初回限定
07/11/16 17:53:41 XtPhf0F80
書き込みすくねえ

775:名無しさん@初回限定
07/11/16 19:25:12 XiUH8nRd0
YOUが書いちゃいなYO

776:名無しさん@初回限定
07/11/18 21:25:55 B7zjQIuX0
職人死んだ?

777:名無しさん@初回限定
07/11/18 23:43:34 MJjxv5/90
なぜころした

778:名無しさん@初回限定
07/11/18 23:58:25 ngFj/1eu0
坊やだからさ

779:名無しさん@初回限定
07/11/19 07:49:07 pQW4PAg10
ハルヒのSSに回ったとか

780:名無しさん@初回限定
07/11/19 19:52:06 wVbhdz3O0
本当に書き込みが少ない

781:名無しさん@初回限定
07/11/20 11:49:56 iMZqpbKO0
 

782:名無しさん@初回限定
07/11/21 20:54:59 eRx073yl0
 

783:名無しさん@初回限定
07/11/23 13:12:30 eQss68oG0
 

784:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編①
07/11/23 16:55:21 /U8KQl/s0
「もう恋人ではいられません」
夢お嬢様と向かい合って、まずはそう告げた。
曖昧な態度を取り続けてきた事を詫び、自分は揚羽を愛してしまったと続ける。
さすがに関係を持った事だけは極力遠まわしな言い方をしたが。
「うん…何となくそうなんじゃないかなって思ってたよ。夢って意外と勘が鋭いんだからね」
「許して貰おうなんて思ってません。何発ぶっても結構です」
「そんな事しないよー。責めたり、専属から外したりもしないから。
だって、きっぱりフラれる方がレン君が名前と名字を分け合う二人に分裂して
その片割れがあてがわれたりするより断然いいもん。
色々経験しようとして始めた恋だし、失恋するのもいい経験。
ドロドロの愛想劇で鉈を振るうような狂気キャラが定着するのも嫌だしね、えへへ」
そういって笑う。
ぎこちなく、とても悲しそうに。
やがて、ゆっくりと歩み寄ってきてしがみついてくる。
「夢はね、キューピッドじゃないんだよ…」
顔は胸に押しつけられて表情は見えない。
だが、小刻みに震える夢お嬢様は明らかに泣いている。
「レン君を好きになったのは…揚羽ちゃんと引き合わせる為なんかじゃないのに……」
「……」
「でも……もうどうしようもないなら…せめて…今だけ…このままでいさせてくれる? レン君……」
それでも。残酷極まりないけど。
「…………すいません…お嬢様…」
夢お嬢様の肩に手をかけ、そっと引き剥がす。
「それさえ、もうできません」
心が痛い。
この痛みを失くす方法は簡単だ。
改めて抱き寄せて、抱きしめればいい。
しかし、それは無理だ。
傲慢だなんてわかってるが、他人を気遣って本当の気持ちに嘘をつけるほど俺は人間ができていない。
だから、決して慰めない。お嬢様を傷つけた事実から逃げない為にも。
「そうだよね…ごめんね……短かったけど、今まで幸せをありがとう…レン君……」
この瞬間、俺と夢お嬢様の恋人ごっこは終わった。

785:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編②
07/11/23 16:58:12 /U8KQl/s0
校門の前で待つこと数十分。
既に下校時間になり、何人もの生徒がゾロゾロと校舎から出てきている。
学校まで来ている理由は二つ、当然ながら最優先目的は夢お嬢様のお迎えだ。
入院したらしいハンサム野郎の傷がそろそろ治ってもおかしくないので、リベンジに備える護衛として。
まぁ、あれだけ派手にやられたんじゃ可能性は極めて低いが、それでも用心するに越した事はないだろう。
本当はナトセさんにやって貰おうと思ったけど、手の離せない用事で無理だった。
昨晩の別れもあって正直気が引ける。しかし、プライベートで何があろうと仕事は仕事と割り切るしかない。
それに、小十郎にも用があった。
揚羽から既に伝えられてるとしても、ケジメとして俺の口から直接揚羽との事を告げなきゃならない。
しかし、学校に到着しても、いつも必ずといっていいほど待機している小十郎はいなかった。
「よ、上杉の。夢なら、もうすぐ来るぞ」
帰宅する生徒に混ざって出てきた稲村が声をかけてくる。
「なあ、小十郎知らねぇ? もう揚羽と帰っちまったのか?
 結構前から待ってたんだが、こっちの門からは出てこなかったぞ?」
「いや。その、なんつーか…ペケデコの奴、休学したらしいぜ」
「――何だと!? どういう事だ!? 揚羽が!? 理由はなんだ!?」
「おい、落ち着けって! 俺だって詳しい事ぁわかんねーんだよ」
顔をしかめる稲村の声で、思わず肩を掴んでいた手を離す。
「……悪りぃ」
聞くところによると、どうやら担任の教師がそう言っていたらしい。
休学について様々な理由が頭を駆け巡るが、どれもこれも納得できなかった。
「第一、昨日の今日だぞ……」
「上杉。お前…?」
「レン君!」
振り向くと、そこにいたのは夢お嬢様。
「行ってあげて」
無言で頷き、全速力で駆け出した。

「いいのか? 夢よぉ。お前らに何があったのか、俺だって大体わかっちまったぜ。あいつ、呼び捨てにしてたし」
「フラれた男の子の恋を後押し……健気キャラだよ、えへへ」
それが本心で無いとわかっているからか、圭子は夢の背中をばしっと叩いた。
「よーし、今日は俺のおごりで飲むぞ。酒以外をな。とことん付き合ってやる。ミィも呼ぼうぜ」

786:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編③
07/11/23 17:02:20 /U8KQl/s0
九鬼邸に到着するなり、真っ先にインターホンを押した。
『はい』
「すいません、九鬼揚羽さんにお会いしたいんですが」
『揚羽様は誰ともお会いになられません』
「じゃ、じゃあ、小十郎を…」
『同様です。お帰り下さい』
それっきり、返事が返ってくる事は無かった。
「これって門前払いじゃねぇか。どういう事だ…?」
仕事もあるし、結局この日は帰るしかなかった。
そして、俺から報告を受けたお嬢様が電話しても対応は殆ど同じだった(態度はかなり軟化してたらしい)。
何かがおかしい……尚更諦めらんねぇ。

翌日。
「くそっ、離せ! 揚羽か小十郎と話させて欲しいだけなんだ!!」
休憩時間に再び九鬼邸に行くと、待ち構えていた守衛達が有無を言わさず俺を羽交い絞めにしてきた。
ズルズルと引きずって屋敷から遠ざけようとしてくる。
「じゃあ、アンタ達でいい! 揚羽に何があったかだけ教えてくれ!!」
「貴様のせい、とだけ言っておこう」
俺を取り押さえている男の一人が、忌々しげに睨みつけながら呟いた。
「どういう事だ、おい!?」
「話は以上。去ね」
それっきり無言を貫く連中に対して、俺は暴れるように抵抗するしかない。
「おやめ」
いきなり俺も守衛達も、誰もが声の方向を向く。
その先には、杖をついている婆さんがいた。
「ご隠居様!」
途端に、全員俺から手を放して地面に跪く。
『ご隠居』というフレーズとイメージから察するに、つまりこの人は揚羽のばあちゃんか?
そう考えると、確かにどことなく似てるような気がする。
「上杉さん…ですね?」
「え…はい」
「少し、お話しましょうか」

787:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編④
07/11/23 17:08:19 /U8KQl/s0
渋い顔をする守衛達を置き去りにして、近場の公園までおばあさんと赴く。
俺と二人きりにするのをよしとしない忠誠心厚い奴は最後までついてくると言い張ったが、
結局おばあさんには逆らわなかった。
5分ほど歩いた所にある昼下がりの公園は学校帰りの小学生が遊んでいたが、
話を遮るほど邪魔にはならない。
「ここでいいですか?」
「ええ、結構です」
揃ってベンチに腰掛けるなり、急かすようだが本題を切り出した。
「揚羽のおばあさん…ですよね?」
「はい」
揚羽のおばあさん、しかもさっきの連中の態度からかなりの権力者とみて間違いない。
それなら今、揚羽がどうしているのか知らない筈はないだろう。
「初対面なのに、いきなりすいません。揚羽に何があったか、話してくれませんか?
 あ、その前にちゃんと自己紹介しますが…俺は上杉錬と言います」
「ええ、お名前は揚羽から度々伺っておりました。
 あなたが選んだというお花も、大変良い色をしておりましたよ」
「アレですか…お気に召して頂けたなら何よりです。でも、それならご存じでしょう?
 揚羽……さんとは交際してます。つきあい始めたその日を境に会えてませんけど」
最後の部分にもどかしい現状に対する皮肉を込めると、俺は出来る限りの状況説明を始めた。
「昨日、知り合いから突然休学したって聞いたんです。後日また会うと約束はしましたが、
 そんな事は本人からは全く聞いてませんでした。いてもたってもいられなくて会いに来たら、
 見事に門前払い喰らいましたよ。今日も似たようなもんです。それに、さっき言われました。
 『俺のせい』だって。どんな意味かはさっぱり……だからこそ知りたいんです。
 教えて下さい、あいつに何があったのか。一応、あのお屋敷にはいるんでしょう?」
俺の問いに、おばあさんは辛そうに下を向く。
「…たしかに、揚羽は屋敷におります。ですが……もう、あなたには…会えないでしょう…」
「どういう事です!?」
それから、しばらくおばあさんは無言だった。
やがて、瞳を伏せたまま言葉を絞り出す。
心が締めつけられてるような重苦しい呟きを。
聞いた俺の心も愕然とさせる真実を。
「あの子は今……座敷牢におります…」

788:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑤
07/11/23 17:12:23 /U8KQl/s0
帰宅早々、祖母の部屋にいた揚羽は大広間に呼び出されるなり異様な雰囲気を感じた。
特別な行事でもないのに親族一同を始めとした九鬼グループの重鎮一同がほぼ勢揃いしていたのだから。
加えて、俯いたまま震える小十郎と狼狽する祖母の姿はただ事でないと推測するに充分すぎる判断材料だ。
「して、何用だ?」
「文字通り、身に覚えが無いとは言わせんぞ!!」
怒号と共に手前に放り投げられたのは、一目で隠し撮りとわかる写真の山々。
あの映画館や花畑を背景に、全て自分と練が映っている。
別荘における赤裸々な写真が無かったのは、せめてもの心遣いか。
「なるほど、悪趣味であるな…しかし、いつぞや映画館で感じた気の一つは合点がいった」
冷静なようだが、内心は神聖な思い出を汚された気分で烈火の如く煮えたぎっていただろう。
「お館様と奥方様の留守中に、しでかしてくれたのう。やってくれたのう」
「格式のある家の者ならいざ知らず、平民…それも、口が裂けても上等とは言えん家柄ではな」
「小十郎! 貴様がついていながら何をしておったのだ!!」
「この役立たずめ!」
「申し訳……ございません…」
ひたすら畳に頭を擦り続け、力無く声を絞り出す小十郎。
「面を上げろ、小十郎。お前がそのような事をする必要は無い。
 そもそも、我は咎められるような真似などしておらぬ」
「どこぞの馬の骨と情を通じたのだぞ!」
「馬の骨ではない。当然ながら調べておろう? その者の名は上杉錬だ」
毅然とした態度に、誰かが心苦しそうに口を開く。
「たしかに、落ち度はその者と最初に逢瀬した時点で警告しなかった我らにある。
 だが、今回の事が世に知れ渡れば九鬼の失墜を目論む者共に恰好の餌を与えるだろう」
「特に霧夜。あの成金共はどれほど卑劣な手を用いてくるか」
「まだ間に合う、上杉とか申す輩とは一切の縁を切れ」
「断る!!」
迷いの無い、高らかな返答。
「……ならば、我らも相応の対応を取らせて頂くより他はない」
「お主の事だ。男の方に手を回そうとすれば、九鬼を捨ててでも我らに牙を剥くのは必至」
「然るに決議を行った。結果、上杉とやらは捨て置くとして、お前自身に心変わりを誘発する」
一斉に沈黙し、やがて誰かが重々しく告げた。
「ご息女を座敷牢へ案内しろ」

789:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑥
07/11/23 17:16:32 /U8KQl/s0
呆然とする小十郎を余所に、揚羽は冷然と宣告を聞いていた。
「考えを改めるまで存分に頭を冷やすがいい」
「案ずるな、学校の方の手続きはこちらで済ませておく」
「……許せとは言わん、全ては九鬼グループの為だからな。それでも、すまん」
「凡下と契ったお主の不徳の致す所だ。反省せい」
一同各々の反応にも沈黙を貫く揚羽。
堪りかねた祖母が言葉を発しようとした瞬間にも、先手を打たれる。
「ご隠居様といえども口出しは控えて頂きます」
「これはご息女のみならず、ひいては九鬼全体に関わる問題ゆえ」
その際、祖母に向けられた一同の視線は誰一人として話を聞き入れない事を証明していた。
いくらそれなりの発言力を保持しているとはいえ、こうなるとどうにもできない。
「祖母様」
意にそぐわぬ命令に苦渋の表情を浮かべる数人の女中に囲まれながら、去り際に祖母を振り向き。
「あの地の花、お部屋に活けておきました。我や祖母様、そしてレンの好きな色の花々を。どうぞ御覧あれ」
微笑んだまま、彼女の姿は大広間から消えた。

「そんな事に…」
前に軽い気持ちで『今の時代は身分とか関係ないだろ』と小十郎に言った事がある。
本当のお偉いさんの事情は知らなかったからあんな事が言えたんだろう。
ここまで深い問題に発展するなんて考えもしてなかった。
俺自身が渦中に入って、ようやく実感するなんて…。
「おとなしく捕まってるのは、らしくないようで揚羽らしいと思いますけど……だけど!」
贔屓目なしに脱獄なんてチョロいだろうに、それをしないのはきっとおばあさんを気遣ってるからに違いない。
もしあいつが抜け出したりすれば、真っ先に矛先は残されたおばあさんに向くだろうから。
俺の考えを見抜いたみたいに、おばあさんが応える。
「不甲斐ない私などどうなろうと良いのに…あの子は優しい子なんです」
「生意気でしょうが、あなたと同じくらいわかってるつもりです。
 それで、揚羽は屋敷のどこに………いや、やっぱ聞かないでおきます」
眉をひそめるおばあさんに、うっすらと笑う。
「おばあさんに迷惑かけられませんから。揚羽の配慮に水を差したくないんで」
そう、火の粉が降りかかるのは俺だけでいい。
それは決意を燃やす熱い炎になるから――。

790:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑦
07/11/23 17:20:42 /U8KQl/s0
「揚羽様、今お助けします!」
木製の格子の向こうにいる主を救うべく、小十郎は手を牢の出入り口へ伸ばす。
何やら表で騒動があったらしく、注意がそっちに引きつけられたからこそ潜入が可能だった。
「よい、小十郎。これしきの牢獄、出るのは容易いが…そうすれば、祖母様にご迷惑をかける」
「しかし! お館様がお戻りになられるまで身を隠せば…」
「我は逃げも隠れもできんタチだ。それに、父上が戻ってきた所でさして状況は好転しないだろう」
基本的に九鬼グループの人間は忠義に厚く、クーデターなど企てるような者たちではない。
それでも、今回の件に関しては一致団結して当主の鶴の一声すら押さえ込む気だ。
九鬼そのものを揺るがす事態に発展しかねないだけに当然の反応だとも言える。
「揚羽様…っ」
「お前は戻れ。そして、もう来るな。不問に付した意味がなかろう」
「揚羽様!」
「ゆけ! 我の命ぞ!!」
大粒の涙を流しながら走り去っていく小十郎の後ろ姿を見つめた後、フッと笑う。
「考えを改めねば出れぬ…か。ならば、一生出れんな」
幽閉された事は一切悔やんでいない。
もっと過酷な修行を積んできたのだから、これから始まる不自由な生活もたいした事ではないだろう。
唯一、外界に未練があるとすれば錬にもう会えない事だけだ。
そして、それは何よりも辛かった。

九鬼邸までおばあさんを送り届けると、守衛達にジロジロと恨み節全開の眼差しで睨まれた。
揚羽が幽閉された原因は俺のせいでもあるから仕方ないと言えば仕方ないが。
「事情は知ったな? 今度こそ失せろ」
おばあさんに一礼した途端、守衛の一人が言ってくる。
「ああ、帰るぜ。今すぐな…やり残す事さえ済ましたら」
守衛の何人かに付き添われながらおばあさんが屋敷に入ったのを確認し、大きく息を吸う。
そして――。
「揚羽ああああああああああああああああああああああああっ!!」
喉が枯れそうなくらい、それどころか未だかつて出した事が無いほど大声で叫ぶ。
慌てて俺を取り押さえる連中なんかお構いなしに。
「三日だけ待ってろ! 必ず…絶対に…何があっても…助け出す!!」
この声が届くように願いながら――俺の心を支配する『主』への誓いを吼え続ける。

791:名無しさん@初回限定
07/11/23 17:22:50 QkIRa0kzO
しぇーん

792:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑧
07/11/23 17:25:15 /U8KQl/s0
座敷牢という一定の空間内で行える修行は限られている。
軽いスクワットや腕立て、そして精神統一を目的とする瞑想などだ。
この時も、揚羽は瞼を閉じて孤独な暗闇に意識を投じていた――つもりだった。
しかし、そうはならなかった。
容姿は月並みで教養もない。
血気盛んで無鉄砲。
自分よりはるかに弱い未熟者。
けれど、不器用に温かく笑いかけてくる。
幸せをくれる。
いつしか心に染み入っていた、かけがえのない相手――。
その姿が延々と脳裏に浮かび続ける。
普段の揚羽なら易々と無我の境地に到達できただろう。
なのに、どうしてそうなったのか――声が聞こえたからに他ならない。
「レン…」
虚空に手を伸ばし、そっと握る。
別れ際に重ねた彼の手の温もりを確かめるように……。

夜の久遠寺邸で、いつにも増して緊迫しながら大佐と向かい合う。
「くれぐれも本気で頼むぜ」
「そう頼まなくても、今の私はスペシャルに気が立っている。夢お嬢様とお前の件でな。
 私が首を挟む事ではないし、お前を恨むのも筋違い……それでも腹に据えかねる」
「逆にありがたいよ。手加減無用じゃなきゃ、意味がねぇんだ」
本気の大佐とやり合おうなんて無茶なのは承知の上だ。
それでも、三日間という短期間で可能な限り俺自身を磨くにはそうするしか手がなかった。
本当ならもっと時間をかけて特訓し、徐々に力を付けていくべきだろう。
いきなり強くなろうとしても無理があるなんてわかっちゃいる。
だが、俺はこれ以上揚羽を籠の中に閉じこめたくない。
「生半可な覚悟はしてねぇんだ。行くぜ、大佐!」
「では…命を捨ててかかってこい、小僧!」
死闘の中に修行がある。
何度倒れたって、立ち上がって力をつけてみせるさ。
だから、あと少しだけ辛抱しててくれ。

793:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑨
07/11/23 17:29:18 /U8KQl/s0
三日後。
ハルのお墨付きが得られるくらい部屋を丁寧に清掃し、
ようやく着慣れてきた執事服をできる限り綺麗に畳んでベッドに置く。
「色々あったな…」
久遠寺に来てから始まった、騒々しくも賑やかで楽しい『本物の人生』を思い出しながら。
名残惜しく、執事服にそっと手紙――辞表を添える。
今から俺のする事は久遠寺には何の関係も無い。

窓から抜け出す練の後姿はしっかりと目撃されていた。
その視線の持ち主――美鳩は、窓の向こうの練へ手を伸ばす。
すると、夜の大気で冷却されたガラスのひんやりとした感触が手に広がる。
伸ばしても伸ばしても届かない、絶望的なまでに遠い数メートル。
これが巣立っていく弟との距離なのか。
自分の全てが遠ざかっていく事がわかっていたのに、ただ見送ることしかできなかった。
いや、何か一つくらいできる筈だと信じたかった。

月下の九鬼邸は厳重な警備体制が敷かれていた。
襲撃とも取れる予告があったのだから、ある意味当然である。
しかし、一向に練は現れなかった。
普通ならそれに越したことはないのだが、九鬼で働く人間たちは武闘派揃い。
血沸き肉踊る戦いを望む者ばかりであった。
だから、本当の所は残念がっていたのかもしれない。
「あの者、臆したか」
正門前の橋を警備している男がつまらなそうに漏らす。
「いいや、全然」
気配と声を感じた男は、日頃の鍛錬の成果か条件反射で後方に向かって拳を放つ。
「ぶおっ!」
吹っ飛んだのは男の方だった。
堀に転落し、激しい水しぶきがあがる。
その音に反応し、瞬時に他の守衛も駆けつけてきた。
一斉に集結した彼らが揃って楽しげに笑みを浮かべたのは、待ち望んでいた敵の到来ゆえに。
「前もって言っといたのに。最初から総動員しとけよ……俺をナメんな」

794:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑩
07/11/23 17:33:14 /U8KQl/s0
雄叫びをあげながら、敵陣のド真ん中へ一直線に暴れ込む。
この前の遠足のおかげで体力はついてる。最初から全開でも息切れはしない。
「玉砕覚悟か、貴様!」
「そんな覚悟はしてねぇ!」
加えてこの三日間、大佐に何度も何度も挑んだ。
それこそ、本当に死に物狂いで。
失神しまくった甲斐はあったと見ていいだろう。
少なくても、ハンサム野郎の時みたいなヘマは犯さねぇ。
俺自身の力量はそんな単純に上がっちゃいないが、目は肥えてる。
「大佐に比べりゃ、遅いし弱い!!」
繰り出される攻撃の山々に対処し、次々に蹴散らしていく。
勿論、向こうだってプロフェッショナルだし、手痛い反撃を喰らう事も少なくない。
それでも、さすがは武人の一族。部下の教育が行き届いてるぜ。
武士道に乗っ取って一対一を基本とし、武器も無しなのがありがたい。
少しでも蓄積するダメージは軽くしたいからな。
だからといって、手っ取り早く終わらせる為に急所を攻めたりはしねぇ。
たしかに実戦なら四の五の言ってられないから、どこ攻撃しようと自由だし、やられた方が甘い。
この街へ着たばかりの頃は俺も大佐との闘いで股間を狙ったっけ。
だが、今は違う。
いつだって正々堂々としてる揚羽に顔向けできないような真似してたまるか!!
「人の恋路を邪魔する奴は、馬に…いや、馬はいないけどな。とにかく、邪魔すんな!」

不届き者が無謀にも乗り込んできたと報告を受けてから、祖母は和室で次なる報告を待ち詫びた。
使用人たちが大騒ぎしている様子からすると、あの少年は相当奮戦しているらしい。
胸の中で口には出せない安堵が渦を巻く。
「ご隠居様、宜しいでしょうか?」
ふと障子戸の裏から声がし、入室を許すと青年が入ってくる。
「これを…この騒動が収まるまでに私が引き取りに来なければ、お読み下さい」
跪き、硬い表情で封筒を手渡すと、彼は『失礼します』と言って部屋を後にする。
直後、何の文字も書かれていない真っ白な封筒に見入っていると、女中が慌てて駆け込んできた。
普段なら絶対に行うであろう部屋に入る際に許可を得る事さえ失念するほど、困惑した様子で。
「ご、ご隠居様、このような状況ですがお電話です! 責任者を出してくれと…それが、その……相手が…」

795:名無しさん@初回限定
07/11/23 17:37:01 QkIRa0kzO
しぇーん

796:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑪
07/11/23 17:37:27 /U8KQl/s0
交戦しながら門を突破し、屋敷の中になだれ込む。
「であえ! であえ!」
「こやつを討ち取れ!!」
揚羽と見た映画さながらの号令で、屋内に待機していた守衛や使用人がぞろぞろと現れて向かってくる。
片っ端から叩きのめしていき、大広間に場を移す頃には傷だらけだった。
一人一人が強い上に数も圧倒的に多ければ当然だろう。
何より、女中達まで参戦してきたおかげで想定以上のダメージを喰らっちまった。
女には攻撃しない。
好き放題にやられても、無抵抗の一点張りを貫く。
それを差し引いても、男性陣と遜色ないくらい強かった。
結局、振り払うように全力で前進するしかなかった。
鳩ねぇの教えという以上に、もうこれは俺の生き方だから。
そのせいで不利になったとしても、生き方を曲げるなんてできねぇ。
もっとも、それを見抜いたのか途中から女中達はかかってこなかった。
侵入者はあくまで正々堂々と返り討ちにする気らしい。
ここの連中も、結構味なトコあるじゃねぇか。
その心意気に感謝し、男衆相手に存分に暴れさせて貰おう。
「揚羽はどこにいる?」
ある程度片づけた後、適当な男の胸ぐらを掴み上げる。
「お上がお取り決めになられた事だ…答えんぞ」
「いい忠誠心だな。元執事として感心するぜ」
こいつの口を割らせるのは無理だ。
そう確信して手を離すと、あっけなく倒れた。
「じゃあ、アンタらも望み薄か?」
身構えている守衛達に視線を戻し、立ち上がって歩み寄る。
「ま、それならそれでいいけどな。手当たり次第に部屋を調べてくだけだ」
「知りたいなら、俺から聞き出せ」
後ろからの声に引かれるように振り返った。
そこにいたのは――。
「小十郎!?」
いつもの執事服じゃなく、珍しい私服姿で静かに俺を見据えていた。
果てしなく力強い眼差しで。

797:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑫
07/11/23 17:41:18 /U8KQl/s0
「お前、今まで何やってたんだ?」
わずかに注意が逸れた瞬間、守衛の一人が飛びかかろうとしてくる。
「ち――っ!」
「待て!!」
奴の動きを止めたのは、俺の拳じゃなくて小十郎の声だった。
「手出しは無用! この男は俺が倒す!!」
「小十郎、お前…」
よくあるパターンは洗脳されてるとかだが、そりゃないな。
こいつはそんなヤワな精神はしてねぇ。
敵に回ったフリして助けようとしてくれてるなんて事もないだろう。
挑んでくる以上は一切の妥協が無い本気だ。
「…俺は全員ぶちのめしても揚羽を助ける。お前はそんな俺を止めるんだな? そう決めたんだな?」
「その通り」
「だったら、俺も…お前を倒して進む。恨みっこなしだぜ?」
「恨む事など何もない。お互い、選んだ道が違っただけだ。そして、それがぶつかるだけの事」
「そうだな」
「既にお前は手負いの身。完全に対等とはいかないが…いいな?」
「こんくらい、別に関係ねぇよ。どんなにダメージ喰らってても、真剣勝負の言い訳になりゃしねぇ。
 それに、揚羽だったら傷だらけになっても勝利を掴むまで戦い続ける。だったら、俺もだ」
「それでこそ倒すに値する」
一定の距離まで歩み寄り、そこから臨戦態勢を構える。
迷いなんて無い。
敵対してくる理由なんて考えるだけ無駄だ。
だったら、その分の集中力を闘いに使う。
どんなに感動的な思惑があったとしても、立ちはだかってくるなら闘うのみ。
それが俺なりの覚悟と決意、小十郎に対する最大限の敬意。
「いくぜ……」
「いくぞ……」
拳を強く握りしめ、互いに構える。
それが合図になった。
「小十郎おおおおおおおおおおっ!!」
「レェェェェェェェェェェェェン!!」

798:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑬
07/11/23 17:45:11 /U8KQl/s0
空気を突き破る重い一撃が交錯する。
俺の拳は小十郎の顔面に、小十郎の拳は俺の顔面に、それぞれ炸裂した。
オープニングヒットは完全なる引き分け。
「「くっ!」」
同時に後ろへ飛び、一気に距離を開く。
そして、再び打ち合うべくダッシュした。
「タイガーバルカン!!」
残像が残るほどの速度で繰り出された無数のパンチが俺の全身に打ちつけられる。
「そら、そら、そら、そら、そりゃあっ!!」
普通ならこういう乱打は軽めの手打ちになるのに、一発一発に見事に腰が入ってるとはさすがだ。
それでも、退きはしねぇぞ。
いくらでも打ってこい。
あくまでも前に出てやる。
至近距離まで正面突破あるのみだ!
「うおおおおおっ!!」
喰らいながら突き進み、強引に喉元へ詰め寄り、下から右のアッパーを思いきり突き上げる。
顔面すれすれで小十郎はよけやがった。
しかし、身体が伸びきり、連打も止んだ所で――肝臓めがけて左拳をねじ込む。
「ぐはあっ」
「どうだ!!」
鍛え抜かれた腹筋は固く、まるで岩を殴ったような感触だった。
正直、俺もメチャクチャ痛ぇ。
だが、こいつに勝利できれば拳が潰れようと一向に構わない。
そんなのを怯えてたら、揚羽のもとへは辿り着けないんだよ!!
隙が生まれると判断したのか、小十郎が離れる。
それを待っていた。
振りかぶるようにして腕ごと右拳を顔面に叩きつける。
弾かれ、後ずさりする小十郎。
少しだろうと体勢を立て直す時間は与えねぇ。
間を置かず飛び上がり、顎と腹めがけて二連蹴りを放つ。
両方とも命中し吹っ飛んだものの、手応えは案外薄い。
ヒットの瞬間、的をずらされたか。

799:名無しさん@初回限定
07/11/23 17:48:16 QkIRa0kzO
じぇーん

800:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑭
07/11/23 17:49:09 /U8KQl/s0
わずかな滞空時間を終え着地した瞬間、一直線に飛び込んできた小十郎の拳が鳩尾に穿たれた。
「がはっ!」
否応なしに呼吸が止まる。
意志に逆らって身体が動かなくなる。
マズい! ヤバい!
「ガラ空きだ!」
連打が次々に叩き込まれ、顔が右に左に弾かれる。
顔面だけに執着せず、無防備になった他の急所狙いも織り交ぜる事を忘れていない。
これ以上もらい続けるのは駄目だ、何としてでも防ぐか反撃しねぇと。
動け、動け!!
言う事を聞かない全身を叱咤する。
指先がかすかに動いた。
ようやくかよ、遅いぜ。
即座に、重く感じる腕を上げて顔を防御する。
その瞬間、腹部へ強烈な蹴りが突き刺さった。
「げ…はあ…っ」
口から血を吐いたまま吹っ飛ばされる。
無様に何度も畳の上を横転し、身体は止まった。
呻きながら手をついて身体を起こすが、深呼吸してる暇は無い。
もう小十郎は突進してきている。
軋む身体を一気に立ち上げる。
それでも、小十郎が到着する方が早かった。
対抗策を講じる間もなく、強打を浴びせられる。
脳天が横に揺らされ、足下がふらつく。
だが、せっかく立ち上がったんだ。また倒れてたまるか。
よろめきそうになるのを踏ん張り、そのまま反動をつけて打ち返す。
豪快に命中し、小十郎は大きく崩れ落ちた。
しかし――。
「ブロウクンソニック!!」
間一髪でそれをかいくぐるが、わずかにかすっただけで右頬が小さく切れて血が飛び散った。
そんな体勢からこれだけのパンチを繰り出すのかよ。
「つくづく…見上げるぜ!!」

801:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑮
07/11/23 17:52:59 /U8KQl/s0
まだ小十郎は不安定な体勢である事に変わりない。
その事実を逆手にとって、殴って間合いを取り、ミドルの蹴りを放つ。
しかし、小十郎は身体を回転させながら直撃をかわして逆にハイキックを繰りだしてきた。
後ろに下がって威力を殺そうとしたが、それよりも先に身体が地面に叩きつけられる。
「……っ!!」
間髪入れず、かかと落としが振り下ろされる。
もう横に転がって避ける時間すらない。
俺は仰向け状態のまま咄嗟に足払いをかけた。
片足の軸だけで立っていた小十郎は、あっけなく体勢を崩して背中から落ちる。
同時に跳ね起き、落下途中の小十郎めがけて殴りかかる。
だが、転倒してる最中も闘志は消えちゃいなかった。
後方宙返りを利用して鋭い縦一閃の蹴りが放たれる。
予測できなかった反撃はモロに直撃した。
「ぐああああああっ!!」
空気を切り裂き、大きな放物線を描きながら吹っ飛ばされた。
何度もバウンドしながらまたしても畳を転がりつつ、無我夢中で起き上がる
敵として闘っている以上、わざわざ立ち上がるのを小十郎が親切に待っててくれる筈がない。
小十郎は既に助走をつけて跳躍していた。
「はああああっ!!」
飛び蹴り――違う、ただの蹴りじゃない。
連続蹴りだ。
腕を上げて頭のガードを固めた瞬間に凄まじいキックが叩き込まれていく。
小十郎の身体が着地するまでブロックし続けるしかない。
しかし、どれも的確に急所を突いてくるキックだ。
このままじゃ、ガードがこじあけられるのが先。
覚悟を決めてガードを解く。
そうした瞬間にも、鋭い蹴りが何発も着弾した。
「うおおおおっ!」
ダメージを堪え、直撃した蹴りを掴む。
方向までイチイチ考えてられない。
遠心力を利用し、闇雲に放り投げた。
小十郎の身体は障子戸に激突し、それをぶち破る。

802:名無しさん@初回限定
07/11/23 17:55:53 QkIRa0kzO
じゅーん

803:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑯
07/11/23 17:56:07 /U8KQl/s0
「はぁ…はぁ……」
小十郎との距離はかなり開いたが、今は追撃する余裕がない。
呼吸を整えつつ、うっとうしい口元の血を腕で拭う。
「わかっちゃいたが、タフな奴だ」
「お前も…残像を見抜けなかった頃のお前ではないようだ」
お互い、自然と笑みが浮かぶ。
「だが…その強さ、俺は否定する…否定しなければならん!」
再び、猛然と突進してくる。
迎撃しようと放ったパンチがクリーンヒットするが。
「そうしなければ、俺が俺でいられない!!」
怯まず、すぐさま殴り返してきやがった。
「従者として何より優先しなければならない主の幸せを、俺は願わなかった!!」
右拳同士が正面から激突し、身動きができないほど膠着状態に陥る。
「思ってしまった! 望んでしまった!」
だが、均衡はそれほど長く続かなかった。
「いっそお前と揚羽様が引き裂かれてしまえば良いと!!」
いつしか、俺の方が押し負け始める。
揚羽に一日中腕立てをやらされていただけあって、さすがに腕力は小十郎の方が上か。
「…そうなれば…俺はこれからも揚羽様のおそばにいられる!!」
だったら別の手だと、胸を狙って左膝を振り上げるが、それをさらに膝で防がれた。
「情けなく、愚劣な考えだったと自覚しているさ…だが、それでも…それでも俺はっ!!」
残された左手を繰り出そうとした瞬間、倒れるように飛び込んできた小十郎の頭が顔面に炸裂する。
「想いが報われなくても構わん! そのような身分でない事は百も承知!
 だが…この血も、この拳も、命さえも揚羽様のもの……揚羽様のものにしかなれないんだ!!」
強烈な衝撃によろめき、大きくのけぞる。
「あの方に仕えられなくなれば、俺はどう生きればいい! 俺の人生は揚羽様と共にあったんだ!!」
当たると上体が反り返るほどの強打が容赦なく叩き込まれていく。
「俺から…揚羽様を……奪わないでくれ…」
反撃のチャンスを見逃さないようにしていた為、否応なく目に入った。
小十郎の泣きそうなツラが。
別に戸惑ったりとか、気を取られたりはしていない。
それでも、右フックが絶妙の角度で俺のこめかみを完璧に打ち抜いた。

804:名無しさん@初回限定
07/11/23 17:58:38 v/9tegML0
4円

805:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑰
07/11/23 18:00:19 /U8KQl/s0
「ぐ……あ…」
視界がぼやけていく。
足下がふらつく。
冗談じゃねぇ、倒れるもんか。
倒れるな!
立ってろ! 
手を出せよ! 
反撃しろ!
こんな時に寝る訳にはいかねぇんだ! まだ小十郎は倒れちゃいないだろ!!
……駄目か。
見るもの全てが黒に染まって気が遠のいていく。
だが、諦めるかよ。
これで終わりだとしても、やられるとしても、立ち続けてやる。
膝は着かねぇ、絶対に。
最後の悪あがきだとしても、これだけは貫き通してやる。
意識が…振動に飲まれて……途切れようと………。

「立ち往生とは見事。だが、ここまでか…ならば、これが引導だ!! 地に落とし、敗北を決定づける!!」
小十郎全身全霊の一撃が意識を手放した錬に迫る。


目の前に広がるのはどこまでも広がる暗闇。
俺一人しかいない、孤独な世界。
違う、俺だけじゃない。真っ暗でもない。
どこからか溢れてきた光が俺を徐々に照らしていく。
ふと上を見上げると、眩しい人影があった。
森羅様でも、ミューさんでも、鳩ねぇでも、ベニ公でも、ナトセさんでも、そして夢お嬢様でもない。
太陽のような――いや、それ以上の輝きを放つ少女。
誰だ?
俺を待ってるのか? そこに行くまで。
じゃあ、こんなトコで道草食ってられないよな。
お前が待ってるなら…お前が俺を……お前が……お前………お前は――。

806:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑱
07/11/23 18:04:34 /U8KQl/s0
「揚羽ああああああああああああああああああっ!!!!」
「何っ!?」
明るくなった視界に真っ先に飛び込んできたのは、攻撃を変更しようとする小十郎だった。
しかし、全ての力を注ぎ込んだ拳はもう引っ込められない。
紙一重でかわすと同時に前傾姿勢で全体重を乗せたジョルトカウンターを爆発させる!!
「があああああああああああああああああああああっ!!」
自分の勢いを倍返しにされた上で、轟音と共に吹っ飛ぶ小十郎。
時間をかけて何とか起き上がるものの、その表情は愕然としていた。
「意識は…完全に刈り取った筈……あれを喰らって蘇る……だと!?」
「…昇る太陽が……俺を…引き上げるんだよ、何度でも!!」
「太陽…? 揚羽様の事か……ふっ、奇しくも揚羽様も同じ事を…申されていたぞ。
 だが、それは揚羽様という存在にすがっているに過ぎん! 俺と同じでは越え進む事など無理の一言!!」
「すがってるのかどうか、見せてやる!!」
「見せて…貰おうかぁ!!」
小十郎が猛然と迫り、拳が頬に直撃する。しかし、カウンターのダメージはまだ健在らしく踏み込みは浅かった。
耐え抜いて側頭部を蹴り返す。
小十郎は倒れるが、その反動で俺自身も弾かれてふらつく。
即座に、膝を着いたまま放つ小十郎の拳が食い込んだ。
「ぐうう…っ」
歯を食いしばり、顔面に拳を振り下ろす。
床に叩き伏せられた小十郎に向かって飛び乗り、膝を腹に突き刺した。
「がはああああっ!!」
マウントポジションを維持したまま拳を振り上げると、首筋に手刀が打ち込まれて力任せに払い落とされた。
それでも攻撃しようと、小十郎に向かって頭を振る。
お互いに不安定な体勢からの頭突きが激突した。
互いに弾き飛ばされ、そして同時に起き上がるなり一気に駆け出す。
「「これで……終わりだっ!!」」
数瞬早く、小十郎の拳が俺に炸裂する。
だが、これしきじゃ怯まない。こんなんで止まらない。
俺の全てをかけて、拳を前に突き出す。
届け……届け! こいつの先にいる揚羽まで!!
俺の拳は――今度こそ小十郎を地に沈めた。

807:名無しさん@初回限定
07/11/23 18:05:28 QkIRa0kzO
六月

808:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑲
07/11/23 18:08:03 /U8KQl/s0
小十郎はもう立ち上がらなかった。
いや、立ち上がれなかった。
荒い息を吐きながら、小十郎を見下ろして問いかける。
「意識はあるだろ? 揚羽は…どこにいる?」
「………北側の…土蔵の……地下だ」
大の字に倒れたまま、呟くように小十郎が言う。
「そうか」
言いたい事は色々あるが、どんな形であっても勝者が敗者に不必要な言葉をかけるべきじゃない。
小十郎だって、そんな事は望んじゃいないだろう。
「俺はもう行く…じゃあな」
それだけ言って、背を向けた。
途端に、今まで傍観していた守衛や使用人達が立ちはだかる。
「わざわざ話が終わるまで待っててくれるなんて、九鬼の皆さんは漢揃いだぜ」
小十郎との激戦で消耗してるから簡単に倒せると思ってんだろうな。
けどよ、そうはいかねぇ。そうはならねぇ。
たしかに満身創痍でズタボロ極まりない状態だ。
少しでも気を抜けば、その途端に倒れそうになる。
だが、絶対に力尽きたりはしない。
敵がどれだけいようと戦い続けてやる。
ここで俺がやられたら、小十郎が一撃一撃に込めていた想いまで無意味になるから。
「何より、揚羽を待たせてるんだ…道を開けろ。でなきゃ、倒していく」
おぼつかない足取りで、しかし力強く向かっていく。
一歩づつ間合いが狭まるのに伴い、連中は冷や汗を浮かべた。
気圧されているのか一向にかかってこない。
「小十郎ほどの覚悟も強さも無いなら、何もせずにじっとしてろ!!」

一方、小十郎は仰向けのまま呆然と天井を眺めていた。
その視線は力無く、まるで抜け殻のように。
付近で繰り広げられている喧騒も、今はもう全てがどうでもいい別世界の出来事にしか思えない。
「…これで……もう空っぽだ………」
微動だにしないまま、静かに涙を流す。
男泣きだった。

809:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編⑳
07/11/23 18:21:22 /U8KQl/s0
土蔵の中に進み、階段を降りきると江戸時代(?)の遺物らしき牢獄に出くわす。
そこに、確かなあいつがいた。
「俺、ようやく参上……やっと…会えたな、揚羽」
「お前という男は……本当に…」
最後に別れてから一週間も経ってないのに、何年も離れていたような気がする。
もっとも、離ればなれも悪い事ばかりじゃない。
また会えた時の喜びが何千倍にもなるから。
「そんじゃ…さっそくだけど、出すぞ。嫌がっても連れ出すからな」
檻は部外者の侵入なんて考えてもいなかったのか、外側からなら簡単に開けられる代物だった。
開けた格子を潜り抜け、中に入る。
「俺が勝手に出すだけだから、おばあさんに迷惑はかからねぇ」
おばあさんには幽閉された事情しか聞いちゃいない。
揚羽のいる場所だって自力で小十郎から聞き出したんだ。
口を滑らせたのが発端とか言われても、何とか誤魔化せるだろう。
「これほどの無茶を敢行し、成し遂げるとは…」
「頑張ったぜ。二度と会えないなんてごめんだからな」
「それに比べ、我は弱いな。祖母様の事があるとはいえ、お前と自由を諦めてしまうとは。
 不甲斐なく、情けない…お前が、それほどまでに傷だらけになったというのに――」
それ以上言葉を紡げないように、引き寄せて強く抱きしめる。
「俺たち二人なら、どんな問題だって突破できる……そう言ったのはお前だ。だから、訂正しろ。
お偉方にむざむざ従っちまったのは、お前が弱いんじゃなく、俺がそばにいなかったからだ。
お前は強い…ただ、俺と一緒ならもっと強くなれる。何にだって負けない程度にな」
「レン……」
「小十郎から少しだけ聞いた。お前は太陽なんだろ? なら、沈んでも俺が押し上げてみせる。
いや、太陽止まりにはさせないさ。この世の全ての頂点に……恩を仇で返すような言い方するけど、
森羅万象の頂点にだって君臨できるくらい支え続ける……こんな台詞、ちょっと寒いか?」
苦笑する俺に対し、揚羽は真顔で首を横に振る。
「寒くなどあるものか。いつだってそうだ…お前の言葉が、声が、存在が……全てが、我の心に火を灯す」
揚羽の瞳と、背中に回された手に力がこもる。
「もう離さぬぞ」
「離れる気なんてないさ」

810:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編21
07/11/23 18:25:31 /U8KQl/s0
笑顔のまま、揚羽をひょいと抱きかかえる。
「レ、レン…お、お、お、お前……」
「お前が自力で出ちゃ元も子もねぇからな。それとも、これより背負った方がいいか?」
「お、降ろ……すでないぞ」
「は?」
「よしてはならぬと言っておるのだ!」
頬を染める揚羽に容赦なく殴られる。
トドメ刺す気かよ、おい。
まぁ、怒ってなんかいない事はお見通しだけど。
「わかったよ…やめない。それで、ここ出たらどうする? このまま駆け落ちと洒落込むか? 
 お前と一緒なら、俺は追っ手と戦い続ける日々さえ望むところだぜ」
「たわけ。左様な事、思っておらぬだろう?」
「やっぱ、バレてるか…勿論、思いは同じだ」
俺達の恋、お偉方に認めさせてやる。
反対意見なんて真正面から捻じ伏せて。
できるさ、俺と揚羽の二人なら。
「…ならば戦うぞ。共に最後まで!」
「その為に俺はいる」

揚羽を抱きかかえたまま土蔵を出ると、その前には傷だらけの守衛や使用人が大集結していた。
牢から出した以上戦う理由はもうなくなったが、それでも向かってくるならとことんまで相手になってやる。
一旦、揚羽を降ろして構えを取ると、何故か全員フっと笑った。
「…少なくても、我々よりは骨があるようだ」
守衛の一人がそう言うなり、女中が救急箱を携えて寄ってくる。
これが、少年漫画的・拳を交えた者同士の絆って奴か?
「いや……俺より先に小十郎を頼む。それとも、もう手当てしたのか?」
俺の問いに何故かみんな口ごもった。
「私が説明します」
その声に慌てて使用人と守衛が左右に分かれると、間からおばあさんがゆっくり歩いて姿を見せる。
「祖母様!」
「小十郎から預かったものです。まずは、これを…」
顔を綻ばす揚羽に白い紙が手渡された。

811:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編22
07/11/23 18:29:50 /U8KQl/s0
誠に突然ながら、只今を持ちましてお暇を取らせて頂きたく存じます。
突然の申し出、誠に申し訳ありません。
つきましては、後任として一名推薦したい者がおります。
この手紙が読まれるようでしたら、恐らくその男は九鬼の守衛を悉く打ち倒し、私さえ倒しているでしょう。
実力的には充分かと思います。何より、揚羽様を最優先に考える男です。
確かに九鬼に対して狼藉を働いた事は否定できませんが、それも全て揚羽様への想いによるもの。
裏を返せば、それ程までに揚羽様を絶対としているに他なりません。
まだ血気盛んで荒削り、向こう見ずな所はありますが、必ずや揚羽様を支えられるでしょう。
その者の名は、上杉練。何卒、ご一考ください。
PS・揚羽様。あなた様に仕え生きてきた我が人生、光栄無比でございました。
  いつでも、どこにいようと……あなた様の幸せを祈りはしません。
  祈る必要がないからです。
  もう、ずっとレンがいるから――。

「あいつ……」
「あの阿呆……」
小十郎を含めた精鋭を倒して揚羽を助け出せれば、強さを証明する恰好のデモンストレーションになる。
途中で力尽きても、結局はそこまでの男だったという結論になるだけだ。
どっちにしても、俺が揚羽に相応しい奴かどうかは見極められる。
そういうシナリオだったのか……。
「…小十郎は?」
「どこにも…いません」
おばあさんから、あまりにも予想通りの答えが返ってくる。
俺と闘った後、何も言わずそのまま行方をくらましたらしい。
私服姿だったのも、いつでも出ていける為だったんだろう。
「我のものである分際で…我の許し無く、何を勝手な事を…」
そう言いつつ、怒りとは別の理由で手紙を持つ手が小刻みに震えている。
「別れ際は笑うものだ……しかし………」
手紙を胸に掻き抱いて目を伏せる揚羽の頬を、一筋の涙が伝う。
初めて見た、彼女の涙。
たった一枚の紙きれを、今まで泣く姿なんて想像もできなかった揚羽の涙が濡らし続ける。
嗚咽する彼女を暖めるように、俺はそっと自分の身を被せた。

812:名無しさん@初回限定
07/11/23 18:31:11 v/9tegML0
0.4

813:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編23
07/11/23 18:33:29 /U8KQl/s0
「上杉さん」
おばあさんに呼ばれ、揚羽を抱きしめたまま顔を上げる。
「お姉さんからご連絡を頂きました。ここに来る前、久遠寺をお辞めになったと」
「鳩ねぇから…?」
おばあさんは静かに頷く。
「あなたが暴れようと一切関係ないので、くれぐれも久遠寺に抗議などしないように…と、仰っていました」
鳩ねぇ……ごめん。
迷惑かけたくなくて何も言わず黙って出ていったのに、それでも結局はフォローさせちまって。
多分、礼を言っても『姉の愛の一環ですー』だといって笑うだろうけれど。
本当に、心からありがとう。
「あなたさえ良ければ…小十郎の願いを聞き入れては貰えませんか?」
「俺が……小十郎の後釜に…」
「腕利きの守衛が軒並み倒された事実を前にすれば、重鎮たちもあなたの強さを認めざるを得ないでしょう」
元々、移籍する予定だったとはいえ、恋人救出と就職活動がいっぺんに成立するとは思わなかった。
だが、戸惑わないし迷わない。
既に答えは決まっている。
「俺は…九鬼に仕える気はありません」
腕の中の揚羽をより強く抱きしめ、続ける。
「ただ、揚羽なら。揚羽に仕えられるなら、願ってもない事です」
忠誠を誓うのは九鬼じゃない、揚羽だ。
揚羽だけの専属として、揚羽にどこまでも付き従う。
たとえ名目上の扱いが九鬼の一員になろうと、体制に取り込まれる気はさらさらない。
俺と揚羽の仲は認めさせるが、それでも納得できずにいつかまた揚羽を幽閉するような事を企んだら。
主と従者の身分違いを理由に俺と揚羽を引き裂くような真似をしたら。
その時は遠慮なく立ち向かってやる。
俺を揚羽の従者にするというのは、そういう事だ。
そう断言してやる。まだ見ぬお偉方の前で。
「だから、お受けします」
受け継いでやる。
託されてやる。
背負ってやる。
小十郎、お前の想いを残らず全て……。

814:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編24
07/11/23 18:37:33 /U8KQl/s0
「お世話になりました。鳩ねぇの事、宜しくお願いします」
晴れ渡った雲一つない青空の下、久遠寺邸の前でみんなに深々と頭を下げる。
「達者でな」
「身体に気をつけて。たまには連絡しなさい」
「頑張ってこいよー」
「腕が上がったと思ったら会いに来い。まだまだだという事を教えてやる」
「小娘とのハードな生活に嫌気が差したら、すぐに帰ってくるんですよー。癒してあげますから」
「元気でね。美味しいものがあったら、送ってくれると嬉しいな…」
みんな、笑って口々に別れを告げてくる。
もっとも、ハルだけは泣いて俺にしがみついているが。
「ううう…行かないで下さいよぉ、レン兄ぃ…」
「ハル、男には行かねばならん時があるんだ。俺の場合は、それが今なんだよ」
そう言った途端、ベニ公が吐き捨てるように言った。
「リッチな方に鞍替えとはいい根性してるわね、この恩知らずな裏切り者が」
「悪いとは思ってる。けど、後悔はしてねぇ」
「…バーカ、嘘よ。ま、死なない程度に元気でいなさい」
「ありがとな」
お互い、口元に微笑が浮かぶ。
これで一通り挨拶を済ませ、改めて最後の一人と向かい合った。
「レン君」
「お嬢様…」
散々シュミレートしたのに、やっぱり何を言っていいのか言葉に詰まる。
そんな俺に、夢お嬢様は柔らかく微笑んできた。
「……アゲハちゃんと幸せになってね。手が届かないって思い知らされるくらい。
 でないと、夢…いつまでたってもレン君以外の男の子、好きになれないよ」
この言葉を言うのに、微笑むのに、どれだけ勇気を振り絞っているんだろうか。
いずれにせよ、自分も勇気を示さなきゃならない。あなたに負けないように――。
「約束します」
微笑んでしっかりと頷く。
「じゃあ、行ってきます!」
俺はバッグを担いで歩き出した。
さよなら…俺の家族。

815:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編25
07/11/23 18:41:55 /U8KQl/s0
久遠寺邸から少し離れた所に揚羽は佇んでいた。
「別れは済んだか?」
「ああ。笑ってきたぜ。俺も……あいつと同じ事しちまってたからな。だから、今度はちゃんとしてきた」
「そうか。それでよい…あのような別れ、我は好かんからな」
あれ以来、小十郎の行方は全く掴めなかった。
ずっと気にはなっている。
だが、揚羽も俺も無理に探し出そうとする気にはなれなかった。
それでも不忠者と非難する連中が九鬼の情報網を駆使して捜索したが、結局は無駄に終わっている。
恐らく、もう二度と会う事はないだろう。
「……あいつという代償を支払った事、お前に悔やませはしない」
「悔やみなどするものか。手に入れただけで…そばにいるだけで……我は満たされる。
 さすれば、後は共に進むだけだ。お前と我、二人ではるか高みを目指して邁進するのみ」
あの後、一同を招集しての議論は丸一日かかった。
一応、仲は認めさせたと言っていいだろう。
わからず屋で頑固者なお偉方を粘り強く説得し、最後には説き伏せた。
心から認めてくれた奴もいれば、苦々しく渋い顔してる奴もいたが。
国際電話で話した限り、揚羽の両親はどっちかっていうと前者だった。
後で揚羽から聞いたが、やはり最初は相当反対してたらしい。
しかし、最終的には娘の男を選ぶ眼力を信じたようだ。
使用人や守衛の連中も話してみれば案外気の合いそうな奴らばかりで、おばあさんは言うに及ばず。
俺達の味方は決して少なくない。
もっとも、味方なんていなくたって構わないけどな。
揚羽だけいれば俺には充分すぎる。
「では、そろそろ参るか。我らが旅路、決して容易くはないぞ。覚悟はできておろうな?」
「何を今更。お前の赴く所、どこまでもお供する」
「ふっ…ならば、如何様な相手が待ち受けていようと恐るるに足りん」
これから始まるのは、武者修行の旅。
『既に休学中の身。わざわざ取り消すのも面倒であるからな、丁度良い機会だ』
そう言って揚羽は決定した。
だったら、俺はその意志に従うまでだ。
「我ら出立の時だ! ついて参れ!!」
「了解、我が主の御意のままに!」

816:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編26
07/11/23 18:45:47 /U8KQl/s0
武者修行の旅は数年に及び、あれから随分と渡り歩いた。
日本全国は勿論の事、サハラ砂漠からからギアナ高地まで。
そして、今いるのは『世界の中心』と言われているオーストラリアのエアーズロック。
対峙してるのは、九鬼にとっての宿敵らしい二人組だ(どっかで見たような気がする)。
「フハハハハッ!! 何たる僥倖! 宿命! 数奇! このような地で鉄と相まみえる事になろうとはな!!」
「それは私の台詞だ。先祖の雌雄、今こそ決してやる!!」
俺と揚羽は戦る気満々だったが、向こうは臨戦態勢の女を男が制止している。
「やめよう、乙女さん。アンタ達もさ。会った事も無い御先祖の因縁引きずるなんてさすがに下らないって」
「いや、主の敵は俺の敵なんで。下らないとは思わねぇな」
「腑抜けの極みめ。そのような男を愛するなど、貴様も同類。似合いの番いであるな」
「レオ、因縁云々はもう大した事ではなくなった…お前を侮辱した事が何より許せん!」
「別にいいよ、俺の事はどう言われたって…俺としてもかなり我慢ならない部分があるけどさ」
そう言うなり、男は俺を見て身構える。
「究極の非常時…それも、その人の為以外の理由で女の人に本気で手はあげないからな。
 代わりに、アンタの相手になってやるよ。そっちの人は乙女さんの凄さをその身をもって知ってくれ」
「ほう? 少しはマシな眼ができるではないか。気を抜くな、レン。
だいぶ薄れているようだが、その男とて鉄の血族。何より……お前によく似た強き瞳をしている」
「お前は自分の方に専念しろ。大丈夫、九鬼揚羽の従者は敗れたりしない」
とは言ったものの、男女ともに一筋縄ではいきそうにないな。
特に男の方。
支えになってるこいつがいる限り、そう簡単に女は倒れそうにない。
きっと今まで戦ってきたどの相手よりも強敵だろう。
だが、揚羽は負けねぇぞ。
揚羽にだって俺がいる。俺がついてる。
必ず守り抜き、共に闘い続ける。
誰が相手だろうと、道がどんなに険しくても。
去っていったアイツ。微笑んでいたあの人。
それら全てに報い応える為にも……何より、お前自身の為に。
どこまでも高く羽ばたいていこう、二人で。
「ゆくぞ! レン!!」
「飛ぶぞ、揚羽!!」
太陽? そんなものさえ越えるほどに――。

817:胡蝶は日輪に飛ぶ・後編27
07/11/23 18:49:32 /U8KQl/s0
蒼穹と紺碧の海に彩られた白い浜辺を一人の青年が歩いていく。
海風が吹くと、どこからか一匹のアゲハ蝶がひらひらと舞ってきた。
そっと指を伸ばすが、止まろうとはしない。
彼の周りを何度か旋回し、やがて離れていく。
青年は微笑んだ。
淋しそうに、哀しげに、切なそうに、そしてどこか穏やかに。
飛翔する様を、万感の想いと共に見つめ続けていた。
「舞い上がれ…どこまでも……」
そして、また歩き出す。
信じきっているかのように行方は見届けない。
アゲハ蝶は、輝く太陽へ向かって真っ直ぐに飛んでいった。

818:名無しさん@初回限定
07/11/23 18:52:59 /U8KQl/s0
胡蝶は日輪に飛ぶ・後編、これにておしまいで完結です。
前編からおよそ2ヶ月も間を空けてしまい、すいませんでした。
一応、張った伏線は全て回収できたかと思います。
エピローグにおける『あの2人』の登場も、この物語が彼女のルートと同じ時系列だと
提示しておきましたし無理はなかった・・・かな?(笑) 共闘より対決と相成りましたが。
PS2移植に伴って揚羽様がヒロイン昇格となるようなので、やっぱり公式にはかなわないかもしれません。
それでも、自分なりに頑張った結果レンと揚羽様が久遠寺三姉妹に並ぶ主従カップルに少しでも描けていれば何よりです。

819:名無しさん@初回限定
07/11/23 19:11:32 lkHRGqo60
乙!

820:名無しさん@初回限定
07/11/23 19:19:24 QkIRa0kzO
おつだよ~

821:名無しさん@初回限定
07/11/23 22:03:09 KKcZOs110
まあ乙

822:名無しさん@初回限定
07/11/24 01:24:28 AF4UkEuH0
なげぇぞ乙
PS2版が似た内容だったらネタバレ野郎と名乗っとけ

823:名無しさん@初回限定
07/11/24 01:58:20 6h7FWu+j0


824:名無しさん@初回限定
07/11/24 06:56:11 LX47e2GN0


825:名無しさん@初回限定
07/11/24 08:59:53 jV4xefvB0
>>818
乙!
>だって、きっぱりフラれる方がレン君が名前と名字を分け合う二人に分裂して
>その片割れがあてがわれたりするより断然いいもん。
pure rougeのことかああぁぁぁ!!!

826:名無しさん@初回限定
07/11/24 13:34:08 puNVgjCe0
ポイント制では、出会える確率が高い。登録費無料。
URLリンク(iikoto.hiroimon.com)


827:名無しさん@初回限定
07/11/25 15:16:15 TXCJSTtJ0
>>818
乙。
ビミョーに思えるのはレンが全然「お仕え」してないからかな。

828:名無しさん@初回限定
07/11/25 15:42:18 wZdPe1si0
長いJ!

829:名無しさん@初回限定
07/11/26 00:38:39 f9HB9TcA0
遅れて参上!
投下乙、GJだった。

830:名無しさん@初回限定
07/11/26 05:30:51 feWMffmf0
J。

831:名無しさん@初回限定
07/11/26 12:36:55 qH3TzWdq0
まだ読んでないけどJ

832:名無しさん@初回限定
07/11/27 05:18:15 nh5wuhvi0
いくらなんでも呼び捨てやお前呼ばわりはねぇよと思うんだが。
まあいいや。長編乙。

833:名無しさん@初回限定
07/11/27 05:45:18 HGc48iHv0
Jかなあ

834:名無しさん@初回限定
07/11/28 01:14:06 PLJyk1R40
キングバトラーJr.

835:1
07/12/01 00:27:32 ud427ZXT0
「うーむ……」

「おいレン、朝っぱらかそんなマジマジと鏡を見て、何をやっとるか」

朝の洗面所。ちょっと早起きをして、鏡に映る自分の顔を見つめていたら
後ろから声をかけられた。

「あ、大佐。ちょうどいいや、聞きたいことがあるんだ」

「私がアフリカでマサイの戦士と一騎うちになった時の話かな?」

「いやそんなんじゃなくてよ。
 本当にヒゲはやしたら強くなれるのか?」

「無論。ヒゲのあるなしで、これほど変わるのかと驚くほどだ。
 昔、私がゲリラ戦を指揮していたとき、不覚にも敵に捕らえられ
 敵の女性指揮官に陵辱されそうになったとき……」

なにそのシチュエーション。
ていうか、このオッサンを陵辱しようと思う女がいるのか……

「まあそういう話は夜にでも聞かせてもらうとして」

「むう。なかなかにスペシャルな話なのだが……
 確かに、朝からする話としては相応しい話題ではなかったな。
 で、なんだ?まさか、私のヒゲを狙っているわけではあるまいな?
 もしそうなら、命のやりとりをする覚悟をしてくることだ」

つ、と大佐が身構える。ヒゲのことになると必死だな。

「狙ってどうすんだよ。
 いや……俺も、ヒゲ生やしてみようかな、と思ってよ」

836:名無しさん@初回限定
07/12/01 00:28:21 rVYDeSPJ0
J!

837:2
07/12/01 00:31:47 ud427ZXT0
「なに?そうか、ついにお前もヒゲの良さがわかってきたか!
 見所のあるやつと思っていたが、とうとう目覚めたようだな!」

「いや、別に目覚めたとかじゃねえけどさ。
 ヒゲ生やして強くなれるんなら、生やしてもいいかと思って。
 でも、生やし始めって、ちょっとみっともないだろ?
 その辺、執事としてはどうかなーと思って悩んでるんだ」

「なるほどな。確かに、ヒゲの伸ばし始めはあまり見栄えがよくない。
 かといって、ヒゲが生え揃うまで休むというわけにもいくまい。
 ……よかろう、次の休みの前日にでも、私のところにくるがいい」

「なんかいい手があるの?」

「まかせておけ。伊達に全日本ヒゲの会七浜支部長は務めておらんぞ」

「はぁ」

不安がないでもなかったが、とりあえず大佐に頼むことにして森羅様の部屋に。

「んー?お前が……ヒゲ?」

「ダメですか」

「いや、ダメとは言わんが……
 お前はヒゲがないほうが、その……可愛い」

むう。照れるぜ。

「あんまりムサイのはダメだぞ。大佐みたいな、ダンディーなヤツなら許す」

森羅様の中では、あのヒゲはダンディーなんだな……

838:名無しさん@初回限定
07/12/01 00:45:00 EfzEH4td0

     J
     J
     J
 J   J
  JJJJ

839:名無しさん@初回限定
07/12/01 00:52:07 eWQ9dhZU0
支援

840:名無しさん@初回限定
07/12/01 01:09:32 MnsdBhDu0
大佐のヒゲがダンディでした というオチなのか

841:3
07/12/01 01:27:46 ud427ZXT0
そして、明日は休みという夜。

「大佐ー、明日休みだから来たけど、どうするんだ?」

「おお、来たか。
 この秘蔵の毛生え薬を使え」

「毛生え薬?……そんなんですぐにヒゲが生えるの?」

「無論。まあ丸一日はかかるがな。
 今晩寝る前に、生やしたい個所に塗って
 明日はなるべく外気に晒さぬようマスクをしていろ。
 さすれば、明後日の朝には見事に生え揃っているだろう」

「そりゃスゲエ……でも、そんなスゲエ薬、いいのか?」

「何、気にするな。新たなヒゲ仲間のためだ」

なんかイヤな仲間だな。
だが、ありがたくいただいておくか。

「わかった。ありがとな、大佐」

「礼は見事にヒゲが生えてからでいいぞ。
 塗るときは、指先で肌に刷りこむようにしてな」

「……まさか指先にまで毛が生えてきたりしねえだろうな」

「それはない。もともとの毛根がないところにまでは
 さすがに効果がないからな」

「じゃ、せっかくだからさっそく試してくるぜ!」

842:4
07/12/01 01:31:51 ud427ZXT0
1日が過ぎた。
薬を塗ったあと、マスクの下で何やらムズムズしていたが
朝になって洗面所で確かめると……
スゲエ、ちゃんとヒゲが生えてやがる!

「どうだ、新しく生まれ変わったようだろう」

「あ、大佐!マジでスゲーよこれ!」

「ほれ、このハサミで形を整えろ。よいか、キチンと手入れをするのだぞ?
 でなければ、真のヒゲとは言えぬからな」

「サンキュ……ちょき、ちょきちょき、と……
 まだ短いけど、このまま薬塗ったほうがいいのかな?」

「お前にヒゲの毛根がもともとあるのなら、その必要はないが……
 定着するまで、2、3日おきに塗るとよかろう。
 その間はよく伸びるはずだから、手入れを怠るなよ」

「わかった、重ね重ねありがと…よっと!」

パシィ!

不意をついて大佐に拳を繰り出してみた。
が、あっさりと手のひらで受け止められる。

「……あれ?」

「バカめ。確かにヒゲを生やせば強くはなれる。
 だが、私のヒゲとお前の即席のヒゲでは年季が違うわ!」

ちぇ、そうそううまくはいかないか。

843:5
07/12/01 01:36:01 ud427ZXT0
チリンチリン

おや、森羅様がこんなに朝早くからお呼びとは。
ベニは朝食の準備で忙しいだろうから俺が行かねば。

「お呼びでしょうか、森羅様」

部屋の中では森羅様が下着姿で……
なぜかモジモジして立っていた。

「お、ヒゲ……なかなか似合ってるな。
 それなら、まあ、許す」

「ありがとうございます」

「ところでレン……お前、何をした?」

「は?」

「とぼけるな!……そりゃコンプレックスがなかったとは言わないが
 別にこんなことは頼んでない!」

言うなり森羅様がズバッと下着を下ろす。

「え、ちょ、そんな朝っぱらから……あれ?」

森羅様のソコには
柔らかそうな茂みがツヤツヤと。
まだ生え揃っていない感じではあるが
それがまたそそる……ってそうじゃねえ!

「なんか昨日一日ムズムズするな、と思ってたら……どういうことだ!説明しろ!」

844:6
07/12/01 01:39:57 ud427ZXT0
そういえば……おととい、薬を塗った直後に森羅様からお呼びがかかり。
その後イロイロあったわけで。
俺が口の周りに塗った強力毛生え薬が
ウッカリ接触したアノ部分にも移っちゃったわけで。
キスもしたのに生えたのがソコだけなのは、もともとの毛根の差ということか……

「えー……いわば、ご奉仕の副産物かと」

「そんな奉仕はいらん!やっぱりお前、ツルツルなのはイヤだったんだろう!?
 だから私に黙ってこんな……!」

「いやホント、事故みたいなものなんです」

大佐にもらった薬を見せながら事情を説明する。

「なるほど、わざとではなかったのだな……そんな薬があるとは知らなかった」

森羅様も、下の毛の相談までは大佐にしてなかっただろうしなぁ。
ていうか、森羅様いいかげんパンツ上げてくださいよ。

「で、その薬を塗りつづければ……コレ、定着するのか?」

コレ、とか言って股間を指差すのもどうかと思うのですが。

「そのようです」

「ふむ……これでミューにからかわれずにすむのだろうが……
 その、なんだ……レンは、どっちがいい?フサフサと、ツルツルと」

「……ツルツルでお願いします」

そんなところにヒゲが生えて、これ以上お強くなられては俺の身がもちません。

845:名無しさん@初回限定
07/12/01 01:43:18 ud427ZXT0
「パワー・アップ」おしまい。
途中所用で間があいてスマソ。

846:名無しさん@初回限定
07/12/01 01:56:50 MCZX37rI0
>>845
ヒゲの生えた錬というのは絵的に想像しにくいがGJ!

下半身丸出しでずっと立ってる森羅様ワロタ

847:名無しさん@初回限定
07/12/01 03:04:21 5HgtPVOv0
gjだ。 なかなかストロベリーな展開でよかった。
森羅様子どもっぽいなw。

848:名無しさん@初回限定
07/12/01 06:39:14 uad9dKHi0
gj

849:名無しさん@初回限定
07/12/01 10:51:14 JKpDGA5b0
オチGJ
俺も森羅様はツルツルでオナガイシマスw

850:名無しさん@初回限定
07/12/01 15:09:07 zPv0J2v90
なかなかだな。
J!


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